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2018年11月29日

公共トイレが直面する問題を考える

公共トイレが直面する問題を考える

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日時:  11月19日   所: 文化シャッターBXホール
主催: 一般社団法人日本トイレ協会
基調講演「オリパラのユニバーサルデザイン取組み」
   高橋儀平(東洋大学教授)
・  バリアフリーの近代化は、1964年東京パラリンピック
の6年後に、「福祉のまちづくり」運動に発展した。「すべての人が、個人の能力に関係なく、同じ体験、同じ水準のサービスを受けられること」が目標となっている。日本もこの50年でハード面のアクセシビリティは格段に進んだが、「差別」や「偏見」はほとんど変わっていない。
・  2013年の東京大会後、施設のユニバーサル水準の要求が高く、鋭意努力中である。
「ユニバーサルデザイン2020行動計画とバリアフリー法改正」 奈良裕信(国土交通省)
・  共生社会実現に向けたユニバーサルデザイン、心のバリアフリーの推進を広めることが目標。会場周辺の道路、都市公園、鉄道等の重点支援。主要都市部周辺の再開発プロジェクト、
成田空港、羽田空港の世界レベルのバリアフリー化、空港アクセスのバリアフリー化。
・ バリアフリートイレの考え方:トイレの機能分散、利用マナーの啓発が課題だ。
「認知症高齢者のトイレ問題」 野口祐子(日本工業大学)
・  2015年国土交通省・認知症施策推進総合戦略に「認知症の人を含む高齢者に優しい地域づくりの推進」、「公共交通施設や建築物等のさらなるバリアフリー化の推進」が謳われている。
・  公共トイレの環境整備についても、多様な利用者に対する検討がなされている。
今回、アンケートと検証実験を行った。それによると、
〈高齢者のトイレの困りごと、その配慮〉
・  洗浄の方法やドアや鍵の開け方が様々で判り難い。多機能トイレの設備は特殊すぎる。最短距離の案内が欲しい。夫婦や子供が同伴できるトイレが欲しい。転倒防止の手すり。大人用紙おむつや・紙パンツの自動販売機が欲しい。着替え場所。汚れた身体を洗える温水設備など。
・  高齢者の5人に1人が認知症の時代、認知症になっても、それまでと変わらず外出し、不自由なく快適にトイレに利用できるよう、認知症に配慮した公共トイレの環境整備が必要である。
「商業施設での最近の課題」  田中友里(湘南ステーションビル梶j
・  利用者から多様な要望を聞いている。開店前にトイレを使いたい。間に合わず小便器に大便が。ドアの開け方が判らずパニックに。トイレを失敗したお客様の対処方法の深刻な真面目な悩み。
・  商業施設だけではなく公衆トイレや駅、コンビニストア等の周辺施設など、地域社会で使いやすいトイレの改善がますます必要・重要になっている。
・  トイレづくりの視点:機能性、デザイン性、付加価値の使い分けが必要。
「高速道路のインバウンド対応など」  山本浩司(中日本高速道路梶j
中国や韓国の人にも判りやすい案内・情報伝達方法として、電子的なピクト・サイン(絵文字)タブレット表示を推進している。より楽しい快適・便利な案内表示を進めている。
「公共トイレのメンテナンス」  山戸伸孝(潟Aメニティ)
・ 日本のトイレは素晴しいと世界から評価されているが、メンテナンスの立場からはそうでもない。
・ 技術革新は凄まじく、多機能化、節水化、乾式化、高気密化が進み、水を撒いてブラシでこするだけではダメになった。多機能化し様々な電気設備となると水撒き清掃は不適当になった。また、高気密性となり臭いが滞留しやすくなった。最後の砦は人の手によるメンテナンスでしかない!

所感:パラリンピックを機に、バリアフリー化や皆に優しいトイレの検討・改良が進んでいるという。いつも何気なく使っているが、沢山の人々の努力の結果を知ることができた。ハード面の進歩以上に、中国や韓国などに対する差別や偏見のない日本になることを祈念したい。 
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