赤ずきんちゃん [2010年02月01日(Mon)]
赤ずきんちゃん 先日、この ブ ログで「マンハッタンの赤ずきんちゃん」が紹介されましたが、この作品は、「赤ずきん」の童話、ケーキとワインを持っておばーちゃんを訪ねるお話を下敷きにしています。 「赤ずきん」は誰でも知っている民話・童話ですが、赤い頭巾をかぶったかわいい女の子が森で狼に食べられてしまう「ペロー童話」が、「グリム童話」では女の子が狼のお腹から生還するハッピーエンドに変わりました。 岩波書店「グリム童話」出久根育さんの挿絵を借用しました。 この童話がことのほか有名になったのは、ペローが挿絵に女の子に赤い頭巾という印象的な衣装を着せたことによるそうです。 "> 英国で1819年に出版された本の表紙 松岡希世子「赤ずきん絵本・十選」 日本経済新聞2009年12月16日から転載 童話は、女の子の冒険を諌める教訓書として広く読まれましたが、「森」の中の「可愛いい女の子」と「狼」という対立するキャラクターのお話は、時代と国境を越え多くの作家の想像力を刺激し、その後いろいろな「赤ずきんちゃん」が生まれました。 「マンハッタンの赤ずきんちゃん」もその一つです。ニューヨーク・マンハッタンを舞台に「現実と空想世界を自由自在に操り、個性豊かな登場人物が生き生きとした物語」が展開します。 第1部はサラという10歳のかわいい女の子の家庭から始まりますが、母親の父親への口のききかたなど、我が家とも似て、思わず笑い出します。 第2部・冒険。第1部では、おばーちゃん訪問は母親と一緒ですが、今度は一人でイチゴ・ケーキをもって、夕方のマンハッタンに出ていき、そこでミス・ルナティックという童話にはない人物と出会い勇気をもらい、また大富豪とも知り合い、マンホールのふたを開け抜け道に向かって飛び込み、新しい世界へ行くことになります。 最終章は「幕の下りないハッピー・エンド」ですが、最後の場面は「不思議な国のアリス」を連想しました。詩情豊かな心温まるファンタジーです。 訳者によると、「一人娘のお嬢さんを亡くした後、絶望の淵に沈んでいた作者(女性)がその長い沈黙を破って書いたもので、そんな彼女の再生した息吹がこの作品に浸透している」ということです。 この訳者の話しを聞くと、作者は、サラが、そして自分の娘もそれぞれ、飛び込んだ世界で勇気を持って進むことを願って書いたのだろうと想像しました。 文責 菊間 |
Posted by
菊間敏夫
at 13:22
詳しいご紹介を有難うございます。