「大地震に対する大都市の防災・減災」
日 時: 2017年8月28日 12:00〜16:00
所 : 日本学術会議講堂(乃木坂)
主 催: 日本学術会議土木工学・建築学委員会
大地震に対する大都市の防災・減災分科会
開会挨拶 米田雅子(慶応大学)
自然災害が頻発している。われわれの生命に係る災害が多くなっている。時空に適ったテーマと思う。
背景と課題 和田章(東京工業大学)
・ 福島原発Tは、“爆発”だ。自然の力はスゴイ! 人間は自分の分野しか考えない狭さだ!
1923年関東大震災に対しても反省のない国。1995年阪神大震災に対しては、こんな鉄道しか造
ってこなかった。現在の海岸域の超高層ビルの建設の危うさ! いかに可笑しな国かと痛感せざ
るを得ない。今だけしか考えられない、孫子の代までのことを考えられない国なのだろうか。
超過密のために車道を拡張しようとする大矛盾。50階に住む人は何も対策できない!!
居住、活動のための適地の選定 浅岡顕(名古屋大学)
・ 21Cの日本は9Cに似ていて、巨大地震が襲来の世紀。
しかし、巨大地震は一つとして同じではない!
・ 首都直下型地震(M7.3、震度6):活断層は197もあり、いつ来るかは不明。ゼロメートル地域に176万人が住む。
・ 江東三角地帯は海面下マイナス2mを超え、満潮時2mプラスに。堤防が壊れたら、家屋浸水、道路とメトロは冠水。しかも海水! 逃げられないのが何か月も続く。
・ 被害想定は、ゼロメートル地帯を守る水門、堤防が正常に機能した場合で、ゼロメートル地帯の被災者は勘定されていないのが現実だ!
・ 液状化すると地下の構造物も破壊・破損は逃れられない。3・11の浦安は震源地から500km
も離れ、高々50ガルでドロドロの液状化に。液状化による地盤沈下が2.5mになった所も。
・ ゼロメートル地帯は救えない。水門・堤防は必ずどこか壊れる。(元国土省事務次官青山俊樹)
情報通信技術の強靭化と有効な利活用 山本佳代子(電気通信大学)
震災時のソフトウエアの研究を進めているが、災害時には使えなくなる等、課題は多く、今後に
向けた抜本的な対策が望まれる。震災時の海底電線も破壊してしまうなどの危険性は高い。
大地震への準備と行動 南一誠(芝浦工業大学)
首都直下型地震の被災は、85万棟、11,000人が想定されているが、現場はマニュアルに準じてしまい、上手い防災活動にならない可能性があり、その場の創意工夫が課題である。
国内外の地震から学ぶ、国際協力、知見や行動の共有 東畑郁生(東京大学)
・ 大構造物の耐震化の研究は進んでいるが、一般家庭の住宅については進んでいない。
・ クライストチャーチの地震では建物は地震に耐えたが、傾斜し、住めない状況になった。
質疑:
・ 戦後若い人を地方から都市へ移したが、抜本的にカジを切る時期に来たのではないか。
・ スーパー堤防は土建屋の儲けの為でしかないのでは? @ゼロメートル地域ではそれしかない。
・ 高齢の方々が抵抗する一般家庭の住宅耐震化に、100万円以下の対策を中部地区で展開している。
・ 小さな自治体での防災計画づくりは担当部署が小さく、マニュアルづくり等に課題が多い。
所感:日本はますます災害大国になっている。特にゼロメートル地域では、海水下状態が継続し、
専門家も手の打ちようがないとコメントしている。持続可能な地域を祈念したい。