• もっと見る
多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
<< 2014年05月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
出浦洋子
今月の俳句(令和6年3月) (03/22) 藤戸 紘子
今月の俳句(令和6年3月) (03/22) 皆川
今月の俳句(令和6年3月) (03/21) 出浦洋子
今月の俳句(令和6年3月) (03/21) 藤戸 紘子
今月の俳句(令和6年2月) (02/21) 皆川眞孝
今月の俳句(令和6年2月) (02/20) 出浦洋子
今月の俳句(令和6年2月) (02/19) 出浦洋子
今月の俳句(令和6年1月) (01/25) 藤戸 紘子
今月の俳句(令和6年1月) (01/24) 宮ア和子
今月の俳句(令和6年1月) (01/23)
最新トラックバック
月別アーカイブ
読書感想「下町ロケット」 [2014年05月11日(Sun)]
読書感想「下町ロケット」

s-rocket.jpg

この本は、今売れっ子の池井戸潤の直木賞受賞作(2011年)です。池井戸潤は、「半沢直樹」のドラマの原作者で、彼の作品をドラマ化した連続ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」と「花咲舞が黙ってない」(「原作「不祥事」ほか)が現在TVで放映中です。

皆さんは、この本のタイトルからどんなストーリーを想像しますか?下町から打ち上げる、おもちゃのようなロケット?いえいえ、このストーリーの中のロケットは、宇宙に打ち上げる本格的なロケットです。下町というのは、大田区の町工場の社長が主人公だからです。この町工場で作られた精密部品が、ロケット打ち上げに大切な役割を果たすという話です。
  なにか、難しそうに聞こえますが、とても面白い小説です。女性がほとんど出てこないビジネス小説ですが、冒険小説のようにハラハラ・ドキドキの場面が続き、一気に読めます。
trokett3.jpg

主人公佃航平は、若い時にはロケット工学の研究者で、実際のロケット打ち上げにかかわっていました。ところが打ち上げ失敗となり、その責任をとって研究所を辞めて、父親が経営していた機械製作の町工場の社長を引き受けます。しかし昔の夢を忘れられず、商売にはなりませんが、ロケットエンジンの研究開発も続けていました。会社の規模が拡大したところで、大口取引先から取引停止を言い渡され、ライバルの上場企業から特許侵害の訴訟を起こされ、それを知ったメインバンクから融資を断られるなど、次々と難問が襲い掛かります。前半は、これらを解決していくための社長や従業員の苦労の話です。やっと解決の目途がついた時に、今度は、国産ロケット生産の巨大企業が、この会社の特許技術に目をつけて、技術を使わせてくれるか、売ってくれるかと迫ってきます。特許を売れば莫大なお金が入ります。従業員は会社を救うために、特許を売るように社長に頼みます。ところが社長の佃は、安易な道を選ばず、自社でエンジンの部品を製造する道を選びます。部品購入なら下請けと同じだと、いままで低姿勢だった巨大企業は、手のひらを返したように、高飛車となります。部品に不良個所が見つかり、窮地に陥ります。果たしてこの会社の部品は受け入れられるでしょうか?
rocket1_2.png

この作者の巧みところは、大企業=強者=悪、中小企業=弱者=善、という簡単な図式にしていないところです。町工場の中でも社長の方針に反旗を翻し、裏切る人間もいます。大企業や銀行の態度には、読んでいても腹が立ってきますが、大企業の社員の中にも、この町工場の製品の高い品質に気が付く人もいます。
なお、著者は元銀行に勤務していたので、銀行の内部事情をよく知っていて、リアリティがあります。

夢を持ち続ける大切さをテーマとしたこの小説は、私たちを元気づけてくれ、どなたにも推薦できます。
(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
| 次へ
プロフィール

三井台南窓会(日野市老人クラブ)さんの画像
リンク集
https://blog.canpan.info/nsk/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/nsk/index2_0.xml