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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(平成28年1月) [2016年01月17日(Sun)]
今月の俳句(平成28年1月)

明けましておめでとうございます。俳句サークルは、今年最初の句会を1月15日に開きました。兼題は「新年」またはその関連した季語です。
新年にふさわしい俳句が沢山でました。そのうち、各人が選んだ1句を次に掲載します。句評は、今年も藤戸さんにお願いしました。

「教え子と今なほ続く賀状かな」 
  渡辺 功


新年.JPG

何とほのぼのとした良い句でしょうか。作者が大学生の時、家庭教師をした時の教え子と今なお年賀状のやりとりが続いているとのことです。辛いことや嫌なことも多い人生ですが、こういう話を聞くと「あ〜人生って捨てたものではないな〜」とつくづく思います。新年らしい温かな明るい一句。

「蒼穹(そうきゅう)や九輪光りて年新た」
  小野 洋子

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蒼穹とは青空・大空のこと。新年の澄み切った青空に五重塔の九輪が輝いていたという景を詠んだ句です。堂塔の九輪が光るという表現は月並みですが、単に青空と言わず蒼穹という漢詩的表現を用いることにより句の格調が高くなり、新年らしい句となりました。

「半切(はんせつ)を跳び出すばかりお書初」
  皆川 眞孝

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半切とは全紙を半分に切った大きさの紙のこと。ちなみに全紙とは和紙で漉いたままの大きさの紙のこと。つまり半切とは普通に見かける掛け軸の大きさとご理解ください。
この句の景は、今年の子供会の書初めの時の景を詠んだものです。子供達の元気で伸び伸びとした書きっぷりを跳び出すばかり、という語で表現されました。日頃使い慣れない柔らかい筆先と格闘している子供達の姿は真に感動的でした。

「最後尾捜し歩いて初詣」
  皆川 瀧子

4_1010543.jpg
写真:荒川健三様

今年の高幡不動に初詣をされた時、経験されたことを句に詠まれました。特に元旦は詣での人が殺到、その最後尾がどこか解らない程の人の列が延々と続きます。それ程までしてお参りしたのですから、さぞや霊験あらたかなことでしょう。日本人の我慢強さ・行儀の良さが長蛇の列に現れているとも言えますが、何だか可笑しみを感じるのは私だけでしょうか。

「数の子の薄皮剥ぐ子息詰めて」
  宮ア 和子

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おせち料理の準備の景。このお句で私も子供の頃を思い出しました。
私も母の手伝いで数の子の薄皮剥ぎをいたしました。そっとゆっくり剥がさないと数の子本体を崩してしまいます。失敗して崩れたのは親の目を掠めて自分の口に放り込みました。私と違って作者のお孫さんは懸命に息もできない位緊張して一個仕上げるとほっと大きな息をされたのでしょう。健気で可愛いいお孫さんのその姿を見守る作者の暖かい視線も感じられます。

「裏山の古き祠や注連飾」
  木原 義江

s-simenawa.jpg

この祠は多摩神様と皆に呼ばれているそうです。昔からある祠は小さくて今にも朽ちそうな程古びている。その祠にも新年を迎えるにあたり新しい注連飾りがしてあった、という景を発見した時の感動を詠まれました。地の神を大事にする心優しい庶民の心遣いが新しい注連(しめ)飾りに込められていますね。

「剃りたての顎あをあをと初詣」  
  藤戸 紘子

キャプチャ.JPG

「剃りたての」と上五がきたので、その後は「頭」と続くのかなと思ったら、「顎」がきました。この意外性が俳諧味なのでしょう。お坊さんの頭では、当たり前すぎて平凡です。それにしても、列に並んでいても、観察を忘れない作者はさすがです。でも、男性と女性では見るところが違います。私の昔の句に「前を行く白きうなじや初詣」というのがあります。きっとこの男性はイケメンだったのでしょう。じっと見られて恥ずかしがったか、それもと睨め返してきたのか、どちらでしょう。(評:皆川眞孝)

今月の一句(選と評:皆川眞孝)

「幾つもの小さき足跡霜の原」
  藤戸 紘子

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まだ薄暗い朝です。原っぱ一面に霜が降りています。霜柱も見えます。その原に、小さい足跡がいくつも付いている、というだけの景を詠んだものですが、この足跡は人間なのか、動物なのか、鳥なのか、いろいろ想像させるところがこの句の面白いところです。その場にいた作者は、何の足跡かはわかっているのでしょうが、この句を読む私たちにはわかりません。私たちに勝手に想像させて作者が楽しんでいる様子が目に浮かびます。また、雪の原だったら足跡は平凡です。霜の原としたところが、この付近の冬景色にぴったりです。(評:皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
この記事のURL
https://blog.canpan.info/nsk/archive/2749
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コメント
藤戸様、皆川様
 毎度のことながら、素晴らしいコメント、イラスト、写真に感謝感激です。
多摩神様の祠はどこで見つけてきたのでしょう。僅か一日、二日の間に、沢山の句に、これだけのコメント、写真、イラストをまとめるなんて、まさに神業です。他の句会では、考えられないことです。
渡辺功拝
Posted by:渡辺  at 2016年01月18日(Mon) 11:01

荒川様・明平様
早々のコメント、ありがとうございました。
新年の句は、皆大体同じような過ごし方や行事があるせいか平凡か観念的になりがちで、作句はむしろ難しいと私は感じていました。
が、今年最初の句会ではなかなかに良い句が出そろいました。皆さん腕を上げられてブログに載らない句でも良い句が沢山あります。
今年も力一杯作句や評に取り組みますので応援よろしくお願いいたします。

皆川様
早速のブログアップありがとうございました。
実際の写真やイラストを駆使し、見事なブログが出来上がりました。私の「霜の原」の句に、想像豊かなコメントを、また「剃りたての」の句に対しては可笑しみや男女の感性の違いまでを言及いただき恐れ入りました。イケメンだったかどうかはご想像にお任せします。
Posted by:藤戸 紘子  at 2016年01月17日(Sun) 14:17

皆川・藤戸さま
新年会でメンバーにはタレントが多いと評されましたが、今月の俳句を見て「人材」も多いと思いました。賀状による師弟の交流がいまだに続いているとは・・・
句に添えらえた写真・イラストも魔術のような感銘を覚えます。古祠の注連縄に至っては目を疑うばかりです。
流れるような解説にも、いつも惹きつけられています。短い漢詩・漢語の引用で句が並から格調高いものになったという、作句は剣道の試合と似てると思いました。最後尾をさがしてまで初詣をする日本に偶然生まれたのは感謝のほかありません。
Posted by:荒川 健三  at 2016年01月17日(Sun) 09:58

みなさま おはようございます
いい句ですね〜。
画像も素敵です。
Posted by:明平規男  at 2016年01月17日(Sun) 09:12

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