非日常の猫たち [2012年01月09日(Mon)]
2011年5月14日午前4時07分。マルコが逝った。
同年4月28日午前8時35分から29日午後2時15分まで、
ぼくは被災地のサポートの疲れで倒れて、一階玄関先の和室で
寝たきりの日を過ごした。
29日午後2時30分、ふらつきながら、猫たちのいる二階に
上がっていくと、マルコがぐったりとしていた。
いままで元気だったマルコを見て、彼の死が、まじかに迫って
いると感じた。
アプリコットの毛並、エメラルドグリーンの瞳、ピンクの鼻。
立って二本足で歩くことのできる猫。
性格の良い、病気ひとつしたことのない元気な男の子。
死ぬことなど考えられなかった。なぜだ?
その日から、ぼくは、どうしてもタイムスリップして過去に戻り、
彼がどうして逝ってしまったのか、その理由と原因を知りたいと
祈った。
だが、いったいどのくらいの過去に戻ればいいのだろう?
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Posted by
明平規男
at 19:03
非日常の猫たち [2012年01月07日(Sat)]
 東日本の大震災から7ヶ月と16日が経った。
時間はあっという間に去っていく。
「あすか」
ぼくは、目の前に座っているあすかに問いかけた。
銀色にかがやく見事なエンジェルキャットだ。
「幾つになった?」
「じゅうごさいと はちかげつ」
あすかはそっっけなく答えた。勿論、夢の中での会話だ。
あすかは今月、正確に言えば、2011年10月21日に
天国に行ってしまったからだ。
「そんなに長い間一緒だったのか」
ぼくは言った。
「ぼくはもっと短い時間だと思っていたよ」
「じゅうぶんに ながかったけど」
あすかは答えた。
「あすかにとっては みじかかった」
「ぼくもだ」
ぼくは答えてから、ふと気付いた。15年8ヶ月の間、
あすかは一緒にいたんだ。ぼくになにを望んでいたの
だろう。
「おいしい おしょくじ」
あすかは、ぼくが尋ねる前に、そう言った。
「おとうさんは?」
「一緒にいるだけで良かったよ」
ぼくもすぐに答えた。
「だいじょうぶ これからも そばにいてあげるから」
あすかが言った。
「そんなことできるの?」
ぼくは訊いた。
「感じる力があれば」
あすかは言った。
「まるこだって ここにいるよ」
ぼくは慌てて、周囲を見た。
「ここだよ おとうさん」
マルコがいた。次第にはっきりと見えてきた。
夢の中だからだと、ぼくは思った。
「ちがうよ ゆめからさめても そばにいるよ」
マルコが言った。
「おとうさんは わたしたちに なにをのぞんでいたの?」
あすかが言った。
「そういえば、何も望んでいなかったなぁ」
ぼくは答えた。
「ぼくと猫たちはお互いになにも望まないで一緒にいたんだ」
そう思った瞬間に、ぼくは夢から覚めた。
時計を見ると、まだ午前4時をちょっと過ぎている。寒い。
「おはよ」
モモがぼくに言った。そして、モモは大きなあくびをした。
「モモ、おはよう。きみは幾つになった?」
同じことを訊いた。
「まるこが10歳と11ヶ月だから、あたしは9歳と9ヶ月」
「9&9か〜」
そう言って、ぼくも大きなあくびをした。
「ぽいんとは きょりかんだよ」
モモは蓮っ葉な物言いをするのが好きだ。
「距離感?」
ぼくは訊いた。
「そう おとうさんと あたしたちのこころのきょりかんを
どう いじするかってこと」
モモは言った。
「ねこは そういうことにこだわっているんだ」
「対等ってことか?」
ぼくはふたたび訊いた。
「そんな たんじゅんなもん じゃないよ」
モモは言った。
「おもいやり いや それだけじゃないな おたがいを
おもいやるけど むかんしんでもある ま そんなとこだ」
「そんなもんだな」
ぼくもモモに同意した。
「ただし けいやくがそんざいしているんだ」
「契約?」
「そう けいやく」
「どんな?」
「おとうさんは あたしたちにおいしいたべものを
ていきょうする あたしたちは おとうさんといっしょにいる
どんなことがおこっても あいてをみすてない
これがけいやくの じゅうようなぽいんとだ」
モモは最後のフレーズを力を込めて言った。
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Posted by
明平規男
at 20:01