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★海外記事の紹介:「世界を変える偉大なNPOの条件」は“地域の小規模NPO”でも原則を活用できるのか?(前編) [2012年12月07日(Fri)]
社会セクター版『ビジョナリー・カンパニー』と絶賛された、社会に大きな影響を与えた12の非営利組織を研究した書籍『世界を変える偉大なNPOの条件――圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則』(原題:『Forces for Good』)の考え方は、リソースが限られた“地域の小規模NPO”でもあてはまるのかという内容です。

▼大きな影響力を持つNPOの6つの原則
1.政策アドボカシーとサービス提供の両輪で取り組む
2.市場の力の活用
3.熱烈な支持者、エバンジェリストとの関係構築
4.NPOのネットワークを育てる
5.環境に適応する技術を身につける
6.権限を分担する


米国においても、地域にねざした活動をメインにしているNPOが多くを占めており、150万団体のすべてが全米展開しているわけではありません。大規模NPO以外にも“6つの原則”は活用できるのか。『世界を変える偉大なNPOの条件』の著者が出版後の5年経ったアップデートした内容になります。

photo(C)Rachel Lynne Smith.jpg
(c)Rachel Lynne Smith

Local Forces for Good | Stanford Social Innovation Review
http://www.ssireview.org/articles/entry/local_forces_for_good By Leslie R. Crutchfield & Heather McLeod-Grant Summer 2012 より抄訳

“地域の小規模NPO”が抱える特有の課題(全米・世界規模NPOとの違い)

リソースの制約が非常に大きい。予算規模や事務局環境の違い、政府や企業の資金提供者へのアクセスの難しさ、地域の社会貢献予算の限界など。また助成金や業務請負が大部分を占め単一財源で活動している。さらに予算制約の結果として人材の制約も生まれ、少ない有給職員がサービスを提供、資金調達、組織を運営し、管理業務もこなす必要があります。知識やスキル、成功・失敗の教訓を共有できる「学びの場」へのアクセスが難しい現状もあります。

一方で利点もあります。ボランティアや寄付者、地元の役人、ビジネスリーダー、その他利害関係者など、地域住民との関係構築、活動への理解や当事者意識を生んでもらいやすい点です。地域の支援者へのアプローチは低コストでアクセスしやすく、特定の課題解決に取組んでいるのもその地域では一握りであるだろうから、信頼性とブランドの構築に取り組むことができます。また、小さいがゆえに環境の変化に迅速に対応できます。

上記をふまえて、地域の小規模NPOに“6つの原則”が活用できるかを調査しました。


1.権限(リーダーシップ)を分担する

地域の小規模NPOにおける最も大きな発見は、「権限(リーダーシップ)を分担する」原則でした。これは、圧倒的な影響力を発揮している12の組織が実践する、組織内だけでなく、外部ネットワークにまで「権限を分担」し、強力なサブリーダーを育成し、永続的な経営チームと活発な理事会をつくり、スケールアウトする「偉大なNPOの条件」の1つです。

南カリフォルニアのサンフェルナンド・バレーのホリスティック(全体的な)社会福祉サービスを提供する団体「Meet Each Need with Dignity (以下MEND)」が、最も特徴的に「権限を分担する」実例となりました。 http://mendpoverty.org/

MENDは地域住民を支えるために1971年にカトリックとプロテスタントの小さなグループによって設立されました。地域の配食や入浴、医療、職業訓練、学生の個別指導をサポート。また食品を30の慈善団体に配達・提供するフードバンク活動を実施しています。これは毎月32,000人にサービスを提供しています。MENDには有給スタッフが24名しかいませんが、2008年の経済不況によりサービス利用者が400%増加しても、サービス希望者待ちのような状況に陥りませんでした。その答えは、「権限の分担」でした。熱烈な支持者や、地域のNPOに権限(リーダーシップ)を広げたことがこの事例の成功要因です。

地域住民の需要増加に応えるために、事業の25%をボランティアの力を借りて、時間にすると全体の39%を担ってもらいました。(これは有給スタッフ20人雇用に相当する)MENDの3,200人のボランティアは毎月13.000時間を提供しています。サービス提供にとどまらず、組織のリーダーシップや戦略策定に大きく関わり、助成金申請、キャンペーン活動、他地域のコミュニティを指導したり、ボランティアがフードバンクや医療プログラムのシフト管理もしています。

MENDの代表は言います「“ボランティアに権限の分担はできない”と私におっしゃる人もいますが、ミッションと行動基準を共有したボランティアは、彼らのリーダーシップでとてつもない価値を提供してくれます。」ボランティアだけでなく、もちろん内部のスタッフもプログラムや施設管理の責任者として抜擢することで、代表自身は広報や資金調達、事業開発に注力することができています。

「権限の分担」において、NPOの幹部は仲間を力づけるよう支えることが求められます。またコントロールする力を放棄することが求められるので、少し難しい原則かもしれません。
それでもまずは、「権限の分担」の原則の活用に迫られています。リソースが制約される地域の小規模NPOは、大きな老舗NPOのように予算は立てられないし、マネジメントできる人材もいない。また提供するサービスはできる限り効率的に運営することを金銭的に求められるので、ボランティアのリーダーシップおよび貸借対照表に表れないサービス提供は、創造的な仕事となります。

圧倒的な影響力をもたらす“地域の小規模NPO”は「権限の分担」の原則を活用することにより、ボランティア、理事、およびコミュニティのパートナーと地域にねざした関係を構築し、接点を多く持つことで強い存在感を持ち成功するグループとなるでしょう。


2.熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築

「熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築」は地域の小規模NPOの「権限の分担」と密接な関係があります。熱烈な支持者を動かすためには、有意義な経験を生み出し、ボランティアや支援者に強く想いを寄せてもらう必要があります。研究対象となった地域のNPOは特にそういった経験の提供を得意としていました。

地域住民にとって地域のNPOに関わることは、全米・世界規模のNPOと関わるよりも、個人的により深く課題解決に関与できます。炊き出しや子どもの遊びに参加したり、高齢者のサポートを直接できます。また友人やソーシャルのネットワークつながりを活用して、課題解決に仲間も動員してくれます。地域サービスの提供と関係性構築に貢献・寄与してくれる存在です。

地域の“熱烈な支持者との関係構築”に必要な最初のステップは、団体の活動意義・地域への貢献を伝え、感激・共感してもらうことです。オレゴン州の貧困を経済発展を通じて解決を目指す「Partnership to End Poverty」が非常にうまくいった地域のNPOの実例の1つです。 http://www.partnershiptoendpoverty.org/

2年前、Partnership to End Povertyの代表は地域の人々が集まる昼食会で、従来のパワーポイントのスライドのプレゼンではなく別のやり方で活動の意義を紹介することを試みた。「みんなが私について知らないこと」をテーマに、地域で有名な2つの地域グループに共有した。まず「貧困のイメージは?」と尋ね、ボランティアにも参加している聴衆が「汚い」と答えた。さらに「精神障がい」「やる気が出ない」「教育を受けていない」「マイノリティ」という意見が出た。

そこで有名な市民リーダーにマイクを預けた。彼はアメリカ西部を横断する移民労働者の親を持つ7人兄弟の中で育ち、22の学校を転々とした。さらに特別指導学級を必要とするぐらい勉強の面で周囲から遅れをとっていた。それでも現在、彼は有名な市民リーダーとなっていると語った。

続いて市議会議員が話し始めた。彼女は地方銀行の代表となったが、その後仕事を失った。赤ちゃんを授かったが、母乳や牛乳を飲むことができない体質の子で特別な食べ物を必要としました。けれども、経済的に購入する余裕がなく、自分の子どもを養うことができなく諦めかけた。その時、隣人がそっと、ドアの下に食べ物を購入できるクーポンを届けてくれた。

その場にいた誰もが2人の話を知らなかったし、涙なしにはいられなかった。想像している以上に人々は多くの物語をもっているとPartnership to End Povertyの代表は語ります。
上記のようなストーリーで地域住民の注目を集め、そして、住民のコミットメントを強固なものにする有意義な経験を提供する必要があります。

Partnership to End Povertyでは、ボランティア主導の配食イベント「Project Connect」があります。800人のボランティアが参加し、貧困の中での生活を現場で感じてもらっています。ボランティアに対話を生み出すことができるフォーマット(枠組み)を提供し、プログラムの運営、または対話のテーマを組み立ててもらいます。Partnership to End Povertyにおける熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築は、現場で起きていることの背景の提供と、他のエバンジェリストに感激してもらうことで生まれる「boots on the ground」と呼んでいます。

[※続けて(中編)を読む]


Local Forces for Good | Stanford Social Innovation Review
http://www.ssireview.org/articles/entry/local_forces_for_good By Leslie R. Crutchfield & Heather McLeod-Grant Summer 2012 より抄訳

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Posted by NPOサポートセンター at 16:32 | 海外記事の紹介 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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