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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(平成29年11月) [2017年11月24日(Fri)]
今月の俳句(平成二十九年十一月)

 兼題は「立冬」「冬立つ」です。兼題句のほかに、晩秋や初冬の句が今月の俳句では選ばれました。句評は、ご本人の俳句以外は藤戸さんです。今月の一句の選と評は皆川瀧子が担当しました。

「冬立つや背戸(せど)に並びし漬物樽」
  宮ア 和子

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現在は流通の発達のおかげで冬支度は昔ほどではなくなったようですが、昔、雪国では冬季を乗り切る為に種々の保存食を蓄えねばなりませんでした。その一つが漬物。大根・蕪・白菜などを樽に漬け込みます。大家族であれば大樽がずらりと並びます。この句の背戸とは裏の入り口、家の後ろの意で、物置や厨近くでしょうか。作者が長野を訪れた時の句とお聞きしました。現在でもこのような暮らしぶりが田舎には残っているのでしょう。
冬立つの季語により、雪国の厳しさ、そこに生きる人々の生きる知恵と生命力を感じます。


「すれ違う樟脳の香や冬立てり」
  湯澤 誠章

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樟脳(しょうのう)とはクスノキの幹・根・葉を蒸留し、その液を冷却して析出する結晶。こんなご大層な解説より防虫剤のナフタリンといった方が判りやすいですね。最近はあの独特の芳香のない防虫剤が主流のようですが、中には防虫剤の匂いを撒き散らしている方もいるようです。すれ違いざまに匂った樟脳に作者は冬の到来を実感されたのでしょう。
ひょっとして作者は子供の頃の季節の変わり目を想起されたのかもしれません。

「冬麗(うらら)からくり時計刻(とき)を告ぐ」
  小野 洋子

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からくり(絡繰り)とは精巧な仕掛けで動かすことをいいます。江戸時代には
お茶を運ぶからくり人形などが作られました。このような仕掛けが組み込まれた時計がからくり時計で、西洋では教会の大時計で時刻を告げる際に音楽隊や兵士の小さな人形が出入りして人々を楽しませてくれます。身近では鳩時計もからくり時計といえましょう。東京では有楽町の駅近くのビルの壁面に大きなからくり時計が時刻を知らせています。
冬の暖かいある日、戸外でからくり時計を見上げて楽しんでいる人々の景が浮かびます。季語により平和で和やかな雰囲気が強調されました。

「ミシン踏む音軽やかに冬日和」
  皆川 瀧子

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最近はミシンは電動式が主流のようで、足踏みミシンは博物館入りしたようです。足踏みミシンの音はカタカタ、電動式はダーダーと速力に違いはありますが、この句では足踏みミシンの音が想起されます。あの軽やかな音は真に心に優しく響きます。暖かい家庭、平和な日常を思わせるからかもしれません。冬日和は冬の晴れた日のことで、冬の季節であればこそ暖かさが一層有り難く感じられます。優しいお母さんを思い出させる一句。

「霧しぐれ見え隠れする朱の鳥居」
  皆川 眞孝

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作者が芦ノ湖を訪れた時の一句。霧時雨とは霧(秋の季語)が深くかかったさまを時雨に見立てた語です。芦ノ湖は標高が高く、周りを山にかこまれて霧が発生しやすい地形となっています。また、湖には箱根神社の赤い鳥居(平和の鳥居)があります。その鳥居が見え隠れするということは霧が流れていることを意味します。白く深い霧と赤い鳥居の取り合わせが綺麗ですね。動きのある景を的確に表現されました。

「古書店の淡き灯りや冬暮色」 
 渡辺 功

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暮色とは暮れ方の薄暗い色のこと。暮れ方は何となく侘しい感じがします。まして冬の暮れ方は侘しさが一層募ります。最近は明るく大きな古書店もありますが、やはり古書店のイメージは華やかさとは真逆の地味で落ち着いた感じを多くの方はお持ちではないでしょうか。この句の古書店も煌々とした蛍光灯ではなく白熱灯がぼーと灯っている景が浮かびます。侘しくも懐かしい感じが季語により強調され、暮色の措辞によりさらに品の良い句に仕上がりました。

「鉛色の越中の海冬近し」
  木原 義江

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作者が富山を旅行された折の句。鉛色とは鉛の色に似た淡い鼠色のことで日本海の冬の海の色です。太平洋側に住む者の目には鼠色の海の色は真に寒々しく感じられます。また、明るい水色か藍色の海を見慣れた目には鼠色の海は海水そのものを重く感じるかもしれません。
冬が近くなったと実感する海の色は日増しに色を濃くしていくことでしょう。

「冬立つや号令響く消防署」
  藤戸 紘子

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今年の立冬は11月7日でした。たまたま立冬の日に消防署の前を作者が通りかかると、中では厳しい訓練の真っ最中、号令や鋭い笛の音が聞こえたそうです。確かに冬は夏と比べると火災が多い季節です。冬立つの季語で、消防署員たちの冬への覚悟が感じられ、きびきびした動きや大声の号令の響きが、俳句を読む私達の胸に届き、こちらまで緊張します。冬の初めにぴったりの俳句だと思います。(評―皆川眞孝)

今月の一句(選と評:皆川瀧子)

「抹茶香る茜の碗や冬紅葉」
 藤戸 紘子

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冬紅葉の下での野点でしょうか?
それとも日本庭園の見える屋内でのお茶会でしょうか?
茜色のお茶碗に香りの良い緑色の抹茶でのおもてなし、実に美しい光景が想像できます。茜の茶碗と、庭の冬紅葉が響き合っています。
何とも贅沢な時間を過ごされた作者の御満悦の様子が目に浮かぶ佳句だと思います。 (皆川瀧子)

<添削教室> (藤戸紘子先生)

原句「夕紅葉白雲湧きて富士烟る」 皆川 瀧子
山中湖で見た富士山を句にしたそうですが、「富士烟る」と「白雲湧きて」が重なっていて分かり難い感がします。また、夕紅葉より「冬紅葉」とした方が、ぼーとした感じがでて、季節的に新鮮味があると思い、次のように添削してみました。いかがでしょうか。
添削後
「うす雲に烟る富士の嶺冬紅葉」
   皆川瀧子
  
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Posted by 皆川眞孝 at 09:00
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