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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(令和1年9月) [2019年09月25日(Wed)]
今月の俳句(令和元年九月)


兼題はコスモス(秋の季語)です。単純な花だけに、かえって俳句を作るのは難しいようです。

秋桜古き駅舎の掛時計」
  小野 洋子

s-kosmos.jpg

秋桜はコスモスの和名。メキシコ原産で日本へは明治時代に渡来、その楚々として可憐な風情が日本人の好みによく合い、全国的に普及したそうです。
この句の駅舎は木造でしょうか。鈍行しか停車しない小さな駅。駅舎内の掛時計も年代物かもしれません。利用するのは近隣の住人が主で大事な交通機関、駅舎も周囲も綺麗に掃除が行き届き、古時計は永々と時を刻み、駅舎の周りはコスモスが細い茎の先に色とりどりの花をつけ風に揺れています。そこには人々の生活が確かに営まれてきたことを詩情豊かに詠み込まれました。日本の原風景が蘇ります。


「地震(ない)痕の残る石積み秋湿」
  皆川 眞孝

s-ishigaki.jpg

秋はからっとした季節と思われがちですが、実際は秋の長雨と言われるとおり雨が降り続いて空気が湿っぽく感じられることがあります。蒸し暑い夏の湿っぽさとはまた違った冷え冷えとした秋の湿っぽさもやりきれないものがあります。この句は古代の奥羽三関一つである福島の白河の関近くの小峰城の景を詠まれたものです。東日本大震災で崩れた石垣は修復はされていたそうですが古い石積みと新しい石積みの違いが生々しくて衝撃を受けられたそうです。熊本城の崩れた石積みはどうなっているのでしょうか。真に地震の威力は恐るべきもので、今でも地震の後遺症に苦しんでいる被災者も多いと聞いています。

だんまりの防犯カメラ月明り」
  渡辺 功

chiricco.PNG

最近は街中だけでなく住宅街にもよく見かけるようになった防犯カメラ、監視社会とか管理社会とかプライバシーの侵害云々と喧しく反対意見が喧伝された一時期もありました。防犯の効果は定かではありませんが、犯罪や事故が起こった際には犯罪者の特定や事故の発生経緯の検証に大いに貢献しているようです。この句を目にした時、咄嗟にキリコの画を思い浮かべました。眼目は「だんまり」と「月明り」、一見無関係な2物の措辞により独特のシュールな雰囲気が立ち込めました。耿々と冷たい月光に照らされた町の一角、音もなく刻々と情景を機械的に記録し続けるカメラの目、この組み合わせの妙により静寂の中の不気味さでもある夜の顔が覗いています。
作者の特異で繊細な感性が生んだ現代的な俳句だと思います。

「酷暑日や渡る人なき青信号」
  宮ア 和子

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今年も暑さは異常でした。太陽光が白く感じられるほどの真昼の暑さに外出を控える人が多かったのでしょう。人影もまばらで何だか深閑とした町の雰囲気が漂っています。四つ角の信号だけが規則的に点滅を繰り返しています。信号が青になっても横断歩道を渡る人影もありません。酷暑と信号という意外な取り合わせにより酷暑の本意を見事に表現されました。

「虫の音や会話控えて夕餉時」
  皆川 瀧子

s-musi.jpg

いつもは会話の弾むおしどり夫婦の皆川家の夕餉時なのでしょうが、この句を詠まれた夕べは一際虫の音が美しく冴えていたのでしょう。どちらからともなく口数が少なくなり、虫の音に聞き入りながら静かな夕餉となった景が浮かびます。会話の弾む夕餉も楽しいものですが、虫の音に聞き入りながらの静かな夕餉も優雅で趣深く一味違った乙なひとときであっただろうと思います。

「新涼や傑作見出す彫刻展」
  湯澤 誠章

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新涼が秋の季語。立秋を過ぎて夏とは違うしみじみとした涼しさを感じることをいいます。夏の季語の「涼し」は炎暑や蒸し暑さの中で感じるかりそめの「涼し」ですが、新涼は秋になっての本物の涼しさです。
この句から二通りの感じ方があるのでは、と思います。まず彫刻展なら戸外での展示かもしれません。
涼しくなって戸外の展示を見て回ることができ傑作に出合った!という解釈。この場合は涼しくなったから戸外の彫刻をじっくり見て回ることができて傑作に出合った、と少し理屈っぽい解釈となります。
もう一つは戸外か室内かは関係なく彫刻そのものに涼感を感じた、という解釈も可能かと思います。この場合その彫刻は具象か抽象か、材質は金属、石、木か、鋳造か彫刻か、などなど読み手の想像を掻き立てます。
皆さんはどんな解釈をされるでしょうか。

「月光や風鐸の影際やかに」
   藤戸 紘子

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秋の夜の五重塔、風鐸が月光(秋の季語)に照らされている景を詠っています。風鐸とは、仏堂や五重塔の軒に吊り下げられている青銅製の鐘型の風鈴のことです。よくお寺では見かけますが、風鐸と呼ばれているとは知りませんでした。
作者が高幡不動尊にいらした時の句と伺いました。昼間は賑わっている寺院が、夜は人気もなく、月光に照らされている風鐸の影だけが際立って見え、静けさだけが伝わってきます。この季節に相応しい美しい句です。(評;皆川眞孝)

コスモスの句

「青空やコスモス揺るる丘の上」
   皆川 瀧子
「コスモスやあるかなきかの風の舞ふ」
 渡辺 功
「コスモスや幼の細きお下げ髪」
 藤戸 紘子
「コスモスやお下げ揺らして一輪車」
 小野 洋子
「古民家の長屋門前秋桜」
  宮ア 和子
「コスモスや空き地の増えて別荘地」 
 皆川 眞孝


今月の一句(選と評:小野洋子)

「甌穴を渦巻き走り秋の水」
   藤戸 紘子

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この句は作者が昇仙峡で作られたとのこと。甌穴(おうけつ)とは、急流の河底の岩石面上にできる円形の穴で、ポットホール、またはかめ石とも言います。
断崖や奇岩が独特の渓谷美を作り出している昇仙峡、川の流れは速く甌穴の中の礫が水流に回転し渦巻いています。甌穴が大きく育つ悠久の時の流れに、秋の水という冷ややかに澄み切った季語がよく響き合って、スケールの大きな秀句となりました。(小野洋子)

<添削教室>藤戸紘子
原句:「風死せり救急車の音遠ざかる」皆川 眞孝
「風死す」という季語は「土用凪」と同じで、盛夏に風が止み息苦しく耐えがたい現象を意味します。救急車の音に誰かが熱中症で運ばれたのだろうかという不安な気持ちを、風死せりの季語であらわされています。ただこの句は三段切れ(上五・中七・下五の言葉がぽつぽつと切れている)に近ので、語順を変えるだけで、三段切れを避けることができます。
添削句
「遠ざかる救急車の音風死せり」
    皆川 眞孝
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
この記事のURL
http://blog.canpan.info/nsk/archive/4606
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コメント
荒川様
   いつも真っ先に読んでいただき、丁寧なコメントを有難うございます。
  俳句では、順序を変えただけで印象が変わることがあり、本当に微妙な文芸です。日本語の素晴らしいところでしょう。
藤戸様
  今月の渡辺さんの防犯カメラの句のイラストでは,別なものを準備していましたが、藤戸さんがキリコの絵を思い出したという句評を見て、キリコの絵に防犯カメラを付け加えてみました。一層シュールの面白いイラストになったと思います。俳句の作者が賛成してくれるか不明ですが、俳句は独り歩きしますので、こんな風景を想起することもありがと思います。
  宮アさんの俳句にもぴったりの、人が誰もいない青信号のイラストが見つかりました。今年の酷暑はこんな印象でした。
皆川眞孝
Posted by:皆川  at 2019年09月25日(Wed) 18:53

荒川様、皆川様
早速の爽やかなるコメントありがとうございました。最近はコメントを必要としない独立性の強い俳句が多くなり大変嬉しいことなのですが、俳句と関係ない方への解説をどうすべきか大変悩ましい問題でもあります。会員の努力と研鑽には脱帽の私としましてはひたすらな共感と理解のよすがとなる情報をお伝えするのが私の非力ではありますが役目かな、と感じおります。その手立てとなるのが皆川氏の渾身の写真でありイラストなのです。言葉では表現できない程の感謝を私は
感じております。
Posted by:藤戸 紘子  at 2019年09月25日(Wed) 17:47

皆川&藤戸さま
作句者の意図や作句の背景を微に入り細にわたって、分からせてくれる“今月の俳句”解説文は、読むたびに感心するばかりです。それに作句者を褒めるのが巧みで、サークルから発句会入賞者が生まれるのも肯けます。
今月の添削は語順の並べ替えで読者に与えるインパクトが違ってくることを教示した例ですが、素晴らしい教材だと思いました。
Posted by:荒川 健三  at 2019年09月25日(Wed) 10:14

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