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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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先生のお庭番・読書感想 [2014年04月20日(Sun)]
先生のお庭番 読書感想

ようやく春の気配が濃くなり、花と若葉の美しい季節になりました。
三井台住人には幸せな時です。
日本が、樹木と花の種類が多様・多彩で素晴らしい国であることに幕末、明治に来日した西洋人は非常に驚いたようです。
長崎・出島のオランダ商館の医師として来日したシーボルトは、その一人です。
IMG_0002.jpg

シーボルトの肖像画
シーボルトは、日本の樹木、花木に深く魅せられ西洋に移植を試み成功しました。当時、種子や苗木を灼熱のインド洋を越えてオランダに運ぶのは容易ではなく、日本の庭師の智恵と工夫があってのことだったのです。
IMG_0003.jpg

『先生のお庭番』(徳間書店)は、『恋歌』で直木賞を受賞された朝井まかてさんの小説で、シーボルトとオランダ商館の庭師との交流を描いています
長崎郊外の鳴滝シーボル記念館、そしてオランダ・ライデンのシーボルトハウスを訪ねた記憶が蘇りました。

無題.png


長崎・鳴滝 シーボルト記念館の一部

 あらすじ
庭師・熊吉は、オランダ商館で働き、植物の採集、植樹、植物園の整備、標本作りでシーボルトに信頼され、また、種子と苗木を7カ月かけてオランダに運ぶ工夫を考えだします。
IMG_0002.jpg

標本をもとに描かれた写生画 ユキノシタ

日本人妻・お滝さんが闊達で魅力的な女性として描かれており、熊吉と奥方との会話がこの小説を面白くしています。 
シーボルトは日本の紫陽花を特に好み、植物園では「オタクサ」の名で栽培されていて、お滝さんの名前からとったとされています。
植物誌.jpg

紫陽花の写生画

商館での任務を終え、苗木を船積にしてオランダに送ろうとする時に、御禁制の日本地図の持出が露見、有名な「シーボルト事件」が起こります。関係した幕府天文方・高橋景保が獄中の拷問で死去したいたましい事件になりました。
国外追放となったシーボルトは、お滝さん、娘のいねと別れ帰国、オランダ・ライデンに居を構えますが、今、「シーボルトハウス」という博物館になっています。オランダ旅行の際、このシーボルトハウスを訪ねるのに苦労しました。

siebolthuis.jpg

シーボルトハウス・パンフレットより
 

今では、地元ではシーボルトを知る人は少なく、道を聞いてもわからないのです。シーボルトが実はオランダ人ではなくドイツ人だったことも影響しているのかもしれません。

小説の最後は、シーボルトの娘イネが成人し、日本ではじめての女医となって熊吉を訪ね、シーボルトが精魂こめて書きあげた日本植物誌『フローラ・ヤポニカ』を渡します。熊吉は、昔、自分が作った標本を元に精確に描かれた紫陽花やいろいろな花の絵を飽くことなく眺める場面で終わります。
『フローラ・ヤポニカ』は図版80点を掲載。日野図書館蔵書です
Posted by 菊間敏夫 at 08:00
この記事のURL
https://blog.canpan.info/nsk/archive/2068
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コメント
菊間様
   「先生のお庭番」を図書館から借りて、今日読み終わりました。感動しました。菊間さんの感想文がとてもよくまとめられていて、追加することはほとんどありません。
ただ、私はシーボルト事件で追放されたとだけ知っていたのですが、この本を読んでいきさつがよくわかりました。
さすが直木賞作家だけあって、話のつぼを心得ていて、少年・熊吉(コマキ)のあこがれ気持ちを丁寧に描いていて、飽きません。
鎖国時代の長崎の様子、そしてオランダ人とお滝さんに対する役所や人々の屈折した感情もきちんと書いています。
オランダでシーボルト館を訪問した菊間さんご夫妻は、この本を読み一層感激しただろうと想像いたします。
とてもよい本をご紹介いただき、ありがとうございました。
皆川眞孝
Posted by:minagawa  at 2014年05月07日(Wed) 18:01

荒川様
   久しぶりのブログへの記事アップ、ありがとうございました。
直木賞で注目の「朝井まかて」さんの本をご紹介いただき、有難うございました。早速、図書館に予約しました。
長崎には行ったことがありますが、シーボルト記念館はいったことがありません。
オランダで、わざわざシーボルトハウスまでいかれるとは、すごい!私も、ついオランダ人と勘違いしてしまいますが、鎖国の当時は、オランダ人した入国できなかったので、国籍を偽ったのですね。
アジサイの「オタクサ」は、浜名湖で開催された花博で、シーボルトの当時の種から続いている花として、植えられいるのを見たことがあります。
今の華やかなアジサイの花とは違って、地味だったと記憶しています。
皆川眞孝
Posted by:minagawa  at 2014年04月20日(Sun) 10:51

菊間さま
よく練られた分かり易い文章と要領のいい解説に感銘をうけました。登場人物がみんないい人ばかりなのに悲しい別れもあるストーリーで、映画化してくれたらいいなーと思いました。
シーボルトがオランダ人ではなくドイツ人だということも知りませんでした。菊間さんがオランダ旅行の際、シーボルトの家をわざわざ訪ねたのに現地の人からは忘れられているという解説を読み、すべてが時間とともに忘却の彼方に埋もれていくのだなと改めて感傷的な思いに駆られました。
書評っていいですね !!
Posted by:荒川 健三  at 2014年04月20日(Sun) 08:30

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