どうする? 日本の水道
―自治・人権・公共財としての水を
日時:2019年8月10日 所:田町交通ビル・ホール
主催:NPOアジア太平洋資料センター 協力:コモンズ
開会:内田聖子(PARC代表)
・ PARCが20年以上、注目してきた「日本の水道」問題を考えるために制作したDVD映画「どうする?日本の水道」の完成を記念して、記念上映会を開催することになった。
新作DVD『どうする?日本の水道』上映(41分)
土屋トカチ監督トーク
・ 市民がポカンとしていたら、大企業・政治家の言いなりになってしまう。
浄水場の撮影はテロ対策を理由に不可能だった。水道管のリニュ―アルが進んでいるなかで、行政の専門家公務員(貴重な技術者・頭の中に地域の全体像が入っている)がリストラされている。
DVD出演者によるシンポジウム 内田聖子、岸本聡子(トランスナショナル研究所)
橋本淳司(水ジャーナリスト)、辻谷貴文(一般財団法人全水道会館情報センター事務局長)
辻谷:2016年から水道法改定が進められ、十分な議論をせずに、18年12月に成立した。ポイントは@官民連携推進、Aコンセッション方式の導入で、公共事業の民間移譲が大問題だ。
岸本:イギリスは水道民営化を30年かけて、投資最少化・利益最大化の仕組みとして推進した。その結果は借金ゼロから6兆円の借金となり、担当企業は倒産した。その実態把握に影の内閣・
労働党が闘かっている。自治体サービスを民営化・アウトソーシングでコストを下げると言っていたが、逆にコストアップが暴露された。現在は自治体サービスを民主化する=21世紀のインソーシングに転換し、30年間かけて壊したものの再生を図っている。今、835の公共サービスの再公営化に取り組んでいる。民営化は問題解決に有効でないことが判明した。
橋本:水道法改定を国民はほとんど知らない。資本主義の大問題は、国民が知らない中での政府の暴走だ!地方自治体の水道経営が危なくなっている。住民自治を住民が闘い取らねばならない!
会場の質疑応答から
・ 国民が知らないだけでなく、地域の議員が知らない・知ろうとしないのが大問題だ。
・ 宮城県がコンセッション方式第一号を目指して準備しているが、大変危ない動きだ。
・ パリは公共事業等に関して地域住民の市民参加型予算を実施している。
・ 2050年にどうなるか? 安全な水が飲めなくなる。市民意識が変化している。市民の意識が低くない。素人参加がポイントだ。
岸本:リーマンショック以降の緊縮財政のなかで、若い人の仕事がない、インフラに係わらなくては生きられない。ヨーロッパ社会は新自由主義の到達点? 選挙に行くことで社会を変えようと。
辻谷:水を考えることが、民主主義の学びの場になっている。闘わざるを得ない状況になっている。地域のなかで裏方で生きろと言われてきた水道技術者も20年以上も市民活動を戦い続けてきた。生存権があるからこそ、水道を守って来た。各地の災害現場にも水道職員は出張してきた。
宮城の方:令和の山本さんの選挙演説に三千人が集まり、参議院選挙を野党連合が勝つことになった。
辻谷:運動を継続するために必要なことは、運動を所有しないこと!!
岸本:運動がつながっていくことがポイント!!
内田:日本の水道行政が上手くやり過ぎているために、自分事になっていないことが大問題だ!!
日本に水グローバル企業を作りたい政財界に対抗していかなければならない!
閉会挨拶:大江正章(PARC代表)
日本の水道が危なくなっている。声を出さないマジョリティの日本だが、声を出し成功している地域・自治体も多い。地域の民主主義を創り上げなければならない。頑張りましょう!
所感:新自由主義方式のアベノミクスで水道を再生しようと政府は進めているが、世界的には周回遅れで、英仏は民営化から公営化に戻しているという。市民の民主主義運動が不可欠だ。