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「半就労半福祉」の選択肢 [2017年01月11日(Wed)]
「半就労半福祉」という言葉が気になっています。

2008年末に「年越し派遣村」の村長になった湯浅誠氏
(元内閣府参与)が、高鍋町で講演した時に、会場で
配付された資料にありました。

「みんなの学校」と湯浅誠さんの講演

毎日新聞の連載の記事を、詳しく紹介します。
(一部要約、個人の感想)

「くらしの明日」(私の社会保障論)という特集で、
「生活保護以外の安全網を」というタイトルの記事です。

「半就労半福祉」の選択肢も

生活保護受給者が200万人を超え、法施行直後の
最高値を超えるのも時間の問題と言われている。

集計上「その他」世帯が急増しており、リーマンショックの
あった08年以降、約8%から16%に倍増している。

「高齢」「傷病」「障害」「母子」以外が「その他」で、
一般には「稼働層(働ける層)」とも言われる。

「働ける人が生活保護なんて…」と眉をひそめる人も少なく
ないし、本人も「できることなら生活保護を受けずに生活
したい」と望む場合が多い。どうすればいいのか。

かつては、生活保護受給者の4割を稼働層が占めた時期も
あった。それを解消したのは高度経済成長だった。

65〜70年に5年間続いた「いざなぎ景気」で雇用者所得は
1.7倍に増えた。しかし、市場原理の強いグローバル化で、
それはもう起こらない。

02〜07年に同じく5年間続いた好景気の際、雇用者所得は
増えるどころか微減だった。

最低賃金でフルタイム働いても、18歳の生活保護受給額にも
及ばない県が9つもある。

「雇用さえあれば」と言われるが、雇用があっても生活保護に
至らざるを得ない人たちが増えている。だから「ワーキング
プア」と言う。

日本の特徴は、失業率と生活保護受給率が連動する点にある。
自殺者数も失業率と連動する。

「働く場がなければあたりまえじゃないか」と思うとしたら、
その間隔こそが生活保護や自殺を増やしていることに自覚的に
なるべきだ。

セーフティネットは生活保護だけではない。失業保険もあれば
年金もある。生活保護の手前に多様なセーフティネットが
あれば、生活保護や自殺は、失業率と必ずしも連動しない。

また、失業保険受給中に職業訓練を受けて次の仕事に備える、
老齢年金をもらいながら嘱託で働く、
障害者年金をもらいながら作業所で働く、
という合わせ技(「半就労半福祉」とも言う)もある。

良くも悪くも「雇用しかない」という社会では、雇用を失った
途端にすべてを失う。それは、ある意味では失業等のリスクに
備えがない、トラブルに弱い社会だ。

「その他世帯」の4割は世帯主が60代、70代になっている。
「雇用だ」と叫べば解決するのか、冷静な判断が必要だ。

「雇用」と「生活保護」の間に、合わせ技も含めた
多様な選択肢があるべきではないか。

 「合わせ技も含めた多様な選択肢」は、地域福祉に関わる
行政、社会福祉協議会、NPO、当事者が、それぞれの立場で
提案し、連携する流れをつくることで生まれると思います。


明石市の「離婚時の養育費等取り決め」は、今すぐ他の自治体でもできる! [2017年01月03日(Tue)]
 ひとり親家庭の貧困率は高く、背景の一因に養育費を
受け取るひとり親(主に母子家庭)の少なさがあります。

明石市では、2014年度から、離婚届を取りに来られた
方たちに「こどもの養育に関する合意書」を配っています。

養育費の額だけではなく、支払いの期間や振込口座、面会
交流の方法・頻度・場所などを具体的に記入できる合意書です。

「子どもの貧困対策をするつもりはない」と
 対策先進市・明石市長が言う理由
(湯浅誠氏のインタビュー)

 「離婚時の養育費等取り決め」を市役所が進めるなんて、
市長が弁護士の明石市だからできると思ってましたが、
湯浅誠氏のインタビューに、明石市長は、こう答えています。

 明石市は一基礎自治体にすぎませんが、私は常に「普遍性」
 を意識して施策を打っています。

 明石市にできることは今すぐにでも他の自治体もできる、
 今すぐにでも他の自治体でできないようなやり方はしない、
 このように考えながら、施策を作ってきました。

 国でも超党派の「親子断絶防止議員連盟」が「明石市のやり方
 をナショナルスタンダードに」と言ってくれ、現在法制化作業
 が進行中です。


 明石市は、児童扶養手当の毎月支給にも取り組みます。
ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当は4か月ごとです
が、それだと、日々のやりくりが足らないからまとまったお金
が入る支給日に支払う、その結果次の支給日までに生活費が
足りなくなる、という悪循環を生じかねない。
毎月支給の方が、計画的な家計運営ができる。

児童扶養手当は、法で支給月が決められており、自治体が
毎月の支給に切り替えることはできない。

そこで明石市は、手当てを受け取るご本人の希望を聞いて、
毎月、児童扶養手当1か月分の貸し付けを行い、児童扶養手当の
支給時にその費用を相殺するサービスを始めるとのこと。

ただの貸し付けサービスではなく、そのやりとりを通じて、
家計管理のサポートなども行う。これは明石市社協が担う。

社協は、すでに認知症高齢者や障害者の方などを対象に、
似たような事業(日常生活自立支援事業)を行っており、
そのノウハウを応用できる。

 そうしたサービスが必要な人ほど、自分から役所に
アプローチしてこないのではないので、児童扶養手当の
全受給世帯と面会できる8月の現況届の際にアンケート
調査をし、希望を聞き取る。

市役所は市民との接点を数多く持っており、それを活かす
ことにより、様々な困難を抱えた人と接することができる。

もし、子どもと会えない、会わせてもらえないような場合
には、18歳未満の子どものいる世帯に広く支給される児童
手当の振り込みを停止し、子どもを連れてきてくれたら
手渡しするようにしている。

 ほんとうに、これなら、児湯郡内の町村で、今すぐに
でもできると思います。
「みんなの学校」と湯浅誠さんの講演 [2016年09月10日(Sat)]
 メインの講演の講師が、講演の後に上映される
「みんなの学校」の前座と自分で言ったのは、
たぶん主催者も知らなかった縁があったからです。

 湯浅誠氏が、ブログで「みんなの学校」を見てほしいと書いた
のを読んだ出版社の方が映画を観たことがきっかけで、木村校長
の本が生まれました。本の帯の推薦文は湯浅誠さんが書きました。

見てほしい!「みんなの学校」

 湯浅さんが社会活動家として関わった路上生活者、派遣切りで
カフェ難民になった人たちには無関心な人でも、地域の学校であった
ドキュメントは、無視できないと思います。

 湯浅さんの講演では、ネットで見たインタビュー記事が
気になっていたのですが、映画を観て、自分の家庭の問題、
地域のこととして考えるまでは、そんな質問は、思いつき
ませんでした。

『イギリスでは生活保護をセーフティー「ネット」ではなく
セーフティー「トランポリン」と位置づけている。』と言った
けど、高鍋で、セーフティネットの話をしなかったのは、
講演&上映会のテーマ「福祉で街づくり」を自分ごとと考えたら、
セーフティネットがトランポリンになって、
ドキュメント映画の卒業式で観た子どもたちの笑顔が、
地域で困りごとを抱えている人や家族の笑顔になると
思ったからでしょうか。

生活保護の先にあるもの

 湯浅さんは、「みんなの学校」の現場で、一番得したのは、
困りごとを抱えていない子(映画の児童A、児童B)だと言います。

 実際、統一学力テストでは、上位の成績を取るし、
初めて担任を持った臨時教員は、採用試験に受かりました。

 困りごとをどうするか、一緒に考えるうちに、
アクティブラーニングができています。

 もちろん、教師が周りの児童に丸投げするようなことはなく、
心配なことがあれば、スクールボランティアなどの地域の人を
含めた大人全員が、ひとりの児童を見ています。

 地域のおせっかいおばさんと言われようが、街中だろうが、
こんなふうに、大人が、みんなで、困りごとを抱えている子ども
を見ていたら、それを続けることができたら、変わる気がします。

 高鍋で、豪華二本立てで企画された湯浅誠さんの講演会と
「みんなの学校」の上映会は、湯浅さんのアドリブ(現場対応)
で、ほんとうに、「誰もが共に生きるために、福祉で街づくり」
に、高鍋で暮らす人、働く人が行動を始めることになると、
誰かが行動と働きかけを続ける限り、明日に架ける橋はできる
と、私は思います。
権力を背負って支援するケースワーカー [2016年08月17日(Wed)]
 保健所の職員は、当事者を支援するために関わります。
生活保護を受けたいる方は、ケースワーカーが、一緒に
関わってもらえました。

 福祉事務所にいると、ケースワーカーの仕事の多くは、
給付に関わることだと感じます。

 生活保護に関わるケースワーカーの職業に関して、
読売新聞大阪本社編集委員の原昌平記者(精神保健
福祉士)が、記事として掲載されています。

 ☆権力を背負ってケースワークができるか

 生活保護のケースワーカーは、貧困の問題を中心に
 福祉の仕事をする公務員です。福祉の仕事といっても、
 制度の企画や事業全体の運営ではなく、生活に困っている
 人と 実際に接する現業の仕事です。
 そこには、経済的な給付を担当する面と、対人援助を行う
 面があります。

 生活保護の取材をしてきて感じるのは、ケースワーカー
 の多くは、行政職員という意識が強く、福祉の仕事という
 意識が低いのではないか、ということです。
 制度を適用して経済的給付を実施する行政職員という立場は、
 上からの目線になりがちです。それは、現代の社会福祉で
 基本になっている対人援助のスタンスとは違います。
 保護の停止・廃止まで含めた権力を背負いながら、本当に
 ケースワーク(個別支援)ができるのでしょうか。


 長文の引用になってしまいました。以下、特に気になる
フレーズを書きとめます。

 社会福祉の相談援助(ソーシャルワーク)は、上下関係
 ではなく、相手と同じ目線で支援することを重視します。
 いわば水平の位置関係での支援です。このスタンスは、
 社会性と並んで、ソーシャルワークの生命線です。

生活保護のメインの課題である貧困には、社会的な要因が
 あります。そのことを踏まえれば、個人の生活態度ばかりを
 問題にして上から指導する、というスタンスにはならない
 はずです。

 少なくともケースワーカーは、自分の持つ権力性が、
 福祉的な援助の妨げになるものだという自覚を持ち、
 悩みながら仕事をしてもらいたいと思います。
 


 生活保護の患者が言うことをきかないから、指導して
くれと行ってくる医師もいます。ともに支援する立場で
あることを、その医師には気づいてほしいと思います。

 ソーシャルワークの生命線を、他職種の方にも
伝えて、ともに支援する立場で関わってもらえるよう
言い続けてほしいと思います。
生活保護申請のプロセス [2016年06月04日(Sat)]
 2008年末に「年越し派遣村」の村長になった湯浅誠氏
(元内閣府参与)の2008年3月10日収録のインタビュー
が、NHK福祉ポータルサイトで閲覧終了になったので、
記録として残すために、ブログに掲載します。

【生活保護申請のプロセス】

前回からの続きです。「生活保護は最終的な解決ではない」
としながらも、「『結局これでは食べていけない』という人が
増えているからそこに頼らざるを得なくなる人が増えている」
と湯浅さんは指摘します。

――生活保護の申請はどこへ行けばいい?

区役所の中に、通常の場合は生活保護課とか、生活福祉課とか、
社会援護課、保護課とか、いろんな名前があるんですけど、
そういう部署が生活保護の担当で、あとは障害者福祉課、高齢
福祉課、児童福祉課とか、そこを全部あわせて福祉事務所と言う
のです。それは基本的に区役所の中にあります。

――実際に、もやいの場合、来所された相談者の方の、生活保護
申請はどのようにするのですか。

相談者の話を聞いて、これは生活保護しかないと思ったら、まずは
自分で行ってみませんかとすすめます。今までさんざん断られて来て、
とても一人では自信がないという人の場合は同行します。地方の方に
関しては、各地域に生活保護の申請を援助する団体がありますので、
そこを紹介します。

生活保護申請というのは、申請書を出すことが実は一番の難しさに
なっているんです。申請書を出せば申請したことになる、それは
当たり前ですよね。しかしこれを出させないという、いわゆる水際
作戦が行われている。面談室でいろいろ言われて、あなたはどうせ
出しても無駄だからやめなさいと説得されたり、という事例が横行
している。

ですから、そこをとにかくどんなことがあってもこの紙は出して
くるんだという強い意志が大事です。

――申請書を提出するまでに区役所職員の水際作戦がある。なぜ
そういうことが起こるんですか?

今、生活保護を受けている人は、95年くらいに比べると、ほぼ2倍
近くに増えています。全国で150万人が生活保護を受けているの
ですが、職員はそれに応じて増やされていないんですよ。

ひとりのケースワーカーがマンツーマンで対応する件数がどんどん
増えていっている。したがって、一番大きな原因は区役所の職員が
手一杯だからということではないでしょうか。

1950年頃、厚生労働省はひとりのケースワーカーが持っていい件数
は、80件までと決めたんですけど、今東京では100件越えている人が
普通。大阪のある自治体では、ひとりで400件持っています。
そうすると、これ以上仕事増やさないでよということにどうしても
なりますよね。

とは言え、申請者の立場からしてみれば、生活保護の相談は、面談室
という密室で行われますし、申請者本人は心身ともに疲れ切っている
ことが多い、そして知識もない、そういう中で「あなたまだ無理だよ
と、国民のみなさんの税金なんだからそう簡単には出せないですよ。
もうちょっと頑張ってそれでも無理だったらまた来ていいから」って
言われたら、普通帰りますよね。

弱っているところにそう言われちゃうから、なかなか自分の頑張り
ではいけないわけです。だから、こうすれば絶対に申請できます
というのを伝えて、その気になってもらう。私たちの方でこの人なら
大丈夫だろうと申請書を出して、却下された人は今までひとりもいません。

――確かに地方財政のこともあるでしょうし、あまり増えていったら、
予算を圧迫するのかもしれないという気もしますが。

日本の社会保障給付費は、約80兆円。生活保護は、そのうち2兆円を
使っています。その意味で、社会保障全体を圧迫しているというほど
大きな数値ではない。さらに日本の社会保障給付費をGDPで見ると17%。

これは欧米諸国に比べて極端に低い数字です。欧米の平均がGDP比で
26%なので、いかに社会保障にお金を使っていない国かということに
なるかと思います。

もっとも、今生活保護から漏れてしまっている人は800万人くらい
いますが、生活保護の申請者が増えてきて財政が大変だから間口を
閉めればよい、というのでは解決にならない。だからといって、
その全員が生活保護になればいいという話でもないと思っています。

雇用のセーフティーネットや、社会保険のネット、そういうものを
全体として強化していくことが本筋でしょう。

――番組の中でも、シングルマザーの生活保護世帯を例にあげて、
生活保護以前に、子育て支援がきちんとしているかどうかという、
その前にある前提の話がありましたよね。

日本のシングルマザーは、世界で一番働いているんですよ。就労率
85%ですから。だけど、子供を育てながらの仕事ですから、パート
とか、働いてもまともな賃金をもらえない職だったりすることも多い。

どんなに働いても基準収入にいかなかったりするわけです。
そのために児童扶養手当というのがあるんですけど、これはこれで
削られています(2007年度から3年間で段階的に廃止の方向で話が
進んでいる/編集部注)。
そうすると、結局そこでは食っていけないから生活保護に頼らざる
を得なくなる。

生活保護以外ではやっていけない状況にしてしまっている。失業給付
も80年代までは、失業者の6割くらいが受給していましたが、現在は
2割です。10人に8人は失業したら失業給付が受けられない。
非正規雇用が増えているからです。

会社が社会保険なんてかけませんから。そうすると、失業しても失業
給付を受けられないから、また生活保護で生きていくしかないという
ような状況がどんどんできてしまっている。悪循環です。

我々はそういう社会状況を「滑り台社会」って言っているんですけど、
滑ったら、とにかく底まで行ってしまって、途中で止まれない。
そういう社会ではいけないと思うんです。

(2008年3月10日 インタビュー収録)

生活保護の先にあるもの [2016年06月04日(Sat)]
2008年末に「年越し派遣村」の村長になった湯浅誠氏
(元内閣府参与)の2008年3月10日収録のインタビュー
が、NHK福祉ポータルサイトで閲覧終了になったので、
記録として残すために、ブログに掲載します。

【生活保護の先にあるもの】

生活が成り立たなくなった人が持つ権利として、生活保護は
受けてよい。しかし本当に大事なのは、そこからの「回復」
である。受け止めるだけのセーフティー「ネット」ではなく、
もう一度バネの力を得させて復帰させることのできる
「トランポリン」のような社会が今求められている、
と湯浅さんは語ります。

――もやいは連帯保証人になるということですが、生活保護
受給者が失踪した場合は、当然連帯保証人に責任がかかって
くるわけです。リスクはどうなのですか?

この活動を始める前は、絶対うまくいかないから止めておけ
とさんざん言われましたし、私も10%くらいは覚悟が必要と
思っていました。ですが、実際始めてみて、今1400世帯の人
に保証人提供しているのですが、トラブルは5%です。

95%の人は保証人に面倒をかけることもなくアパート生活を
されている。ですからアパート生活をしたくないとかできない
と言うことではなく、できるのです。社会がサポートして
こなかっただけなのです。

――生活困窮者へのサポートとして、生活保護は第一ステップ
としてあって、その後はどういう社会復帰のプロセスになって
いくのですか?

基本的には生活保護から抜けて、自ら収入を得る方法を模索し
ますよね。しかしそれは、生活保護を受けるまでがどういう
状態だったかによって、道のりも変わってきます。

ずっと大丈夫で、少し生活が落ち込んだだけの人はすぐに社会
復帰することもできるでしょう。しかし、その前の過程でいろ
いろなことがあって、落ち込みが深くなってしまっている人の
場合は、復帰までのプロセスも長くなります。

ですから生活保護から抜けるのに時間がどれくらいかかるかは、
人によって違ってきます。たとえば、19歳の男の子が生活保護
を受けることになったのですが、彼は高校に行っていなかった
ので、夜間の定時制の高校に通いたいということで、今、定時制
の試験を受けています。そういう場合は、定時制の高校を出る
までは生活保護で、ということになります。

このように学歴やスキルを身につけることもそうだし、他には
メンタルな部分の回復ですね。病気を持っていたり虐待を受けて
育ってきた人は、いろいろ困難を抱えているので、生活保護を
受けた翌日から24時間戦えますか、と言えばそうではなく、
ある程度時間をかけていかないといけない。その意味で、実は、
生活保護を受けた後のプロセスをいかにスムーズにもっていける
かに力を注がないといけないわけですが、それがまだなかなか
できていないのが現状です。

イギリスでは生活保護をセーフティー「ネット」ではなく
セーフティー「トランポリン」と位置づけているそうです。

受け止めるだけはなくて、そこからバネの力をその人に得させて
社会へと帰していかなくてはいけない。日本の場合、そういう
運用がまだできていない点が問題だと思います。

――生活的に自立できるようになって、もう生活保護は受け
なくて良いという判断は誰がするのですか?

基本、福祉事務所のケースワーカーが行います。その人の状態を
見ながら、ケースワークをやっていく。これが生活保護制度が
指定しているやり方なのですが、さっき言ったように、ひとりの
ケースワーカーがキャパシティ以上に抱えてしまうと、そういう
ことができない。だからこれは悪循環になっている向きがあります。

――生活保護を受けないとやっていけないんじゃないかという
人たちへメッセージをお願いします。

生活保護を受けることを、あまり恥ずかしいとは思わないでほしい
ということですね。偏見が強い制度ですが、収入が足りない時に
ちょっと利用して抜けることもありだと思います。

失業手当をもらうのに抵抗感がある人ってあまりいないですよね。
それと変わらないと思って利用してもらいたい。それが憲法25条に
書かれた「生存権保証」、健康で文化的な最低限度の生活が保証
されるという、国民の権利だと思っていますから。

(2008年3月10日 インタビュー収録)

生活保護を受けるための条件とは? [2016年06月04日(Sat)]
2008年末に「年越し派遣村」の村長になった湯浅誠氏
(元内閣府参与)の2008年3月10日収録のインタビュー
が、NHK福祉ポータルサイトで閲覧終了になったので、
記録として残すために、ブログに掲載します。

【生活保護を受けるための条件とは?】

 「ハートをつなごう」で2月に取り上げたテーマ「貧困」。
 働いても食べていけない。不安定な仕事にしかつけず、
 食べていけない。日々の暮らしに困る人たちが急増して
 います。

 こうした生活が成り立たなくなった人たちを支援する
 NPO法人自立生活サポートセンター・もやい。その事務局長
 であり、『本当に困った人のための生活保護マニュアル』
 著者でもある湯浅 誠さんに、生活保護の知識について聞き
 ました。

 ――NPO法人もやいの活動について教えてください。

 入居支援事業といって、生活困窮者がアパートに入る時の連帯
 保証人になる活動をしています。それから生活相談の活動が
 あります。
 生活保護の申請に同行したり、借金を抱えて身動きがとれなく
 なっている人を法律家に繋いだりするというものです。

 それ以外には週に1回もやいの事務所をカフェにして「こもれ
 びコーヒー」という、自分たちで焙煎したフェアトレードの
 コーヒーを出して、社会の中で居場所がない人が気軽に来て
 話ができるような場所をつくっています。

 生活困窮者は孤独、気軽に相談できる相手がいない、といった
 状況に陥ることが多いですから、「木漏れ日」の名前ではない
 ですが「ただ来て、ひととき誰かと話ができる」場をつくれ
 たらとの思いからです。  

 ――番組「ハートをつなごう」貧困の回では、生活保護が話の
 焦点のひとつになっていました。生活保護についての正しい
 知識があまり知られておらず、誤解も多いという。そこで改め
 てお聞きします。生活保護を受けるための条件とは何ですか?

 まず最初に申し上げておきたいことは、生活保護を受けなくて
 も生活できる社会にしなくちゃいけない、そちらが基本だと
 いうことです。ただ、失業保険の受け方が普通の常識として
 誰もが知っているのと同じように、生活保護についても基本的
 なことは覚えていていい。そういう前提でお話します。

 第一に生活保護の基準以下しか収入がないこと、第二に資産が
 ないこと、原則的には条件はその2つだけです。ただし「基準
 以下の収入」とひとくちに言っても、単純に何万円だから基準
 以下ということではないんですね。

 東京に住んでいる人と沖縄在住の人の最低生活費は違うし、
 独身と子持ち家庭でも違うからです。もやいのホームページで
 公開されている「生活保護費自動計算表」で試算できるので、
 気になる方は、そちらで調べられると良いと思います。

 ――ここで言う資産とは、具体的にどんなものが該当するの
 ですか。

 車、住んでいない不動産、土地、家屋、宝石などは資産と
 見なされます。
 あとは解約すると何十万も返ってくるというような、貯蓄性の
 高い保険なども当てはまります。逆に言うとそれ以外は、
 持っていても構わないということですね。たとえば、コン
 ピューターを持っていてもよいし、クーラーがあってもいい。
 換金したら何十万にもなるようなものはダメですけど、
 そうでなければ持っていてもOKです。

 あとは所持金についてですが、東京の20歳から39歳までの
 単身の男性が生活保護でもらう金額は、生活費分としては
 8万3700円と決まっています。それとは別に、家賃分として
 出るのが5万3700円まで。4万円のアパートに住んでいたら、
 4万円までしか出ません。
 10万円のところに住んでいても、5万3700円までしか出ません。

 そうすると、生活費支給8万3700円と家賃支給5万3700円を
 足すと、13万7400円になりますね。この半額、68,700円まで
 の現金は、持っていても持っていないのと一緒と見なされます。

 生活保護を抜ける時の生活資金として、自立のためにとって
 おいていいと考えられている。したがって、生活保護を受ける
 上で持っていていいお金は、国にもらえる保護費の半分まで
 ということになります。

 ――その他には条件はありますか。

 自分に収入がなく資産がなくても、直系血族と兄弟および配偶者、
 すなわち親・兄弟・子供・配偶者が援助をしてくれる場合は、
 生活保護よりもまずその援助が優先されます。

 ですから、最初にその人たちのところへ金銭援助をしてくれるか
 どうかの確認の連絡がいきます。そこからの援助が得られるのに、
 それを受け取らないで生活保護を受けるということはできません。

 ――諸事情で親兄弟に連絡されたくないといった場合はどうすれば
 よいですか。

 正当な理由がなければ、それは認められません。正当な理由という
 のは、たとえば典型的なのがDVで、命からがら逃げて来たなどと
 いった場合に、配偶者であっても連絡しないでくれという要望は
 成立します。ただ単に親とうまくいっていないから、ではダメです。
 ただし、そう聞くと、いくら生活が苦しくたって親に連絡が行く
 くらいなら、と諦めてしまう人も多いのですが、実際に身内の元に
 行くのは手紙の通知のみです。

 電話が行ったり訪問されるんじゃないか、あるいは親の資産が調査
 されるんじゃないか、など気を回してしまう人がいますが、そういう
 ことはありません。

 「扶養照会書」と言って、「○○さんが生活保護の申請に来ています。
 あなたは家族なのだから、援助できませんか?」という内容の手紙が
 行くんです。それに対してまったく返信がない、あるいは、うちには
 そういう余裕はないので援助はできないということを家族が書いて
 送れば、そこで終わります。親がいるからダメとか、兄弟が仕事して
 いるから受給の資格がない、という意味ではありません。

 ――番組の中で「以前、生活保護の申請に行ったら、住民票がないと
 ダメです」と断られたという話が紹介されていましたが。

 それは誤解です。生活保護に大事なのは本人が今、どこにいるかです。
 たとえば、私が住民票を持っていなかったとして、私が今ここで、
 突然倒れて私がお金を持っていなかったとしたら、その実施責任はこ
 この区にあるんです。住民票は関係ありません。

 実際、生活保護に関して世間一般に誤解が蔓延している向きは否めま
 せん。住民票がなければ生活保護は受けられない、借金があるならダメ、
 働いているんだったらダメ、働けるんだったらダメ、たとえばそんなこと
 を言われることがありますが、これらは全部誤った認識です。

 ――働いてもいいわけですね、手持ちのお金がさきほどおっしゃった生活
 資金以下であれば、働いていても該当する。

 大丈夫です。その代わり、足りない分しか出ませんが。国が決めている最低
 ラインというのが各世帯ごとにあって、そこに届いていない場合には、足り
 ない分を国が一定期間支えましょう。これが生活保護の基本的な考え方です。
 年金をもらったりしていても、もちろん構わないわけです。

 (2008年3月10日 インタビュー収録)
合言葉は「反貧困」 [2016年06月01日(Wed)]
 ブログに、カテゴリー「反貧困」を追加しました。

 2008年末に「年越し派遣村」の村長になった湯浅誠氏
(元内閣府参与)の著作(2008年4月:岩波新書)の題名に
由来しています。岩波新書の表紙裏には、こんな言葉が…

 うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで
 転げ落ちてしまう。
 今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。
 そんな社会にはノーを言おう。合い言葉は「反貧困」だ。

 貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする
 風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる
 「強い社会」に向けて、課題と希望を語る。


 「子どもの貧困」や「貧困の連鎖」という言葉は、マスコミ
にも多くでてきますが、自己責任とは言えない状況の中で、
うっかり足をすべらせれば、ネットカフェ難民やファミレスへの
避難、一晩中歩いて昼間の公園で眠る生活、そしてホームレスに
なってしまう社会構造(雇用・社会保険・生活保護の穴だらけの
セーフティネット)は、この本を読んで、初めて認識しました。

 生活保護のことは、5月末が閲覧期限のNHK福祉ポータル
サイトに、湯浅誠さんのインタビュー(2008年3月10日)で、
わかりやすく出ていました。

 今日は、ほんとうに閲覧できなくなっていました。
安心してください。私が保存していますので、後日、
このブログに掲載します。
   
 生活保護への差別・偏見が、最後のセーフティネットの機能を
奪っている… そんな日本人の意識と行動を変える活動に、
ブログを通して参加したいと思います。
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