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2017年06月21日

志的勉強会レポート(6/20第24回)

 NPOのための弁護士ネットワークです。
 昨日の志的勉強会のレポートです!

 題して「NPOのための職場のメンタルヘルス問題〜スタッフのこころの不調にどう対応するか〜」でした。

 まず、ケーススタディをもとに、グループディスカッションを行いました。
 このケーススタディはA4で5ページに渡るもので、とてもリアリティのある内容になっています。芝池弁護士渾身の作と評しても過言ではないでしょう。
 トラブルに遭遇したことのない方の場合、一度こういったケースに触れて考えて、道筋を眺めてみることは大変有意義なことだろうと思います。経験のある方も、自分の考え方や知識を確認するいい機会になるのではないかと感じました。
 活発なディスカッションによって、様々な観点から意見が出されました。
 NPOの従業員のメンタルヘルスに不調が生じた場合、@その従業員のために/あるいは団体のために、何をすべきか/すべきでないか、A原因は何か、Bどのように調査すべきだろうか、C予防するにはどのようにすればよかったのか、Dそしてそれは法的に可能か、etc…。

 これらの意見も踏まえて、芝池弁護士から、法的な観点からの解説がありました。ケースに対応したQ&A方式でまとめられたレジュメはわかりやすかったのではないでしょうか。
 さらに、社会福祉士の横山氏から、従業員がメンタルヘルスの不調に陥った場合、またそうなる前に気づくためにどのようなことをすればよいか、といった点について、ソーシャルワーカーの視点から解説がありました。
 そのなかでは、例えば、メンタルヘルスに対する十分な治療が可能な就業規則になっているかという指摘もありました。
 大変充実した内容であったのではないかと思います。

講師の横山氏と芝池弁護士
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 引き続き、ご参加頂いた方に来てよかったと思って頂けるような勉強会を続けていければと思います。
 ご参加頂いた約20名の方、そしてご協力頂いた横山さん、canpanさん、ありがとうございました!

NPOのための弁護士ネットワーク
(日向寺)
posted by 日向寺 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント情報

2017年06月09日

AFP2017参加レポート(ファンドレイザーと組織の倫理)

樽本です。今年のGWに、サンフランシスコで開催されたAFP International Fundraising Conference 2017に参加しました。

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日本のノンプロフィット・エコシステムの構築に携わる弁護士として、米国における最先端のファンドレイジング事情や非営利セクター向けのサービス、ファンドレイザーの倫理などを学ぶのが目的でした。また、カンファレンス後に日本からの参加者を集めた現地財団ツアーも楽しみにしていました。

(参考)AFPは、アメリカに本部を置くファンドレイジングの専門職のための協会(Association of Fundraising Professionals)です。毎年アメリカの主要都市でこの国際会議を開催しています。第54回目!となる今年は、4月30日から5月2日までの3日間にわたり、100を超えるセッションやワークショップ、会議などが開かれ、30を超える国々から、約4,500名のファンドレイザーや非営利組織の関係者が参加しました。

すでに他の日本からの参加者(今年は米国在住の方も含めて総勢17名!)がいろんなところで情報共有をしているので、私からは他の方があまり触れていない”ファンドレイザーと組織の倫理”に関するセッションの感想をお伝えします。

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こんな感じで、3日間の開催期間中に、毎日1つずつ倫理に関するセッションが組まれていました。
タイトルは次のとおり。

・Dirty Money Ethics in Nonprofits
・Ethical Fundraising: It’s Everyone’s Business
・Accepting gifts from Pablo Escobar(*) And other ethical dilemmas faced by fundraisers and NGOs

(※)Pablo Escobarとは映画のモデルにもなったコロンビアの麻薬王の名前

上記のセッションの資料は、AFP2017のウェブサイトでDLできます。嬉しいサービスですよね。
http://afpfc.com/handouts

内容はそれぞれなので是非資料を読んでいただきたいですが、3つ目のセッションでは、次のようなことがテーマでした。

1. 非営利組織に求められる3つの重要なこと(これができないと寄付してくれない):透明性、アカウンタビリティ、そして倫理
2. よくある7つ倫理的ジレンマ:汚れたお金(ミッションと資金源との葛藤)、報酬、プライバシー、不正の露呈、スチュワードシップ(受託責任、寄付者の意向の遵守)、誠実さと透明性、利益相反
3. 団体の活動を倫理的なものにするために実践するべきこと


例えば、2.のプライバシーや報酬に関しては、組織で働く理事・コンサルタント・ファンドレイザー・ボランティアは、組織の活動を通じて得た個人に関する情報を個人として取得してはならず、寄付者の情報はファンドレイザーではなく組織に帰属する、とか、ファンドレイザーは、寄付者や潜在的寄付者(prospect)の名簿をお金を払って入手してはいけない、とか、ファンドレイジザーやコンサルの報酬はファンドレイズした資金のパーセンテージで決めてはならない、というようなことが説明されていました。

これらのことは、AFPが定めているCode of Ethical Standardsにも通じる内容です。

Ethical Fundraising: It’s Everyone’s Businessは、これとは少し方向性が違って、上記のような倫理的ジレンマに関するいくつかの事例をもとに、講師が質問と回答の選択肢を示し、参加者が回答したり意見を述べるというワークショップ風のセッションでした。

どういう事例かというと、こちらもDLできる資料に書いてあるとおりですが・・・

(事例1)活動資金が潤沢な非営利組織でファンドレイザーとして活躍していたあなたが資金的に不安定な別の組織に移ったところ、数ヶ月して、以前所属していた組織に寄付を約束してくれていた支援者から「あなたの移った先の組織に興味がある」と連絡が入った。さてどうしよう。
→前の組織に対する寄付の約束を取り消してもらって、所属する組織に寄付してもらうことは、ファンドレイザーとしての倫理上どのような問題をはらんでいるか?


(事例2)新年を迎えたあとに寄付してくれた大口寄付者からあなたのもとに電話があり、「税制優遇を受けたいから昨年寄付したことにして領収書を送ってね、書類はあとで送っておくからよろしく。」と言われ、断る間もなく電話を切られた。げげ!
→寄付者の要望に対して、寄付を受けた組織・担当者はどのような対応をするべきか?


なんと生々しい(笑)。しかし、ありそうな話です。
事例2は問題外だとしても、事例1は寄付者の自己決定権がからんでいるだけに、もらってよいという意見ともらうべきではないという意見があり得るでしょうし、もらったとしてもファンドレイザーの報酬決定の際に考慮されるべきではないという意見など様々ありえるのではないでしょうか。
こういうケーススタディが公の場で議論されているシーンを日本ではまだ見たことがないので、N弁の企画かFRJの公募セッションなどで、そのうちチャレンジしてみたいと思います。

長くなってきたので、あとは雰囲気の伝わる写真を少しばかり。

オープニングセッションのゲスト Shiza Shahid

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スタンフォード在学中に故郷であるパキスタンでアルカイダが禁止した女生徒の教育支援活動を始めて、のちにマララ財団を立ち上げた彼女のバイタリティはすごい。


会場に設置されたブックストア

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非営利組織のマネジメントやリーダシップ、理事会運営、ファンドレイジングの本がたくさん。
特にファンドレイジングの本は、テーマ別にカテゴライズされてすごい数の書籍が並んでいました。amazonでfundraisingのワードで検索してみれば言いたいことが分かると思います。さすがは年間の寄付市場27兆円を誇る大国。


最後に、現地の非営利団体をチームジャパンが訪問したときの様子

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AFP2017が終わった翌日、日本ファンドレイジング協会が組んでくれたツアーで訪問した現地の非営利団体のひとつがここBAYCAT
台湾からの移民2世の女性Villy Wangが立ち上げた団体で、そのミッションは「若者を教育し、雇用し、彼らのユニークな話を伝え、自分自身、地域社会、そして世界を積極的に変革するデジタルメディアを制作する」です(google翻訳くんありがとう)。
ストーリーの持つ力を心から信じて、それを組織の成長や若者の活きる力に変換していくBAYCAT。
すばらしい訪問体験だったけど、どうすばらしかったかはまた別の機会に。

今回のサンフランシスコ滞在のほんの一部だけを伝えようとしても、こんなに長文になってしまいました。
さらに深く知りたいという方がいればご連絡ください。
同行した村井ヨーヘイくんが、すごいパワポ資料を作って経験の共有をしているので、ふたりで出かけていってお話します。オーダーお待ちしています。

(AFPに関するその他の雑感)
日本のファンドレイジング・日本2017の参加者が約1,400名ですので、人数だけでもざっと日本の3倍の規模です。
AFP会員の正規参加費が$1,199/一人ということもあって、会場は国際会議にも使われるコンベンションセンターの一角を借り切り、120もの協賛企業・団体が出展する協賛ブースを擁し、会場運営は外部の専門業者に委託し、メインステージではきらびやかに着飾ったゲストやAFP幹部らが誇らしげにスピーチするなど、しっかりとお金をかけてイベントを作り込んでいる印象を受けました。
日本のような多数のボランティアが活躍する手作り感はあまり感じられませんでしたが、参加者同士のコミュニケーションやネットワーキングを促進することにはとても積極的で、セッションでも、ランチタイムでも、夜のパーティでも、とにかく参加者をまぜこぜにして交流させる仕掛けがたくさんありました。
そのおかげで何度プアな英語で自己紹介をしたことか。しかし、それがとても楽しい。
やはり英語は共通言語なんだと強く感じたし、自分のやっていること、信じている未来などをシンプルに伝えることがとても大事なんだと改めて感じた日々でした。
また行きたい。

(樽本)

2017.6.13 一部加筆訂正
posted by 樽本 at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | NPOの法律問題