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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(25年9月) [2013年09月17日(Tue)]
今月の俳句(二十五年九月)

  今月の「兼題」は「」です。キノコ狩りは、子供の頃の思い出の中で生きているだけですので、どうしても食材としてのキノコになってしまい、全員苦労しました。兼題の句は2つだけで、残りは自由題の句です。句評はいつも通り藤戸さんにお願いしました。(皆川)

「初茸の鍋沸沸と山の宿」
   宮ア 和子
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初茸とは今季の初物の茸という意味ではありません。椎茸に似た、ちょっと小ぶりで傘の中央が笑窪のように窪んだ茸の名前です。山の宿ですからその近辺で採れたものでしょう。山の宿は静かで鍋の煮えたつ音だけが聞こえます。美味しそうな句ですね。

「色褪せし夫婦茶碗やきのこ飯」
   渡辺 功
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何と味わい深い句でしょう!色褪せた夫婦茶碗から永年連れ添ったご夫婦だということがわかります(色褪せし、は茶碗にかかります)。そして今宵の夕餉がきのこ飯。何の変哲もない日常の一齣ですが、そこはかとない暖かさと仲睦まじさが滲んでいます。季語の「きのこ飯」が効いています。ここはすき焼きや焼き肉ではいけません。きのこ飯だからいいのです。しみじみとした佳句となりました。

「酷暑すぎ肌のお手入れ念入りに」
   大森 初代
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今年の夏は猛暑というより酷暑と表現すべき厳しい暑さでした。日中はまだ暑い日もありますがさすがに朝夕は過ごしやすくなりました。夏の間は汗と紫外線に痛めつけられた肌が気になりだすのはこの頃です。女性は幾つになっても女性であることに変わりはありません。念入りに疲れたお肌をお手入れしている可愛いい女心を素直に表現されました。

「風薫る高原宿の露天風呂」
   皆川 瀧子
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風薫る、とは夏の季語で青葉を吹き渡る香り高い風のこと。高原の夏は温度も湿度も低く爽やかです。そこの宿の露天風呂ですから、もう言うことなし、別天地です。また、その景がはっきり思い浮かびます。作者は俳句を始められてまだ半年、よくここまで上達されました。

「菩提寺の坂なだらかに吾亦紅」
   小野 洋子
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吾亦紅(われもこう)とはバラ科の多年草で、9月ごろ枝先に暗赤色で花弁のない無数の花を、円筒状の直立した穂状花序をつける地味な花で、秋の季語です。菩提寺ですから法会を営まれたのでしょうか。寺への坂道はなだらかで、その道筋に吾亦紅が咲いているのを目にされたのでしょう。
季語、吾亦紅が動きません。それぞれの句材が響き合って、落ち着いた雰囲気の佳句となりました。

「台風の去りし夕べや茜空」
   佐藤 朋子
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夏の終わりから初秋にかけて、日本列島は毎年台風に襲われます。恐ろしい台風が過ぎ去って、ほっとした夕方の景です。台風一過は見事に澄み渡った空になるのが通常ですが、この句では夕方で、見事な夕焼け雲が浮かんだ景を詠んでいます。激しい雷雨と風のおさまった後の妙に森閑とした夕べのひとときを茜雲の一語でよく表現されました。

「細き葉に止まりし飛蝗雨上がる」
   皆川 眞孝
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細き葉に止まった飛蝗(ばった)ですから小さな飛蝗でしょう。草むしりをしていると小指ほどの若草色の飛蝗が跳ね出てくるのをよく目にします。この句の飛蝗は細い葉の陰で雨宿りをしていて、雨がやんでからそろそろ葉表に出てきたのかもしれません。小さい命に向けられた作者の暖かい眼差しの感じられる優しい句となりました。

「足元へ霧わきあがる山の駅」
   藤戸紘子
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今年の夏、作者は八ヶ岳の麓に旅をされたそうです。そこを走る小海線には日本一標高の高い野辺山駅(1375m)があります。小海線のどの駅であれ、標高は相当あります。列車を待っている間に、突然霧が湧いてきた情景ですが、この句のポイントは「足元へ」と具体的に表したことです。下から霧が湧いてくるという作者の驚きと、それによる駅の場所の高さが伝わってきます。暑い東京にいた私達には、うらやましい涼しい句です。なお「霧」は秋の季語ですが、同じ自然現象でも「霞(かすみ)」は春の季語です。(コメントー皆川)
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
この記事のURL
https://blog.canpan.info/nsk/archive/1863
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コメント
皆川様
今月の俳句をお忙しい中早々とブログアップして頂きましてありがとうございます。藤戸さんも仰っていますように、句に添えてのイラストはどこから探してくるの?と私も感心、感動しております。回を重ねるごとに、藤戸先生の句へのコメントも堂に入ってきてさすがーとただ感じ入っております。
藤戸様
 超お忙しい中、何時もながら明るく丁寧な句評をして頂きましてありがとうございます。俳句を読んでも自分が作るなど、思ってもみなかったことを始めて2年余り経ちました。しかも80を超えて始めたことですが、少しずつですが継続は力を実感させていただいています。兼題に悩み、文法を思い出し、本棚の辞書と仲良くなり、今は て、に、を、は、の大切さを痛感しております。お陰様で確かに頭の体操をさせて頂いております。句会で皆様の笑顔と句に接し楽しみも増えました。ご指導に心から感謝申し上げます。

荒川様
 今月の俳句に何時も温かく適切なお言葉を頂き、サークルの皆さんの励みになっていることと存じます。ありがとうございます。

宮ア
Posted by:ミセスミヤ  at 2013年09月17日(Tue) 22:38

荒川様
毎月当クラブのブログを丁寧に見ていただきありがとうございます。本当に年月の経つのは早いものですね。子供の頃は一月先が永遠の長さに感じられたのに!
さて、兼題「茸」は案外難しかったようで、みなさん苦労されたようです。これは当クラブの目的でもある頭の体操になったな、と意地悪い私はひとりほくそえんでいます。
私の句に対するコメントありがとうございました。若い頃よく登山をいたしまして、このような光景をよく目にいたしましたが、当時は俳句など眼中になかったものですから、今になって惜しいことをしたと残念に思っています。

皆川様
今月も素晴らしい写真とイラストをありがとうございます。よくもまあこんなにぴったりの物があるもんだとつくづく感心しています。
また、私の句に対する素晴らしいコメントありがとうございました。ますます腕によりがかかってきましたね。
これは余談ですが、「野辺山」の駅名のこと、時刻表には「野辺山」と出ていてこれで正しいのですが、私の霞がかった記憶によるとフォームの掲示板には「延山」との表示があったと記憶しています。下車駅ではなかったので確認しないままになっています。
Posted by:藤戸 紘子  at 2013年09月17日(Tue) 16:39

皆川・藤戸さま
食材としてのキノコになって苦労・・幼いときの故郷の思いでも
朧気になってしまいました。今は色褪せし夫婦茶碗で平凡かつ変哲もない日々の繰り返しです。春夢のごとく一夜にして八十余年の歳月が去りましたが、わからないことの一つは女性の肌への思い入れです。母と姉のふたりの女性をずーっとみてきましたが ?
足元から霧や雲が湧き上がる経験は何度もありますが、このように巧みに詠まれるとまさにヴァーチャルリアリティというか新鮮な感覚に浸ることができます。有難うございました。
Posted by:荒川 健三  at 2013年09月17日(Tue) 10:04

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