映画と小説「清須会議」(2) [2014年01月30日(Thu)]
映画と小説「清須会議」(2) 昨日は映画「清須会議」の記事をアップしました。 この原作の同名の小説を今年1月になって読みました。 著者は同じ三谷幸喜ですから、ストーリーは映画と同じです。ただ、映画と全然違うのは、全編が登場人物のモノローグ(独白)で、しかも現代語訳で書かれている点です。普通はある特定の人物に絞って、その主人公の行動や考え方を中心にして描き、それ以外の人物は主人公からの視点から描きます。ところが、この本では、例えば、柴田勝家の心の内で考えていることをモノローグ形式で書いたかと思うと、すぐその後で羽柴秀吉の考えを自分で語らせます。冒頭は、本能寺で死の直前の織田信長のモノローグから始まります。その後、天正10年6月24日から5日間の清須会議の間、全部で78編のいろいろな人の独白で構成されています。その中には、前田玄以による架空の議事録や、猪狩りで捕まる猪の言葉まで含まれています。 私たちはすべての登場人物の心の内を、読めるのですから、まるで神様になった気分です。歴史小説ですから、このような形が可能なのでしょう。 著者は、歴史をよく研究し、秀吉や勝家など登場人物はきっとこんなことを考えていただろうとの創作しているわけです。面白いアイディアで、読み易く、才気活発な三谷幸喜の面目躍如といったところです。 映画を見る前に読んだ方が面白く、映画の理解を助けてくれます。 しかし、映画と関係なく、この本は推薦できます。 なお、歴史的には「清洲会議」の方が正しいと思いますが、現在は「きよす」の市の名前は「清須市」(平成17年から)ですので、著者は現代風に「清須会議」としたのだろうと推察します。 (皆川眞孝) |
Posted by
皆川眞孝
at 09:00
コメントをありがとうございました。
本については、了解しました。数日お待ちください。
皆川眞孝