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2017年07月17日

磯田道史『司馬遼太郎で学ぶ日本史』

磯田道史『司馬遼太郎で学ぶ日本史』

NHK出版新書 17.5.10

17.7.5 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史.png


はじめに
本書は、歴史学者が「司馬遼太郎」を正面から取り上げ、体系的に
 戦国時代から昭和までの日本史を学ぶ珍しい本です。司馬さんの作品は
あくまでも文学であって、歴史そのものではないからです。
序章 司馬遼太郎という視点
・ 司馬さんはただの歴史小説家ではない。「歴史をつくる歴史家」です。
後世の歴史に影響を与えた最初の歴史家は『太平記』の作者・小島法師
で、『太平記』が楠木正成を忠義の士として、抒情的な美しい名文で描い
ていなければ後の歴史は違っていたでしょう。
・ 明治末1911年、南北朝いずれの皇統が正統かをめぐる「南北朝正閏論」
 論争が起こり、政治問題となりました。現在の皇室は北朝の系統ですが、明治天皇は楠木正成が仕えていた南朝が正統であると決定しました。第二次大戦の敗戦まで、南朝が正当とされていました。『太平記』に書かれた歴史観が、昭和以降の歴史にまで影響を与えていると言えるのです。
・ その後、歴史に影響を与えた主要な歴史家は、頼山陽、徳富蘇峰、司馬遼太郎です。江戸や明治の日本人は、鳥やけだものと違うものになるために、しっかり学問をしなければならないと懸命に学びました。司馬さんの叙述は、質の高い、判りやすいものの一つです。
第一章 戦国時代は何を生み出したのか
・ 戦争体験を持つ司馬さんは、「なぜ日本は失敗したのか」「なぜ日本陸軍は異常な組織になってしまったのか」という疑問から、その原因を歴史の中に探りました。明治近代国家は、王政復古を掲げて徳川幕府を倒して成立しましたが、では徳川幕府の成立に目を向けるとどうだったか。司馬さんは、それが濃尾平野から生まれた天下人である織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑がつくり上げた、後に「公儀」と呼ばれる権力体を受け継いだものだと気づきます。公儀とは室町時代には将軍を指し、次第に国や大名領の最高権力を意味する様になりました。信長の時代にはまだ日本全体を覆う大公儀は存在していませんでしたが、信長が生まれた濃尾平野から大公儀が生まれてきます。信長が生まれる前提条件を、濃尾平野に生まれた斎藤道三に注目しています。道三の存在が天下人信長を生み出し、その天下人が公儀と呼ばれる権力体、幕藩制が生まれたと考えます。
・ そしてその国家が壊れる中で、朝廷と結託した勢力が幕藩由来の官僚制や軍事組織を引き継いで明治国家を創設しました。その明治国家の最後の帰結として、司馬さんの言う「鬼胎の国家」つまり、あの戦争を起こした昭和の軍事国家ができ上ります。その昭和の軍事国家が無茶をやって壊れ、形を変化させたのが、私たちの現在の社会である。司馬さんは、そんな歴史観を背景に、戦国時代、濃尾平野にできた権力体が、我々の社会の直接の素源だ、と思っていた節があります。
・ 司馬さんの人物像を史実ではないと言う人がいますが、それは一面的には正しいが、司馬さんは大局的な視点、世の中に与えた影響という点から単純化して人物評価しています。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
  信長:徹底した合理主義者、 秀吉:「人たらし」であった、 家康:非常に狡猾な人物
・ 『龍馬がゆく』『坂の上の雲』は代表作で、その読者は多分に家康のような権力体を生み出す一般的な日本人です。だからこそ、信長や龍馬のような日本人離れした存在に痛快さを見出すのです。
・ 司馬さんは、信長の残虐性を嫌っていますが、合理性は好ましく思っています。比叡山焼き討ちも、信長合理主義というものが近世・近代を切り開くものであったと評価しています。ある種の乱暴者、価値紊乱者が現れたことで、パンドラの箱が開き、近世・近代の扉が開きました。その地ならしを秀吉が行い、石高制や軍事国家の基本システムを造り、それを家康が採用していきます。
家康は武田信玄からは軍事制度を学び、関東へ移封されたら天領の支配を北条氏に学び、地元の旧家を大事にし、秀吉からは石高制などを取り入れましたが、司馬は独創性がないと評しています。
・ しかし、日本社会には経路を大事にして激変を好まない傾向があります。「経路依存」という言葉が経済史で使われますが、それまでの行きがかりを大事にする人物が最後には天下を取るのが世の常です。『国盗り物語』は、日本社会で上手に生きていくためのヒントを与える文学と言えます。
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2017年07月13日

『孫正義300年王国への野望』

『孫正義300年王国への野望』

杉本貴司 日本経済新聞社 17.6.14

17.7.8 孫正義300年王国への野望.png


はじめに
・ いったい、孫正義とは何者なのだろうか……
・ 孫に導かれるように集まった名も知れぬ強者たちとのストーリーが、
 面白い。一代で売上高が10兆円に迫る巨大企業を築いた孫正義とは、
 何を目指そうとしているのか。孫と同氏の波乱万丈の物語を描きたい。
序章 恩人
・ 1978年8月。21歳の孫は奈良県天理のシャープ中央研究所に向った。
風呂敷に包んだ「発明品」を宝物のように胸に抱えていた。これから会
う佐々木専務は、日本を電子立国に押し上げた立役者の一人だ。その
佐々木の薫陶を受けて大成した若者に、スティーブ・ジョブズがいる。
・ 風呂敷から取り出したものは、留学中の孫が発明した電子翻訳機だ。シャープの協力を得て実用化したいと提案した。佐々木は孫の目の力を強く感じ、この青年の力になってみたいと考え、研究費として2000万円出しましょうと答えた。ソフトで勝負する時代の発想に思えたからだ。
・ 米国に戻った孫は佐々木から得た契約金を元手に学生ベンチャーを始め、インベーダーゲームで大儲けする。その後日本に帰り、実業家人生を始めた。孫の人生は佐々木との出会いから始まった。
第一章 再起動 世界が驚いた巨額買収、そして“後継者”との別れ
・ 「ソフトバンクが240億ポンドでアームを買収へ」。年間売上2000億円に満たない会社を3兆3000億円で買おうというのだ。孫はアーム社員に「IoTは人類史上最大のパラダイムシフトであり、戦うためには皆さんの力が必要だ。僕はアームを尊敬している。皆さんが築いたビジネスモデルで、会社の経営体制もそのままだ。皆さんを後押しするためにやって来た。」と語った。
・ 孫は「僕は決して世の中を大きく変えるような発明をしたわけではない。何か一つだけ平均的な人と比べて特徴的な能力があるとすれば、それはパラダイムシフトの方向性と、その時期を読むことに関心が強いということだ。」。これからはモバイル・インターネットの時代が来ると力説。
・ 2016年7月4日、地中海を望むトルコ南部の港町マルマリス。ヨット航海でバカンスのアーム社長のところに孫は買収の話をしに押しかけて来た。その2週間後、孫はアーム買収を発表した。
・ 設備投資の大競争の半導体産業で、アームは演算処理の速度を高める設計技術に特化している。わずか四半世紀で半導体業界の「影の巨人」と言われる地位を築いた。孫は「今後20年でアームの半導体は地球上に一兆個ばらまかれる」と言う。自動車を始め眼鏡や靴までもセンサーが取り付けられ、ネットに繋がれる。アーム買収で勝負に出た孫にも失ったものがある。インド生まれのビジネスマン後継者アロ―ラだ。アローラ招請後、社内の雰囲気が変わり、社風が変わってしまった。
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2017年07月08日

『葉っぱのぐそを はじめよう』

『葉っぱのぐそを はじめよう』

「糞土思想」が地球を救う

伊沢正名 山と渓谷社 17.1.30

17.7.3 糞土思想が地球を救う.png


はじめに
東日本大震災では私の住む茨城県の田舎町でも震度6強の揺れを記録し
 我が家は半壊。電気が止まり、3週間断水、多くの人がトイレを流すため
 に沢水や側溝から水を汲んだりして苦労していました。
  中学生のころから水戸の学校に通っていた私は、朝夕の通勤通学列車の
中で大人たちの不満や不正の会話をいやというほど聞き、人間不信に陥り
高校を中退して、日本中の山々をめぐる一人旅を始めました。日本中が
高度経済に沸き、開発による自然破壊を繰り返していました。1973年
屎尿処理場建設反対の住民運動に遭遇し、人間と自然の関わりを考え直
し、人が自然と共生するにはノグソが最も良いという結論に達しました。
1章 葉っぱのぐそを始めよう 
・ 東日本大震災でも熊本大地震でも、各地の避難所でトイレが大問題になりました。阪神・淡路大震災の避難所では水が流れなくなった便器から大量の排せつ物が溢れだしてしまいました。
  政府の試算では、東南海地震が起きれば4日間で5442万回分の災害用トイレの備蓄が必要とのことだが、経済産業省によると供給できるのは113万回分のみで圧倒的に足りない実情である。
・ 自然災害の危機に加えて、現代社会はもう一つの巨大危機・地球環境破壊がある。豊かさを追求し続けた人類は自然から多くを奪い、毒となる膨大なゴミをばら撒いてきました。このままでは近い将来、地球上の多くの生き物の生存さえ危ぶまれます。
・ 人類は自然の恵みがなければ生きられません。その命のもとは、生態系の循環の中にあります。生態系は、動物・植物・菌類というまるで生き方の違う三通りの生き物が連携し、お互いに生かし生かされ合うことで、無限に続く命のサイクルが成り立っています。
・ 動物だけでなく植物も菌類も生き物は、体をつくり活動するエネルギーを得るために、何かを食べ、必ずウンコをします。菌類の食物は、植物の遺骸である枯れ木や落ち葉と、動物の死骸や糞です。口も消化器管もない菌類は菌糸から消化酵素を分泌し、それらを体の外側で消化し、必要な養分を吸収し、要らない無機物は土の中に残し、CO2は空中に放出し、それらが菌類のウンコです。
・ 植物は、菌類のウンコを根と葉で取り込みます。葉っぱでは光合成という食事法で、CO2の中のCだけを養分として吸収し、有機物をつくって生きています。残りカスのO2を、ウンコとして空中に排泄します。動物は、植物の身体を食べ、そのウンコである酸素を吸収して生きるのです。
・ そうはいっても、街中や都会では、ノグソはとても無理です。私が提唱するノグソの大切さは、野外でお尻をまくる行為よりも、ウンコを土に埋めることがポイントです。
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2017年07月06日

『東芝解体 電機メーカーが消える日』

『東芝解体 電機メーカーが消える日』

どこで道を間違えた?

大西康之  講談社現代新書 17.5.20

17.7.3 電機メーカーが消える日.png

17.7.4 電機メーカーが消える日.png

日本の電機産業を救済してきたシステム


序章
「電機敗戦の年」。2017年は日本の歴史にそう刻まれることだろう。
  東芝の米国の原発子会社、ウエスティングハウスが米連邦倒産法適用
を申請して事実上、倒産。米原発事業で総額1兆円の損害を出した東芝
は、すでに白物家電を事業を中国に売却しており、主力の半導体メモリ
ー事業も売却計画中だ。従業員数19万人の名門企業を誰が予想できたか。
 シャープは台湾に、三洋電機の白物事業は中国に売却された。
1 東芝 「電力ファミリーの正妻」は解体へ、“廃炉会社”への道
・ 連結売上高5兆7000億円、従業員19万人の東芝が今沈みつつある。
  142年の歴史を持つ名門企業、総合電機大手は消滅した。それは東京
電力、NTTに依存した日本の電機産業の「終わり」を意味する。
・ 東芝崩壊は、2015年過去7年間で約2300億円の粉飾決算が発覚した。この粉飾は、東芝の真ん中にぽっかりと開いた巨大な闇を隠すための化粧に過ぎなかった。巨大な闇の正体を探っていくと、日本の電機産業が抱える構造的な欠陥に突き当たる。第三者委員会報告書によれば、西田、佐々木といった大物経営者が他の役員を脅し、粉飾に手を染めさせていく。だがこれは茶番でしかない。
・ 闇の中心は東芝が2006年に買収した米原子炉メーカーのウエスティングハウスだ。東芝はWH関連で約1兆円の損失が出た。約2300億円の粉飾は、原発事業という母屋のメルトダウンしている真実を隠すための行為だったのだ。米国初の商業原発をつくったWHは、米GE、仏アレバと並ぶ原子力の巨人だ。2006年に東芝が54億ドル(6600億円)で株式の77%を取得した。東芝の西田社長は有頂天になった。WHの価値は2000億円と評価される中、3倍の札束を切ったのだ。
・ 西田は東大大学院で西洋政治史を研究した業界きってのインテリで、妻がイラン人の国際派だ。「ダイナブック」のパソコン事業部を立ち上げて、頭角を現した。赤字の部門をわずか数か月で黒字化し、業界では「西田マジック」と呼ばれた。西室泰三会長に目をつけられ、社長に昇進し、自信家の西田は次期経団連会長を目指す。WH買収という大型M&Aで評価を高めようと、国内電機大手の競争力低下に頭を悩ませていた経済産業省の「原発再稼働」の側面支援も受けた。
・ 2兆円の資金を持つ産業革新機構は、またの名を「経産省の隠しポケット」と言われ、ベンチャー支援、技術振興を隠れ蓑に、「実弾」を供給する。原発推進の経産省、原発を運営する東電、原子炉をつくる東芝は原発政策の「国家企業」と呼ばれ、産業革新機構が東芝を支援した。
・ 日本の原子力研究は戦後、連合国の占領政策の中で禁止されていた。しかし、東西冷戦中の1953年、米国は核戦略を転換し、同盟国日本にも「原子力の平和利用」を促すようになった。これを受けて、当時石川島重工社長の土光が「資源の乏しい日本には原発が必要」と論陣を張った。のちに日本の電機産業の背骨となる「原発利権構造」が産声を上げた。電力10社は電気料金という名の「税金」で原発を建設し、巨額の資金が東芝、日立、三菱重工などの「電力ファミリー」に流れる。
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2017年07月04日

豊下楢彦『昭和天皇の戦後日本』

豊下楢彦『昭和天皇の戦後日本』

〈憲法・安保体制〉に至る道

岩波書店 15.7.28

1.昭和天皇の戦後日本.png

はじめに
日本の敗戦により、天皇制の存続が危ぶまれるという未曽有の危機に直
面した昭和天皇は、それを打破しようと、いかなる行動に出たのか。冷戦
が進行していく中で、天皇はどのような選択をし、自らの外交を展開して
いったのか。憲法改正、東京裁判、そして安保条約という、日本の戦後体
制の形成プロセスに、天皇が能動的に関与していった事実を、『昭和天皇
実録』を駆使して抉り出す。従来の戦後史像を塗りかえる待望の書。
第一部 昭和天皇の〈第一の危機〉――天皇制の廃止と戦犯訴追
第1章 憲法改正問題
・ 1945年の降伏文書調印から3週間も経たない9月21日の『実録』は天皇が内大臣木戸幸一に、改正の準備作業を始めるよう指示し、明治憲法の改正で、非常事態を突破したいと考えていた。
・ マッカーサーは天皇に関する自由討議、政治犯の即時釈放、治安維持法などの弾圧放棄の撤廃等を軸とする「人権指令」を発し、同指令を実行できないとする東久邇宮内閣は総辞職した。
・ 憲法改正の根本は、国会は国民によって選ばれた代議機関であること、内閣は国会に対して責任を負うこと、貴族院や枢密院は廃止、天皇の統帥権などの大権を縮小し、国会の立法権を拡大し、人権を保障すること、警察・教育における中央集権制を廃止することなどであった。
・ マッカーサーは、過去10年間の日本の政治決定と昭和天皇を結び付ける具体的で重要な証拠は何も発見されていないこと、天皇を訴追すれば日本人の間に激しい動揺を引き起こし、最小限100万の軍隊を無期限に駐留させねばならない事態も想定されると、訴追の動きに重大な警告を発した。
・ GHQ案を提示したホイットニーは、「マッカーサーは天皇を戦犯として取り調べるべきだという他国からの強い圧力から天皇を守ろうと決意し、新しい憲法の諸規定が受け入れられるならば、天皇は安泰になると考えている」と同案の核心を説明し、2月26日内閣は受入れを閣議決定した。
・ 閣議においては、改正案を日本側の自主的な案として速やかに発表するようGHQから求められたことを踏まえ、同案を天皇の御意志による改正案とすると決定した。勅語は「ポツダム宣言を受諾するに伴い、国民の平和な生活の希求と戦争放棄の決意と基本的人権の尊重に則り、国家再建の礎を定む」を願い、日本政府が「朕の意」を体して目的を達成するべきという内容であった。



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2017年07月01日

梅 雨 に な り ま し た!

梅 雨 に な り ま し た!

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東日本大震災及び熊本の被災者にお見舞い申し上げます。
6月の収穫は、キウリ2900g、ナス550g、トマト450g、
ブロッコリー450g、コマツナ300g等の4.9kgでした。
梅雨になり、雨が少なく街並みの緑が心配されたが、緑
が深くなってきた感がある。街や公園の緑は雨頼みのとこ
ろが多いので、少し前までは大変心配だったが、これでやっと緑も息が点けるのではないだろうか。我が家は雨水利用で、これからは、キウリ、ナス、トマト、ゴーヤーの時期を楽しみたい。
さて、東芝とタカタが大きな問題になっている。東芝は最早経済的合理性に欠ける原発への投資が原因と聞く。タカタは自動車の安全装備の世界的企業と言われている。ともに1兆円レベルの負債を抱えているかに聞く。地に足の着いた農林水産業を軽視し、食料自給率を39%までに下げ、アメリカ等から食料を購入し、欧米に工業製品や自動車などを販売してきた政治経済のツケである。
日本ほど温暖で、水に恵まれ、緑いっぱい、海に囲まれた安全な国は世界でも珍しい。生き物に触れる地に足の着いた範囲で操業できる農林水産業は日本にとって最適な産業であり、衣食住の原点である。日本中に広がる農地の4割も休耕田にしている農政を止め、農地の再生・活性化を行い、地域の製造業・土建業の活性化を図れば、外国の資源に依存する必要もなくなる。

2017年06月29日

宇都宮健児『東京をどうする』花伝社 17.6.25

宇都宮健児『東京をどうする』

花伝社 17.6.25

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まえがき
小池百合子都知事が誕生してもうすぐ一年になる。小池都知事誕生後、
 都政には大きな注目が集まった。連日、築地市場の豊洲移転問題やオリ
ンピック競技会場の変更問題、競技会場の建設費問題の報道がなされた。
 しかし、都政の問題はそれだけではない。広がる貧困と格差をどう是
正していくか、教育の無償化、低家賃公共住宅建設、誰もが普通にはた
らけば人間らしい生活ができるための労働政策、待機児童問題、高齢者
問題、都民の命と財産を守る防災対策、原発事故避難者支援、人権・平和
・憲法を守る東京をどうつくっていくのか等々、課題は山積だ。
第一部 東京をどうする
1章 小池都政をどう見る 
・ 小池都政は、基本的にはよくやっていると思う。最も評価すべきは、築地市場の移転を一時中断したことだ。また、豊洲問題や東京五輪問題でも、一貫して情報公開を徹底していく姿勢が見える。 都政の「見える化」「分る化」だ。実は、東京都がこれまで一番不十分だったのが情報公開だ。情報公開は民主主義にとって、なくてはならないことなので、「都民ファースト」の姿勢は良い。
・ これまで下々のものは口を挟まなくていい、偉い人が決めればいいという風潮があった。地方自治法では、自治体の使命は住民の福祉の増進であると謳っている。東京都はスウェーデンの国家予算並みの予算があり、一番の政策の中心は都民の生活、暮らしでなければおかしい。
・ 東京都の財力があれば福祉政策は変えられる。それによって国も動かすことができる。お隣の韓国・ソウル市では弁護士出身の朴元淳(パク・ウオンスン)市長が市内の小中学校の給食を完全無償にした。市立大学の学費も半額にした。ソウル市は財政が豊かなわけではないのに、お金の使い方を変えて、普遍的福祉に充てたのだ。東京都ならできないことではない。
・ 石原都政ができた時に、石原さんは「何が贅沢かと言えば、まず福祉」と言って、切り捨てた。重視すべきことを軽視してきたのが、石原―猪瀬―舛添の都政だった。
・ パナマ文書で話題になったタックスヘイブンには全世界で3000兆円が蓄積されていると言われる。日本の国家予算の30年分がこっそり隠されている。そこに課税すれば財源は出てくる。
2章 希望のまち東京をつくるための課題
・ 政府発表のわが国の相対貧困率は16.1%、こどもの貧困率は16.3%、ひとり親世帯の貧困率は54.6%となっている。非正規労働者は約2660万人、全労働者の4割になっている。非人間的な長期間労働が横行し、過労死や過労自殺が多発している。
・ 希望のまち東京をつくる課題 @貧困のない東京をつくる、 A「誰でも学べる東京」の実現、 B低家賃の公共住宅と家賃補助制度、 C東京発の働き方革命、誰もが普通に働けば人間らしい生活ができる東京に D築地市場の豊洲市場への移転は中止し、現地再整備を目指す
・ 元々、東京ガスの工場跡地の土壌対策の「盛り土」が実際は為されていなかったこと、環境基準を超える発がん物質ベンゼンなどが検出されたこと等、課題は大きい。
・ カジノは、生産的でなく、負けた人の掛け金が運営資金になる等、人の犠牲、不幸の上に成立するもので、人の不幸を踏み台にして経済活性化を図ろうなどは、政治家が考えることではない。
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2017年06月28日

飯田泰三『大正知識人の思想風景』

飯田泰三『大正知識人の思想風景』

「自我」と「社会」の発見とそのゆくえ

法政大学出版局 17.4.25

17.4.25 大正知識人の思想風景.png

まえがき
近代日本思想の歩みを、明治末から大正期、そして昭和初年にいたる
 日本人の意識・観念・思想の変化を分析し、意味づけ、叙述してみたい。
第一編 問題の起点と対象の限定
第一章 明治ナショナリズムの解体と大正知識人の成立――問題の起点 
・ 明治知識人は、明治維新、自由民権運動、明治20年代ナショナリズム
運動、明治30年代社会主義運動を担った思想主体であるのに対し、大正
知識人世代とは、日清戦争前後に物心がつき日露戦争前後の軍国主義の雰
囲気の中で自我の覚醒を与えられた「文学青年」の出自を持つ世代だ。
・ 生田長江によれば、明治維新の根本的動機は、熱狂的な対外的愛国心の覚醒で、半世紀にわたる明治時代の日本人の生活を指導・支配した。ところが、三国干渉後の軍備の拡張につぐ拡張、増税に次ぐ増税の、あらゆる過重の負担と無理な犠牲をも極度の愛国心的緊張のもとに堪えて、日露戦争になり、欧米人に目を廻させるほどの勝利後、事態は一変する。
・ ロシアに対する戦勝で「国家至上主義的思想」から「解放」に伴う「個人主義的自我主義的な考え方感じ方」の意識の覚醒で、ずっと自由思想的な態度で、ヨーロッパ文化の底の底までくぐり入り、個人主義的自我主義を中心とした「近代思想」を持ち帰るようになったのである。
・ 日露戦争後における産業界の近代的展開は、営利企業の挑発、生活不安の脅威から国民を利己主義へと駆り立て、資本主義的経済組織の完成に近づき、一方で労働問題、社会問題の興起を促した。
・ 日露戦争の勝利により、「近代化」「富国強兵化」への「外圧」と危機意識が消滅し、また明治国家体制が確立し、諸機構の官僚化が進行し、時代は閉塞し始めた。さらに日本の資本主義化の急進展が「自由競争」と「生活不安」をもたらし、「利己主義」を目覚めさせた。
・ 大正知識人を大分すると、以下の3分類になる。
明治一ケタ生まれ;橋渡し世代:夏目漱石、徳富蘆花、西田幾太郎、高山樗牛、長谷川如是閑
明治10年代生まれ;中心世代:有島武郎、吉野作造、河上肇、阿部次郎、大杉栄、石川啄木
明治20年代生まれ;後続世代:荒畑寒村、河合栄次郎、土田杏村、宮沢賢治、三木清、
中心世代にはもはやナショナルなエートスはなくなり、社会主義者も明治期とは肌合いが異なる。
・ 元来、江戸時代以来の「戯作者」の伝統、明治期の政治志向・実学志向の優位によって、日陰者的地位に貶められていた文学の世界が、「近代文学」として確立し、知識人の知的形成により次第に重要な地位を占めてくる。他方、「大正知識人」のルートにアカデミズムの成立がある。
・ しかし、血みどろで確執を醸すような“日本的”「近代的自我」の実質は乏しく、大逆事件に象徴される「天皇制社会」(藤田省三)の確立に結びつくことになっている。
・ 大正中期以後における「デモクラシー」と「マルクス主義」への知識人への大量流入は、「世界の大勢に順応」して優等生的「新人」たちの動向であったが、「国体に反する」ものとして弾圧・試練、世間―村―家の重圧を受け、「自我」と「社会」のリアリティを獲得していくことになった。
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2017年06月26日

江東区議会 本会議、防災・まちづくり対策特別委員会傍聴記

江東区議会傍聴記

 本会議、防災・まちづくり対策特別委員会

T.本会議  2017年6月6日
 ・ 本会議の傍聴者は8人と少なく、区長挨拶から始まった。10名の区議さんから質問があり、
山崎区長と区役所職員による答弁がなされた。
 ・ 資料の配布がないので中身の理解はできないことが多かったが、気になった質問について以下にメモを記す。
米沢議員:豊洲移転問題に関して、築地の方がベターとの意見もあるが、従来の議論を無視したものでしかない。中央防波堤埋立地の本区への帰属問題は区長以下の特段の配慮が望まれる。
 正保議員:豊洲の無害化は不可能と都が発表した。埋立土がないことから判断すると、有害物質の混ざった地下水や土砂の心配の外に、地上の安全の心配だ。元々東京ガス工場の有害工場であり、土壌改良はできないのではないか。築地有害説も出されているが、その起源からして全く
汚染度は小さい。世界的ブランドの築地市場の再使用が適当ではないか。
 仙台堀川公園は、多くの区民に親しまれ、ツミが棲む素晴らしい場所である。CIG推進の
江東区にとっては特に重要な自然の場である。無電柱化推進のために、大きく育った木を多数
伐採して整備するなどは問題が大きい。また、川を暗渠化することは、今一番大きな課題の
「生物多様性」が失われてしまう。無電柱化のための公園削除はすべきではない。住民の意見
を十分反映した意見交換会を行い、最善の対応をすべきである。
 平和は対話を積み重ねることが最も重要で、世界で最も進んだ「平和都市宣言」を守りたい。

U.防災まちづくり特別委員会 2017年6月21日
 @ 議案第52号 水防又は応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例一部改訂
 ・ 非常勤消防団員・水防団員の危険な作業に対しては応分の損害補償を検討すべきである。
 A 議案第53号 江東区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例一部改訂
    以上は区長提案のまま通過決議された。
 B 27陳情第46号 ワンルームマンションの規制強化を求める陳情
   27陳情第47号 江東区マンション等の建設に関する条例改正・壁面後退距離の拡大
 ・ ワンルームマンションの壁面後退距離は現状50cmと小さく、1mに変更すべきである。
 ・ 大島地区の200戸のワンルームマンション建設は、地域住民のコミュニティ崩壊につながる
危険性が高い。抜本的な取り止め検討を望む。事業者と地域(町会、自治会)の協定が必要。
 C 報告事項
 @.被災者支援の状況について
 ・ H29年でも429世帯が東雲に避難されている。バーベキュー、サツマイモ植え、親子サロン等を行っている。戸別訪問も行っているが、全く会えていない人もいる。
 A.豊洲地区都市計画、大規模開発計画
 ・ 都市開発計画に伴う小学校の校庭が狭いが検討すべきである。
 ・ IHI地区、豊洲地区、潮見地区などが計画されている。
 ・ タワーマンションの立入り検査による防災対策違反は、イギリスならずとも大問題である!
 B.コミュニティサイクル
 ・ 全区的取り組みに向けて進めている。使用者数は拡大しているが、未だ黒字化していない。
   他区との連携や収納地の偏りなどが今後の課題となっている。

所感:高齢者ができる江東区をより良くする活動の一つとして始めた区議会傍聴であるが、資料の
 配布がなく、中身の把握が困難である。しかし、江東区内民主主義前進のためには今後とも時間
 の許す限り参加し、瓦版による報告を続けていきたい。生物多様性立国を祈念して。

2017年06月24日

江東区助け合い活動連絡会定例連絡会

江東区助け合い活動連絡会定例連絡会

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日時:2017.6.21    所:砂町文化センター
1.開会挨拶:渡辺世話人代表(大島2丁目町会)
2.新会員自己紹介・活動紹介
参加者の確認と初めて参加した人が活動紹介。
3.「KOTO活き粋体操」の模擬練習
   講師:森 千珠(江東区地域ケア推進課 保健師)
   講師の指導の下に、ビデオに合わせて「筋力トレーニング編」「水彩音頭編」を体験した。
   個人にも区の財政にも優しい健康長寿で「江東区助け合い活動」を広めることになった。
4.連絡会の活動経過報告
@連絡会の活動経過報告
  ・第9回連絡会(3/13) 別紙配布会議録参照
  ・第3回研究会(4/19) 参加者32人 「連絡会通信No.1」参照
  ・第1回総会(5/18)  出席者45人 「総会議事録」参照
 A区・社会福祉協議会からの情報提供
  ・きらめきコミュニティ開催: 6月21日砂町文化センター、6月28日豊洲文化センター
                 7月19日総合区民センター、7月26日森下文化センター
    参加人数は少し減少傾向、運営手伝い募集中
  ・「町会・自治会活動ハンドブック〜個人情報保護法編」の配布と改定内容の説明
  ・「地域包括ケアシステム」
    目的:誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる街を目指す
    内容:多様な主体が助け合う〜一人暮らし、認知症、ガン、脳血管疾患、難病の対応策
       自助・互助・共助・公助
    仕組:区民・医療・介護・福祉の関係者が集まった会議体で、団結して推進行動します!
5.当面の活動計画案の検討
⑴ 江東区助け合い活動連絡会第4回研究会
日時:2017年7月24日(月)10:00〜12:00 高齢者総合福祉センター
    ⑵ 助け合い活動連絡会第2回定例連絡会
      日時:2017年9月27日(水)14:00〜15:30 森下文化センター
    ⑶年会費納入・「連絡会登録シート」
      年会費(団体3千円、個人千円)  「登録シート」登録のお願い
   ○意見他:サポートセンターのPR旗の設置要請、行政の対応が親切でないとの意見
に対し、行政の縦割りを自治会・町会が打破しましょうとの意見が出た。
6.閉会挨拶:吉野世話人副代表
・最近はボランティアに参加したい人が増えている。東砂の「よっちゃんの家」に来た
方に、少しづつボランティアになって頂いている。人は人と繋がることで「自らの安
心安全な町づくり」に参画・貢献できる喜びを感じるようになっている。