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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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沈黙の犬たち [2018年11月29日(Thu)]
久しぶりに戻ってまいりました。明平暢男
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Posted by 明平暢男 at 07:45
うまくいっている人の考え方 [2017年11月05日(Sun)]
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人生がうまくいっている人の特徴は「自尊心」が高いことだと著者はいう。
自尊心とは、自分を大切にしようとする心だ。
自尊心のある人は常に自信に満ちあふれ、失敗やまちがいを犯しても、
それを前向きにとらえて次のステップの土台にする心の余裕がある。
人生のほとんどすべての局面に自尊心は大きな影響を与えることになる。

本書で著者は自尊心を高める方法を100項目紹介している。
これを読めば、自信を身につけ、素晴らしい人間関係を築き、毎日が楽しく過ごせるはずだ。どこから読んでもいい。そして、できることから実践しよう。
昨晩一気に読みました。面白かったです。 明平暢男

Posted by 明平暢男 at 08:41
書籍紹介「ダマされない技術」 [2015年04月15日(Wed)]
書籍紹介「ダマされない技術」
     著者、間川清(弁護士)
  平成26年8月 法研 発行

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最近の詐欺は巧妙になりつつあります。TV,新聞で「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」の注意を呼び掛けていますが、いろいろな手口で騙される人は減っていません。
この本は、詐欺事件を多く扱っている現職の弁護士が実例を沢山入れて、「騙されずにこの世の中を生き抜くサバイバル能力を身につけてもらうことを目標」に書いたものです。
オレオレ詐欺だけでなく、幅広くいろいろな詐欺について触れています。
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まず、騙される人の心理法則について解説しています。例えば、裁判にかけられるのではないかという「恐怖心」、宝くじに当たったといわれ賞金を得ようという「欲望」、親切にしてくれたからという「お返しの心理」、ずるずると引きずってしまう「一貫性の心理」、他人もしていると言われて同調する「みんなと同じになろうという心理」、好意をもった相手の言いなりになる心理、専門家の意見なら正しいだろうと信ずる心理、残り一つといわれ飛びつく心理、などです。
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次いで、騙そうとする敵の戦略について説明があります。例えば、意図的に「沈黙」を作り出し話を引き出して信頼させるテクニック、「手書きの手紙」で同情心を得る戦略、出身地や出身校が同じだと近づく手法、褒めておだてて自尊心をくすぐる方法、などです。
著者が弁護士なのにダマされた経験を話していますが、それは初めて来た依頼者が「学生時代、先生と同じアメフトをしていた」と言われ、心を許し報酬を後払いにして、結局踏み倒されたという話です。その依頼者は、嘘つきの名人で、アメフトをしたことがなく、ネットで弁護士の経歴を調べて近づいたそうです。
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それでは、騙されないためにどんな心構えが必要でしょうか?ここがこの本の眼目ですので、目次のタイトルをあげます。
「おいしい話を他人に教える人はいない」「タダ飯はどこにもない」「思考停止=ダマされる」「平気で人をダマす人がいる」「話が通じない人がいる」「『自分がだまされない』が一番危ない」「欲望を持った時が一番危ない」「詐欺師でなくあなたがあなたをダマしている」「ダマす人は焦りがあるところを探している」
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本ではこの後、騙す相手への反撃方法、騙されてしまった場合の対処方法、だまされないための予防方法、騙されないための法律知識、と続きますが、省略します。
一番大切なのは、誰でも騙される可能性があると理解してダマされない心構えをもつことでしょう。
皆さんも、騙されない技術を得るようにしてください。
(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
読書感想「弱者の戦略」 [2015年02月18日(Wed)]
読書感想「弱者の戦略」
稲垣栄洋著(新潮選書)2014年6月 

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自然界は「弱肉強食」といわれているが、一見弱そう生物も生き残っている。どのような戦略を使って生き延びているか、というのが本書のテーマである。
著者の専門は雑草生態学とのことだが、植物だけでなく動物についてもよく研究して、具体例が多くて面白く読めた。

生物にとって、子孫を残すことが最大の課題であり、使命である。そのため、弱いと思われる生物が生き延びるためには、@食われないこと A他の生物との競争に勝つこと(種間競争) B同じ種内での競争に勝つこと(種内競争)が必要となる。生き残るのはその世界でのナンバーワンだけである。ナンバーワンとなれる場を求めて(生物学ではニッチという)死にもの狂いの争いがある
たとえば、イワシは群れになって泳ぐので、大きな魚が目標を定め難い(群れる)。蝶々は、ヒラヒラと鳥が捉えにくいように飛ぶ(逃げる)。ナマケモノは、天敵ジャガーに見つかりにくいスローな動きでエネルギーを使わないようにし、他の生物が食べない毒のある植物を食べ、生き延びる(隠れる)。
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ナマケモノ

サバンナの草食動物達は、シマウマは草の先端を食べ、ヌ―はその下の茎を食べ、ガゼルは根に近い部分を食べる等、同じ場所にいながらも食べる部分を変えて棲み分けている(ずらす)。このように、弱い者の戦略を、「群れる」「逃げる」「隠れる」「ずらす」と分類して説明しているのも分かりやすい。

我が家の庭で見かけるのはほとんどが西洋タンポポなので、日本タンポポが西洋タンポポに追いやられたと思っていた。ところが、西洋タンポポは他の植物が多い場所では夏に光を浴びることが出来ず枯れてしまうという。日本タンポポは春の早い時期に花を咲かせ「夏眠」で暑い夏をやり過ごすという。この「ずらす」戦略で、他の植物が多い場所では日本タンポポの方が強いというのは、新しい知識だ。
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この本の中で面白かったのは、強者の力を利用する「擬態」という戦略だ。ヨナグニサンという蛾の仲間は、羽の先端の模様が蛇のようになっていて、鳥から身を守っている。
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ヨナグニサン(蛾)

最後にでてくる「飼い犬の戦略」は、私が娘の犬を散歩につれていく時、いつも感ずることだ。何もしなくても餌をあげ、散歩に連れ出して、糞の始末をきちんとしてあげる、これでは人間が犬の奴隷ではないか。犬が人間を利用して生き延びているという考えは、確かに納得できる。

自然界では「強い者が勝つのではない、勝ったものが強いのである」という。ビジネスの世界でも、「ニッチ市場」という言葉がある。ニッチというのは、もともと隙間を意味するが、大企業が手を出しにくい狭い特殊な市場を意味し、その市場で成功している中小企業もある。弱者がどのような戦略を使って勝っているかを知ることは、私達の人生のヒントにもなる。この本は、それらの戦略を沢山の例をあげて面白く優しく書かれているので、お薦めできる。
(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
リスボンへの夜行列車 [2014年11月30日(Sun)]
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定年間近のギムナジウム教師・グレゴリウス。
古典文献学を教えていて、ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語に精通し、
聖書や古典に対する深い知識から、皆に「ムンドゥス(世界)」と
敬意を込めた異名で呼ばれる男が物語の主人公。

まるで古典の中に生きているような「現代語」の会話さえ苦手な彼が、
偶然であった女性が残したただ一つの言葉
「ポルトゥゲーシュ(ポルトガル語)」の響きに導かれて、
一冊の本にたどり着く。

リスボンの医者アマデウ・デ・プラドが書いたという本、
『言葉の金細工師』。
文字通りその本の虜になった彼は、押さえきれない衝動に突き動かされて
すべてを投げ捨ててあてもないままにリスボン行きの夜行列車に乗りこみ、
行き当たりばったりにプラドへとつながる道を探っていく。

プラドの肉親、友人、恋人を訪ね、プラドの足跡を追ううちに、神学論や
かつての独裁政権下での抵抗運動に触れ、生と死、生きることの意味、
自分とは何か……と、本が投げかけるあらゆる問いかけについて考えていく。

プラドを知るための旅は結局、グレオリウス自身を探す旅となった。

私たちは自分の中にある、ほんの一部分を生きることしかできない。
残りはどうなるのだろう?

プラドの哲学的なテキストがあちこちに挿入されるので、少し読みづらいが、
少しずつ明らかになるブラドの姿を追うストーリーは、上質なミステリーを
読んでいるかのようなスリルを味わうことも出来る。
Posted by 明平暢男 at 00:00
読書感想「下町ロケット」 [2014年05月11日(Sun)]
読書感想「下町ロケット」

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この本は、今売れっ子の池井戸潤の直木賞受賞作(2011年)です。池井戸潤は、「半沢直樹」のドラマの原作者で、彼の作品をドラマ化した連続ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」と「花咲舞が黙ってない」(「原作「不祥事」ほか)が現在TVで放映中です。

皆さんは、この本のタイトルからどんなストーリーを想像しますか?下町から打ち上げる、おもちゃのようなロケット?いえいえ、このストーリーの中のロケットは、宇宙に打ち上げる本格的なロケットです。下町というのは、大田区の町工場の社長が主人公だからです。この町工場で作られた精密部品が、ロケット打ち上げに大切な役割を果たすという話です。
  なにか、難しそうに聞こえますが、とても面白い小説です。女性がほとんど出てこないビジネス小説ですが、冒険小説のようにハラハラ・ドキドキの場面が続き、一気に読めます。
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主人公佃航平は、若い時にはロケット工学の研究者で、実際のロケット打ち上げにかかわっていました。ところが打ち上げ失敗となり、その責任をとって研究所を辞めて、父親が経営していた機械製作の町工場の社長を引き受けます。しかし昔の夢を忘れられず、商売にはなりませんが、ロケットエンジンの研究開発も続けていました。会社の規模が拡大したところで、大口取引先から取引停止を言い渡され、ライバルの上場企業から特許侵害の訴訟を起こされ、それを知ったメインバンクから融資を断られるなど、次々と難問が襲い掛かります。前半は、これらを解決していくための社長や従業員の苦労の話です。やっと解決の目途がついた時に、今度は、国産ロケット生産の巨大企業が、この会社の特許技術に目をつけて、技術を使わせてくれるか、売ってくれるかと迫ってきます。特許を売れば莫大なお金が入ります。従業員は会社を救うために、特許を売るように社長に頼みます。ところが社長の佃は、安易な道を選ばず、自社でエンジンの部品を製造する道を選びます。部品購入なら下請けと同じだと、いままで低姿勢だった巨大企業は、手のひらを返したように、高飛車となります。部品に不良個所が見つかり、窮地に陥ります。果たしてこの会社の部品は受け入れられるでしょうか?
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この作者の巧みところは、大企業=強者=悪、中小企業=弱者=善、という簡単な図式にしていないところです。町工場の中でも社長の方針に反旗を翻し、裏切る人間もいます。大企業や銀行の態度には、読んでいても腹が立ってきますが、大企業の社員の中にも、この町工場の製品の高い品質に気が付く人もいます。
なお、著者は元銀行に勤務していたので、銀行の内部事情をよく知っていて、リアリティがあります。

夢を持ち続ける大切さをテーマとしたこの小説は、私たちを元気づけてくれ、どなたにも推薦できます。
(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
先生のお庭番・読書感想 [2014年04月20日(Sun)]
先生のお庭番 読書感想

ようやく春の気配が濃くなり、花と若葉の美しい季節になりました。
三井台住人には幸せな時です。
日本が、樹木と花の種類が多様・多彩で素晴らしい国であることに幕末、明治に来日した西洋人は非常に驚いたようです。
長崎・出島のオランダ商館の医師として来日したシーボルトは、その一人です。
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シーボルトの肖像画
シーボルトは、日本の樹木、花木に深く魅せられ西洋に移植を試み成功しました。当時、種子や苗木を灼熱のインド洋を越えてオランダに運ぶのは容易ではなく、日本の庭師の智恵と工夫があってのことだったのです。
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『先生のお庭番』(徳間書店)は、『恋歌』で直木賞を受賞された朝井まかてさんの小説で、シーボルトとオランダ商館の庭師との交流を描いています
長崎郊外の鳴滝シーボル記念館、そしてオランダ・ライデンのシーボルトハウスを訪ねた記憶が蘇りました。

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長崎・鳴滝 シーボルト記念館の一部

 あらすじ
庭師・熊吉は、オランダ商館で働き、植物の採集、植樹、植物園の整備、標本作りでシーボルトに信頼され、また、種子と苗木を7カ月かけてオランダに運ぶ工夫を考えだします。
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標本をもとに描かれた写生画 ユキノシタ

日本人妻・お滝さんが闊達で魅力的な女性として描かれており、熊吉と奥方との会話がこの小説を面白くしています。 
シーボルトは日本の紫陽花を特に好み、植物園では「オタクサ」の名で栽培されていて、お滝さんの名前からとったとされています。
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紫陽花の写生画

商館での任務を終え、苗木を船積にしてオランダに送ろうとする時に、御禁制の日本地図の持出が露見、有名な「シーボルト事件」が起こります。関係した幕府天文方・高橋景保が獄中の拷問で死去したいたましい事件になりました。
国外追放となったシーボルトは、お滝さん、娘のいねと別れ帰国、オランダ・ライデンに居を構えますが、今、「シーボルトハウス」という博物館になっています。オランダ旅行の際、このシーボルトハウスを訪ねるのに苦労しました。

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シーボルトハウス・パンフレットより
 

今では、地元ではシーボルトを知る人は少なく、道を聞いてもわからないのです。シーボルトが実はオランダ人ではなくドイツ人だったことも影響しているのかもしれません。

小説の最後は、シーボルトの娘イネが成人し、日本ではじめての女医となって熊吉を訪ね、シーボルトが精魂こめて書きあげた日本植物誌『フローラ・ヤポニカ』を渡します。熊吉は、昔、自分が作った標本を元に精確に描かれた紫陽花やいろいろな花の絵を飽くことなく眺める場面で終わります。
『フローラ・ヤポニカ』は図版80点を掲載。日野図書館蔵書です
Posted by 菊間敏夫 at 08:00
「永遠のゼロ」感想(秋澤洋三) [2014年03月14日(Fri)]
「永遠のゼロ」感想(秋澤洋三)


南窓会元役員の秋澤洋三さんが87歳で亡くなられてから、まもなく1年になろうとしています。(4月25日が1周忌)お元気な時に、秋澤さんに百田尚樹著「永遠のゼロ」をお貸ししました。ご丁寧な読書感想文をいただきました。秋澤さんは海軍兵学校75期生として在学中に終戦をむかえたので、最後の卒業生となりました。もうすこし長く戦争が続けば戦地に行っていたところです。海軍について知識のある秋澤さんですので、私たちと違った見方をしております。最期まで頭脳明晰で凛としていた秋澤さんを偲んで、このブログで感想文をご紹介します。(皆川眞孝)

永遠のゼロ」を読んで
秋澤洋三


百田尚樹著「永遠の0」をお貸しいただき、ありがとうございました。600頁に及ぶ大冊に感動し、驚きながら読みました。昭和31年生まれで、戦争も飛行機のことも経験したことのない著者が、よくも詳細に技術的なことまで書かれたと感銘しました。
以下本書についての感想を2〜3申し上げます。
1. ラバウル・ガダルカナル等南方作戦の戦闘状況が詳細に書かれていて、予て知りたいと思っていたことが分かり新しい発見をしました。

2. 撃墜王坂井三郎氏には三水会(私も関与している海軍兵学校75期有志の講演会)で依頼し、戦争時の生々しい体験を直接聞いております。銃弾の当たった鉄兜を見せてくれました。氏は海軍の下士官でした。
(皆川注:下士官は兵隊の中の階級で、通常は兵から昇進する。兵学校などの卒業生はすぐ士官になる。下士官は、士官と兵の間にあって兵を統率する軍隊の中核。本の主人公の宮部久蔵も下士官)

3. 我々海軍兵学校生徒は下士官を尊敬しておりました。教官は兵学校出の先輩で、肉親的な親しみがあるが、実戦や技術的な体験を持つ下士官に教員として実地的な教えを受けており、実力を有する意味での尊敬をしていました。

4. 書中、兵学校出の指揮官の批判的な文章が見られるが、頷けないところも感じます。

5. 私の入校時の校長は、海軍左派と言われた米内光政・山本五十六・井上成美の一人、井上成美中将で、普通学・英語・人格向上を重視した教育でした。終戦時の校長は、フィリッピン海戦で謎の反転として知られた粟田健男中将でした。劣戦下での状況判断は難しいものです。結果論で批判されているようで残念に思われます。
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海軍兵学校

6. 海軍は兵学校卒業時の成績順が先々に繋がるシステムで、海軍大学に入校し将官になるのは上位成績者に限られたものでした。これが戦時には弱点になったようです。然しこれは能力の差であり、海軍では同期間の反目はなく和やかでした。

7. 私は栃木県佐野市立商業学校出身5年卒、3年制から私の時に5年制になり、兵学校受験の資格が付いたので、独学で勉強、合格したものです。中学校出のように英語・数学等普通学の基礎が出来ていないので、成績は下方向きでした。終戦時、岩国・矢牧章幹事長の「兵学校では1番から最後まで成績順があるが、これからは国のトップの位置になるのだから、兵学校教育を受けたプライドを持ち、日本の再建に尽くしてほしい」との解散時の挨拶が私の心の支えになっております。私がボランティア重点の生き方も兵学校教育が原点となっています。
 
取り留めない感想ですが、お礼の言葉とします。
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平成23年2月13日 秋澤洋三
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
「利休にたずねよ」 [2014年02月18日(Tue)]
利休にたずねよ(読書感想)


丁度、Mさんから借りたこの本を読み終わった時に、著者の山本兼一氏(57歳)が2月13日に肺がんで亡くなったというニュースを聞いて驚きました。2009年には、この作品で直木賞を受賞し、市川海老蔵主演で映画も出来ています。
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この映画については、既にこのブログで紹介しました。↓
http://blog.canpan.info/nsk/archive/1973
映画については、厳しい感想を書きました。
原作のこの作品の方は、映画より納得度は高く、著者は、しっかり茶の湯やその歴史を学んできたと推測できます。しかし、ストーリーは映画と同じで、失望しました。

(以下の文章はネタバレを含んでいます)
映画と同じように、天正19年、利休が秀吉の命で切腹する朝から、物語は始まります。妻の宗恩が利休にたずねます、「あなた様には、ずっと想い女がございましたね?」と。
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利休は過去を思い出します。利休の茶の道が異界に通じたのは、あの女に茶を飲ませたからだと。そこから、ミステリー仕立てで、話が次々と遡ります。切腹の前日の秀吉、15日前の細川忠興、16日前の古渓宗陳、24日前の古田織部、ひと月前の徳川家康と時が遡るだけでなく登場人物も変わり、短編仕立てです。利休がいかに茶の湯の美のみを追及して、秀吉と衝突したか話が進んでいきます。最後は、利休が19歳で千与四郎と言われていた時、幽閉された高麗の女性に恋する話まで遡り、再び天正19年に戻り、利休の切腹直後で終わります。
解説の宮部みゆきは、この時代遡及を、工夫された構造的仕掛けと褒めていますが、数回のタイムスリップならともかく、22の全部の章が、昔に遡っていくのですから、読む側の負担が大きく読みにくいと思いました。

一番の問題は、利休が19歳の時、茶の湯の師匠である武野紹鷗から預けられた高麗王家(?)の若くて美しい女性に一目ぼれの恋をして、共に逃亡しようとして果たさず、心中を図り女性のみを死なせたという事件です。このような歴史的事実はないそうで、著者の創作です。小説なので創作を加えるのは著者の自由でしょうが、それまでの章がすべて歴史上人物の話ですので、この話も真実かと紛らわしく誤解を招きます。日本の茶の湯の茶聖を貶しめるような創作は、避けるべきです。
この高麗女性の持っていた緑釉の小壺に、死んだ女性の小指を食いちぎって入れて、生涯懐に入れておいた、という話も、猟奇的で、これも利休の人間性スケールを小さくしています。
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著者は今までとは違う利休像を描きかったのでしょうが、作り過ぎの感があります。生きていたら、著者の真意を「たずねたかった」と思いました。

(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
映画と小説「清須会議」(2) [2014年01月30日(Thu)]
映画と小説「清須会議」(2)

昨日は映画「清須会議」の記事をアップしました。
この原作の同名の小説を今年1月になって読みました。
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著者は同じ三谷幸喜ですから、ストーリーは映画と同じです。ただ、映画と全然違うのは、全編が登場人物のモノローグ(独白)で、しかも現代語訳で書かれている点です。普通はある特定の人物に絞って、その主人公の行動や考え方を中心にして描き、それ以外の人物は主人公からの視点から描きます。ところが、この本では、例えば、柴田勝家の心の内で考えていることをモノローグ形式で書いたかと思うと、すぐその後で羽柴秀吉の考えを自分で語らせます。冒頭は、本能寺で死の直前の織田信長のモノローグから始まります。その後、天正10年6月24日から5日間の清須会議の間、全部で78編のいろいろな人の独白で構成されています。その中には、前田玄以による架空の議事録や、猪狩りで捕まる猪の言葉まで含まれています。
私たちはすべての登場人物の心の内を、読めるのですから、まるで神様になった気分です。歴史小説ですから、このような形が可能なのでしょう。

著者は、歴史をよく研究し、秀吉や勝家など登場人物はきっとこんなことを考えていただろうとの創作しているわけです。面白いアイディアで、読み易く、才気活発な三谷幸喜の面目躍如といったところです。
映画を見る前に読んだ方が面白く、映画の理解を助けてくれます。
しかし、映画と関係なく、この本は推薦できます。

なお、歴史的には「清洲会議」の方が正しいと思いますが、現在は「きよす」の市の名前は「清須市」(平成17年から)ですので、著者は現代風に「清須会議」としたのだろうと推察します。
kiyosucastle.jpg清州城

(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
読書感想「何者」 [2013年12月30日(Mon)]
読書感想 「何者」朝井リョウ
新潮社 2012年11月

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この本は、著者が戦後最年少で本年度直木賞を得た作品ですが、このような作品が直木賞を受賞するというのは、時代だなと思います。作者は23歳と若く、文章もツイッターが随所にちりばめられていて、若者の書き方です。私には、なじみのない言葉が時々でてきて、読むのに苦労します。
「就職活動(就活)」がテーマに見えますが、具体的な就活の場面は最後だけで、むしろ「就活」を通じて学生たちのエゴイスティックな心理がだんだん明らかになっていく様子を描いています。それは、同じ著者の「桐島、部活やめるってよ」で、一つの事件が、まわりの同級生の心理や行動に対して次々と波紋のように影響を与えていく状況と似ています。ただ、こちらの舞台は地方の高校ですが。

本作は主人公・拓人の目を通して就職活動の情報交換で集まった大学生五人(拓人・光太郎・隆良・理香・瑞月)の話が中心で、それに二人(銀次・サワ先輩)の話が加わります。表面的には仲よく情報交換をして協力しているフリをしながら、肝心なことは絶対に話さない、陰では小馬鹿にして、いつでも裏切って出し抜こうとする、そんな主人公や友人の心理がうまく描かれていて、読んでいて息苦しくなります。ちょっとした動作、言葉の端々の裏を神経過敏なぐらい敏感に感じる主人公は、作者の分身でしょう。自分で経験したからこそ、また人一倍の感受性があるからこそ、このような小説を書けるのだろうと思います。小説のタイトルの「何者」は、学生が就活を通じて自分が何者かを探り何者かになろうとする意味かと思っていたら、最後に別の意味が明らかになります。
就職活動がわれわれの時代とは違い、難しくなっていることは想像できます。情報過多の環境のなかで自分を売りこもうと努力している姿は痛々しくもあり、同情したくなります。ツイッターという簡単に自分の気持ちを伝える道具が、かえって自分を飾る道具となり、どこかで自分の本心をさらけだしたくなるという気持はわかりますが、匿名のツイッターでしか、本心を出せないという現実は悲しすぎます。ここに描かれているのは、傷つきやすい現代の青春群像といえます。現代の大学生の考えを私達は理解できないことが多いのですが、それを知るためには有益な本だと思いました。
(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
読書感想 海賊とよばれた男 [2013年08月05日(Mon)]
読書感想 海賊とよばれた男(百田尚樹)
 

この本は本屋大賞(2013)を受賞した話題作です。現在でもベストセラーの一角を占めています。
私は「永遠のゼロ」を読んでから、著者の百田尚樹の作品が好きになり、この本が2012年に出版されてすぐ図書館にリクエストして、借りて読んでいました。
上下2巻の長編ですが、一気に読みました。
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あらすじ
 この物語は、日本の敗戦の日から始まる。空襲で廃墟となった東京の銀座に立つのが主人公の国岡鐵造。彼は石油卸業の国岡商店の創業者で、疎開先から帰ったばかり。満州や中国で商売をしていた国岡商店は戦争で何もかも失った。残っているのは銀座の本社ビルと生き残った従業員だけ。
その時、鉄蔵は60歳、仕事もない状態で、また膨大な借金を抱えながら、鉄蔵は戦争から帰ってきた従業員を集める。会社役員は人員整理をすすめるが、「社員を一人も馘首しない」とどん底の状態から鉄蔵は自分の資産をなげうって再建をめざす。大手石油会社から排斥され売る石油がないので、旧海軍のタンクの残油浚いなどして糊口をしのぎ、社員をひとりも解雇しないで少しずつ実績を積み上げて再建を果たしていく。
  鉄蔵は「海賊」と呼ばれていた。それは、彼の若いころの商売方法による。戦争前も、石油販売の規制が厳しく決められた地域でしか販売できない。門司にあった国岡商店は下関の漁船に油を売れない。そこで、船をしたてて、海上で漁船に他より安く売った。そのため、「海賊」と言われたが、これは法律違反ではない。その後、先発会社の嫌がらせに負けないで事業を拡大し、海外(満州、台湾、中国)で事業を広げていった。しかし、これが裏目で敗戦によりすべてを失った。
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戦後も、日本の石油は外国資本の大手メジャーに握られていて、日本資本の国岡商店には石油が回ってこない。そのため、タンカーを造船して、外国まで買いに行く。そして昭和28年、イランが石油を国有化し英国と争い経済封鎖で困っているとき、極秘裏にタンカー「日章丸」を差し向け日本に石油を運ぼうとする。英国海軍がホルムズ海峡を閉鎖していて荷物を没収される危険の中を。。。
 
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日章丸

実はこの本はフィクション形をとった実話であり、出光興産の創業者・出光佐三がモデルとなっています。
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出光佐三

著者の百田尚樹は次のように語っています。「この作品は『小説』という形をとっていますが、登場人物はすべて実在しました。そしてここに描かれた出来事は本当にあったことです。この奇跡のような英雄たちの物語が、一人でも多くの日本人に届くことを心から願っています」
著者は昭和31年生まれと若いですが、歴史をよく調査し、生き生きとした会話で人物を蘇らせています。「東日本大震災で弱気になっている日本に、戦争の廃墟から日本を立ち直らせたすごい男たちがいたこと知ってもらいたい」とも語っています。
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百田尚樹

感動的な本で、皆様におすすめできます。
出光興産を見直しました。
なお、百田尚樹の本について、私の次の書評を参考にしていただければ幸いです。
「永遠のゼロ」
http://blog.canpan.info/nsk/archive/957
「風の中のマリア」
http://blog.canpan.info/nsk/archive/1058
(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
薄桜記(読書感想) [2012年12月15日(Sat)]
薄桜記(読書感想)

五味康祐は、時代小説の作家として有名ですが、私は読んだことがありませんでした。
NHKBS連続ドラマで、五味康祐の「薄桜記」を放映しているのを知って、ドラマは見ませんでしたが、面白そうなので原作を読んでみました。
原作は昭和40年に書かれています。その後、市川雷蔵主演の映画や、舞台、TVドラマでもたびたび取り上げられているので、ストーリーをご存じの人も多いのではないかと思います。
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(あらすじ)
旗本随一の使い手丹下典膳は、奥方(千春)の不義に関連して千春の兄に切られて左腕を失い浪人となる。
その後、剣術道場の同門・中山安兵衛と知り合う。中山安兵衛は高田馬場での決闘で有名になり、浅野家家臣・堀部弥兵衛の養子となる。浪人となった丹下典膳は、妻とも別れ、剣で生きようと江戸を去る。安兵衛も浅野内匠頭の松の廊下での刃傷で浪人となる。安兵衛は、吉良邸討ち入りを着々と準備する。一方、丹下典膳は吉良上野介の用心棒となる。二人は敵味方にわかれ、最後は吉良邸討ち入り前夜に、果たし合いして丹下は死ぬ。

今回のNHKBSドラマでは丹下典膳を山本耕史、千春を柴本幸、堀部安兵衛を高橋和也が演じています。脚本はジェームズ三木です。私はドラマを見ていませんが、あらすじを読むと、こまかな部分では原作と違うようです。でも、山本耕史の雰囲気があっている感じがします。
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原作は、典膳と安兵衛、明と暗、二人の人生を対比的に描いていて、ラストの雪の降る谷中七面神社での対決場面は悲壮な美しさがあります。
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丹下典膳は実在したかどうか?「在りと信じる人には実在し、無いと観ずる人には架空の人物」だと解説でのべています。五味康祐の筆力はすばらしく、この小説は単なる大衆的時代小説と馬鹿にできない、と思いました。
(文責:皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 17:00
「嫉妬の世界史」を読んで  [2012年08月03日(Fri)]
「嫉妬の世界史」を読んで


山内昌之著「嫉妬の世界史」(新潮新書)を紹介したいと思います。

この本は人間がもつ厄介な感情「嫉妬」という変わった切り口で世界史を考察したエッセイです。

著者山内昌之氏は1947年(昭和22年)札幌市生まれ、現東大大学院教授、学術博士、国際関係史とイスラーム地域研究で、毎日出版文化賞・サントリー学芸賞・司馬遼太郎賞など受賞、話し上手で優れた文筆家でもあります。


「嫉妬の世界史」のブックカバーに斯う記してあります。
《喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。時には可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。妨害、追放、殺戮・・・・。あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者さえも苦しめ惑わせた亡国の激情とは。 歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。》

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本の目次は、序章、第1章から第9章に至る九つの章、終章、あとがきから成っています。

序章:
女偏の文字「嫉妬」は女性だけのものではなく、むしろ男性の嫉妬は陰性・粘液質で恐ろしい。
自分が他人より不幸だという競争的な意識があって心にうらみ、なげくことを嫉む感情だと考えるなら、古くから仕事の上で競争にさらされてきた男の場合こそ嫉妬心は無視できない。
赤穂浪士討ち入り「忠臣蔵」も吉良上野介に対する諸大名のねたみ、あるいは幕府の行政システムに対するうらみが背景にあると考えると判りやすい。天下分目の関ヶ原の戦いも秀吉の寵をほしいままにした文冶派の石田三成に対する武断派の加藤清正・福島正則らの強烈なねたみ・やっかみを徳川家康が巧みに利用したことが原因と説明。

第1章 臣下を認められない君主:
外国の例のほかに日本の例として上杉定正と大田道灌、徳川慶喜と勝海舟、島津久光と西郷隆盛を挙げ臣下に嫉妬して判断を誤る城主・殿様が描かれている。

第2章 裂女の一念、男をころす:
劉邦の妻・呂后の凄まじい嫉妬が功臣を次々に抹殺、一族を滅亡に導いた例

第3章 熾烈なライヴァル関係:
自らに向けられた嫉妬に激しく反応した森鴎外の例。(私の知らない話ばかりでした)

第4章 主人の恩寵がもたらすもの
ヒトラーに破格の登用をされたロンメル将軍に対する周囲の嫉妬と自決という悲劇的な結末をむかえた将軍の最期

第5章 学者世界の憂欝
雪の世界的権威中谷宇吉郎と独学の植物学者牧野富太郎の例

第6章 天才の迂闊、秀才の周到
天才とは石原莞爾、秀才とは東條英機。太平洋戦争前後の陸軍の上層部の確執詳細

第7章 独裁者の業
スターリンと毛沢東の例

第8章 兄弟だからこそ
頼朝と義経、徳川家光と忠長のほか数例

第9章 相容れない者たち
チャールストン・ヘストン主演映画「カーツーム」で有名になった英雄チャールズ・ゴードンと有能な官僚ベアリングの確執

終章 嫉妬されなかった男
やっかみの多い軍人社会で嫉妬されなかった杉山元元帥・寺内寿一元帥、杉山は陸軍大臣・参謀総長・教育総監という陸軍三長官職すべて経験した稀有の将軍であるが嫉妬を受けなかったし寺内も坊ちゃん育ちの伯爵でありながら嫉妬を免れた人、これらの例を通して嫉妬を受けないための工夫を歴史に求め考察する。
あとがき:
社会史研究者でない山内昌之教授が「嫉妬の世界史」を書くことになったのは、「波」(新潮社)2001年五月号に「男の嫉妬」というエッセイを書いた際に、これに目を留めた新潮社出版企画部長伊藤幸人氏が新潮新書編集長三重博一に進言し「嫉妬の世界史」誕生をみたというエピソードが書かれている。 


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Posted by wild river at 07:00
読書「ある日、アヒルバス」 [2012年07月12日(Thu)]
読書感想「ある日、アヒルバス
  
最近は、よく観光バスに乗ります。バスガイドさんも、新人からベテランまで、いろいろな人がいます。
うるさいぐらいのガイドもいますが、私は出来るだけガイドの説明に耳を傾けるようにしています。
先日図書館で借りて「ある日、アヒルバス」(山本幸久著、実業の日本社、2008年10月発行)という本を読みました。
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この本は、東京の観光バス会社「アヒルバス」(ハトバスを連想します)の観光バスガイド・高松秀子が、わがままなツアー客に振り回されながらも、新人ガイドの教育係を担当させられ、失敗をしながらも先輩や同僚の助けを受けて成長していく青春小説です。
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私は山本幸久の著書は初めてで、この本は新聞の広告で面白そうだからと読みました。著者は、1966年生まれ、2003年に小説すばる新人賞を受けています。軽妙なタッチで、ユーモアと温かみのある小説を沢山発表していて、仕事で働く姿を小説にしているのが多いようです。

私達にはバスガイドの仕事の裏側はわかりませんが、著者は「ハトバス」を取材し調査し、想像を膨らませて、愉快な小説に仕立て上げています。
この話の中に、ダンディな初老の紳士がでてきます。アヒルバスの常連で、初対面の人達ともすぐ親しくなりますが、実は彼は独身の高齢者女性を狙っている詐欺師なのです。また、とても優秀で熱心な新人が入社します。ところが筆記試験となると彼女は落第しそうになります。それには秘密があったのです。・・・・
本には東京のお馴染の場所が一杯でてくるので、ガイドと一緒に東京の名所を回り、バス旅行をしているように楽しめます。たまには、このような肩のこらない小説もよいと思いました。図書館で借りられます。
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なお、次をクリックすると、この本についてAmazonの読者からのコメントが見られます。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4408550086/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

ところで、この本の中に、ガイドが東京タワーに上がって、曇って富士山が見えない時に次の俳句を言うと良いという場面があります。
   霧しぐれ富士を見ぬ日ぞ面白き(芭蕉)
南窓会旅行で東京スカイツリーに上がりました。雨だったら気取って「霧しぐれ下界見ぬ日ぞ面白き」と言おうと思っていましたが、幸いにも晴れました。富士山は見えませんでしたが・・・
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(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 14:00
蜩ノ記(読書感想) [2012年02月06日(Mon)]
蜩ノ記(読書感想)


蜩ノ記(ひぐらしのき)  
葉室 麟(はむろ りん)著  祥伝社   平23年11月

  今年の直木賞受賞作品。普通の時代小説とは一味違って面白そうなので読んでみた。

あらすじは、次の通り:豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、若気のいたりで城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷(しゅうこく)は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉(かど)で、切腹を命じられたが、重要な家譜編纂の終わった十年後に切腹するようにという時間的猶予が与えられていた。庄三郎には家譜編纂の補助と、三年後切腹する秋谷の監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は、秋谷や秋谷の娘・薫と息子・郁太郎達と生活を共にするうちに、秋谷の家族の温かさと彼の清廉さに触れ、その無実を信じるようになる。村では、気候不順の凶作で年貢を払えずに、不穏な空気が広がっていく。。
なお、「蜩ノ記」とは、秋谷が毎日記録として残している日記の表題である。

直木賞選考委員の浅田次郎氏は、この作品について、
「決選投票では葉室さんが満票を獲得して、受賞に至った。葉室さんはこれまで何度も直木賞候補になりながら、何か一つ足りずに受賞を逃して来た。今回は、至らない点を堅実に改め、これまでにない完成度の作品に仕上がっている。安心して読める時代小説だ」と絶賛している。

出版社のキャッチフレーズは、「蜩の啼く声は、命の燃える音に似て‐‐命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか?」というもので、秋谷が、庄三郎にあった時、次のように語っている。「それがしは、死を恐れていないわけではない。死を恐れぬと高言するのは武士の見栄と申すもの。それがしとても命が惜しくて眠れぬ夜を過ごすこともござる。」「ひとは誰もが必ず死に申す。それがしは、それを後三年と区切られておるだけのことにて、されば日々をたいせつに過ごすだけでござる。」

現代社会で命が区切られるのは、癌で余命が宣告されたときだろう。そのような事態に私がなったときに、秋谷のように、死を従容として受け入れられるだろうか?そんなことを考えながら読んだ。


著者・葉室麟


この小説は、男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げているが、惜しむらくは藩内のごたごたの説明がややすっきりしない。また、筆頭家老が中途半端な悪人なので、最後の結末が納得性に欠ける。
この小説を読んで、藤沢周平の「蝉しぐれ」を思い出した。「蝉しぐれ」は、映画やドラマになっていて、御存じの方が多いことだろう。
(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 18:20
読書感想 「生物学的文明論」    [2011年12月28日(Wed)]
読書感想 「生物学的文明論」
   


「生物学的文明論」本川達雄著   新潮新書  発行2011年6月


フランキー堺が主演の「私は貝になりたい」というドラマが昔ありました。この本の著者なら、きっと「私はナマコになりたい」と題をつけたことでしょう。著者はナマコの研究者で、ナマコ専門家は世界でもたった10人ぐらいだそうです。研究者が少ないのは、ナマコに魅力がないからでしょう。ナマコには目も耳も鼻もありません。脳もありません。食べるのは、砂。これでも、棘皮(きょくひ)動物の仲間です。研究しても、人間の役にあまりたちませんが、著者はナマコと長い間付き合って、違った世界で生きているナマコに尊敬の念さえ持つと言います。


ナマコ


ナマコ研究者の著者が書いたこの本は、難しそうなタイトルですが、NHKラジオ放送講義の文字化なので読みやすく、楽しく読めて、「生物」の勉強にもなり、また現代の文明について考えさせられます。同じ著者の「ゾウの時間 ネズミの時間」(中公新書・1992)も面白かった記憶がありますが、この本はその続編ともいえます。

著者は、まずサンゴと褐虫藻の共生関係について話を始めます。サンゴは動物ですが、その体の中に、褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンがすんでいて、お互いに助けあって生きているそうです。サンゴは褐虫藻が光合成で作った炭水化物や酸素をもらい、一方、褐虫藻はサンゴの堅い体に住ませてもらい、窒素やリンを受け取っています。サンゴ礁には共生関係の動物が多いそうです。サンゴガニはサンゴの枝の中に住み、オニヒトデがサンゴを食べようと近づくと、追い払います。ニシキテッポウエビとハゼ、イソギンチャクとクマノミも同じような共生関係にあります。ホンソメワケベラという魚は他の魚の体についている寄生虫を食べて掃除をしてあげるので、大型の魚にも食べられないというメリットを受けています。


イソギンチャクとクマノミ



ホンソメワケベラ(掃除魚)


著者は、この生物多様性のあるサンゴ礁が人間により危機状態になっていると警鐘を鳴らします。生物にとっての水の重要性や、生物の形やデザインの話が続きます。生物は円形柱という説明は、私も気がつかない視点でした。著者は、現代の文明が科学的発想にたって量ばかり追い求め「量が多い=豊か」という生活をしていることを問題にしています。生物学的発想で、もっと多様性という質にも目を向けるべきと主張します。

「ゾウの時間ネズミの時間」でも展開した、生物の「サイズ」と「エネルギーと時間」との関係は、著者の得意の分野です。ゾウの寿命は約70年、ネズミは約3年で差が大きいのですが、ゾウの心臓は1分に20回うち、ネズミは約500回と体重に比例して違います。計算すると、自然界の動物は心臓が15億拍打つと寿命がつきるそうです。それで、ゾウの時間はゆっくりと、ネズミの時間はとても早く過ぎるというのが著者の理論です。

心臓15億拍で人間の寿命を計算すると41歳ということになり、そのころ生殖活動が終わり自然界なら死ぬそうです。しかし人間が長生きするのは、医療などによって支えられた人工的な人生であるというのが著者の意見です。こうなると、私達老人は、生殖活動が終わり消え去るべしということになりますが、「次世代のために働くこと」を広い意味での生殖活動とみなし、若者の子育てを支援しながら、若い世代の足を引っ張らないように生きようと主張しています。著者は、最後に、「老後はおまけ」なのだから、利益を抜きにして、世のため人のためになることを、進んでしようと提案しています。

なかなかユニークな本ですので、お薦めします。

(文責:皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 20:53
書評 「紅梅」(津村節子) [2011年10月18日(Tue)]
書評 「紅梅」(津村節子)


新聞に津村節子さんの最新作「紅梅」の書評が出ていた。彼女の夫であった作家・吉村昭氏の最期の日々を描いた秀作とあったので、読みたいと思い、図書館に予約をしたら私の前に70人ほどいる。幸いにも、石塚さんから借りられたので、読むことができた。

作家の吉村昭氏は1927年生まれ、学習院大学卒業の作家で、代表作としてはノンフィクションの「戦艦武蔵」「零式戦闘機」「破獄」などで、徹底した取材と調査による緻密なノンフィクションを得意としていた。地味ではあるが、私の好きな作家であった。夫人は女流作家の津村節子さん、学習院で知り合ったそうだ。吉村昭氏が2006年に癌で亡くなったのは報道で知っていたが、その最期の様子は知らない。

この本は、妻の津村節子さんが、夫の吉村昭氏が癌に冒され次第に衰弱していく最期の日々を生々しく記録したもの。
「私小説」の形をとり、作者津村さんの分身の「育子」が主人公になっている。吉村昭氏は実名がでないで、「夫」としか言われていない。育子を書く時は著者の目で、「夫」を書くときは「育子」の目でみているので、主観と客観が混じっていて、初めはやや違和感があった。ただ、育子と夫だけの話なので、誤解はない。

「夫」は突然の舌の痛みで、舌癌が発見され、放射線治療や手術を受けるが、1年後に膵臓癌を告知される。全摘手術を受け、入退院を繰り返すが、癌が転移して衰弱していく。「育子」は作家としての仕事や出張もあり、妻として十分な介護でできないことを悩み続ける。「夫」は妻の仕事を理解し、自分の病気が迷惑にならないように気をつかう。衰弱しながらも、自分の原稿の推敲を続ける。

芥川作家の津村節子さんは、冷静な目で妻と夫を見て、感情を抑えた筆致で淡々と記録する。

1年半の闘病の後、「夫」は、死が近づいたことを知り、遺書や死後の処理をきちんと文書で残し、家族に見せる。自宅療養で24時間点滴が必要になた時、「育子」と娘の前で、「もう死ぬ」と宣言して、胸に埋め込んだ点滴のカーテルポートと管をひきむしり、従容と死んで行く。

この最期については、私は知らなかったことだけに、衝撃を受けた。津村節子さんは、吉村昭氏の死後に短編を書いているが、この最期の場面をかくには5年という年月を必要とした。津村節子さんの本は初めて読んだ。細かな病状経過や治療内容説明があり、決して楽しい本ではないが、重い内容をきっちりと記録した貴重な本だと思う。
(なお、タイトルの「紅梅」は、夫の書斎の窓外に植えられていて、夫が好きな樹木であったので、夫を象徴的に示していると思われる。)
(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 22:03
登山 2冊の本 [2011年08月30日(Tue)]
登山 2冊の本


私は西多摩郡奥多摩町に世界的に著名な二人の登山家が住んでいることを知りませんでした。
二人の名は山野井泰史(現在46歳)と山野井(旧姓長尾)妙子(現在55歳)です。
二人は1991年東京都山岳連盟主催、カラコルムのブロード・ピーク8047m登山に参加したのを契機に登山の方法論などについて意気投合し、やがて結婚しました。
結婚当時、妙子はブロード・ピーク登攀直後に続けて登攀したマカルー8481mで凍傷を負い両足8本両手10本のユビを切断し重度の身体障害者となっていました。
奥多摩町で農家を借りて結婚生活を始めた二人は岩壁登攀のトレーニングに励み、妙子は次第に障害を克服して健常者に遜色ないほどまでに回復したのでした。

2002年二人で敢行した壮絶な登攀行について書かれた2冊の本を紹介します。

1冊目:「垂直の記憶」ヤマケイ文庫 山野井泰史著



2冊目:「凍」新潮社 沢木耕太郎著



「垂直の記憶」は山野井泰史が自身の登山経歴について自伝風に記した本で7章から成り、終章第七章<生還>では山野井夫妻が奇跡の生還をした山行について書かれています。

終章第七章を読んだ作家沢木耕太郎はこれをもとに綿密な調査を行い、作家としての視点から山行記録をまとめ上梓されたのが「凍」です。
沢木はこれにより第28回講談社ノンフィクション賞を受賞しています。
<世界的に著名な二人の登山家>と冒頭に言いましたが、二人はともにヒマラヤの高峰に対してアルパイン・スタイル無酸素登頂を試み成功しました。
アルパイン・スタイルによるヒマラヤ高峰登山を成し遂げたクライマーは、イタリアのラインホルト・メスナーを嚆矢としてまだ数人しか居らず山野井泰史が四番目の人だそうです。
一方、妙子のように女性でアルパイン・スタイルによる登攀成功者は他に居るのでしょうか ?。

ソロあるいは小人数・無酸素・短期間の登頂を目論むアルパイン・スタイルに対し極地法あるいは包囲法と呼ばれる大量の物資・人員を投入して次ぎ次ぎに前進キャンプを構築し最後に選ばれた者が酸素を用いてピークを極める長期間・重装備の登山法があり、二つの登山方法に関しては賛否両論があるようですが、山野井夫妻はあくまでもアルパイン・スタイルの登山家としてこれまでに数々の記録を樹立してきました。

さて、2冊の本に書かれた<二人で敢行した壮絶な登攀行>についてもう少し触れてみたいと思います。
舞台となった場所は山名ギャチュンカンの北壁、2000mに及ぶほとんど垂直の大岩壁です。ギャチュンカンは二つの8000m峰 エベレストとチョー・オユーの間、チベットとネパールの国境上に位置していますが、高さ7952mと8000mに僅か48m足りないだけでピークハンティングを望むクライマーからは無視されていました。
飽くまでもアルパイン・スタイルの登山に執念を燃やし、人間業とは思えない岩壁登攀にこだわる山野井夫妻はこれに着目したのでした。
過去にスロヴェニアの高名な登山家が登った以外に誰もいないためアプローチの仕方や地図など不明でしたが、二人は2002年10月5日5900m地点にベースキャンプを設営、そこから岩壁にとりついて吹雪のなか8日午後1時30分泰史が頂上にたったのです。
妙子は頂上直下で体調が悪いため登攀を断念しました。
下降に入るや数度の雪崩に襲われ負傷したが、その都度脱出したものの二人は離れ離れになってしまいました。
泰史がベースキャンプまで疲労困憊のまま辿りついたのは13日で幸い妙子も無事発見できました。
カトマンズでは遭難確実と思われていました。理由は5〜6日間7000m以上の高度に無酸素で人間は生存できないと考えられていたからです。
奇跡の生還を果たしたものの二人にとっては惨憺たる結果となってしまいました。
すなわち凍傷で泰史は右手3本左手2本右足5本のユビを切断、妙子は両手に第二関節までは残っていたユビ全部を再度切断し手のひらだけになってしまったのです。
身体障害の等級は泰史6級 妙子2級と認定されています。
二人はギャチュンカンから帰国後の闘病生活中、一度は以後の山のぼりを断念したのですが凍傷が癒えるや山登り特に岩壁登攀への情熱やみ難くトレーニングを再開して2005年7月中国四川省のボタラ峰5500mの北壁登頂に成功しました。
二人がなぜ斯うまで登山にこだわるのかわからないのですが、二冊の本に理解のヒントが見つかるかも知れません。
注)登場人物の敬称は略させて頂きました。
ブログのジャンルを書評としましたが本の紹介です
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Posted by wild river at 16:54
「デンデラ」本と映画 [2011年07月06日(Wed)]
「デンデラ」本と映画


2年前に佐藤友哉著「デンデラ」を読みました。


その時の私の「読書メモ」には次の通り書いてありました。

デンデラ (佐藤友哉著) 新潮社 2009年6月発行
新聞の書評にでていたので、読んでみたが、すさまじい小説。
姥捨山に捨てられた老女たち(50名)が、生き延びて村を作っていた。100歳の老女がリーダーとなっていて、村人を恨んで襲撃を準備している。ところが、疫病が発生し、ヒグマが襲来し、ばたばたと死んでいく。主人公の斎藤カユが、最後まで生き残り、ヒグマに立ち向かう。
勿論真実でもないし、メルヘン(童話)でもパロディ(風刺)でもない。死を超越したような老女たちの行動は想像を絶し、奇妙な印象が残る本。著者はまだ20代。


この小説が映画になりました。監督は、天願大介。彼は、姥捨山伝説を映画化(「楢山節考」)した今村昌平の子息です。出演の女優がまたすごい。日本を代表する大女優(ただし、高齢者ばかり)で、浅丘ルリ子、草笛光子、倍賞美津子、山本陽子などです


映画の新聞広告に妻が興味をもち、封切り後すぐ、立川シネマシティに見に行ってきました。
原作をほぼ忠実に映画化しています。山形県庄内村で豪雪の中の撮影は、さぞ大変だっただろうと想像できます。女優陣の体をはった熱演は鬼気迫るものがあります。ただ、見て楽しい映画ではないし、これからの生き方に参考にならないので、誰にでも推薦できる映画ではありません。ただし、話題の異色作でもあるし、われわれと同じ世代の女優陣の、全力での演技をみて、「年をとって生きる」ということについて考えさせらられますので、いままでとは違った女優たちの演技をご覧になりたい方はどうぞ。
なお、「デンデラ」とは、捨てられた老女たちが作った「村の名前」です。
次をクリックすると、映画予告篇と、映画情報がみられます。
http://dendera.jp/movie_01.html

(文責:皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 06:16
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