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2016年12月22日

2016年10月17日開催のNPOのための志的勉強会のご報告

こんにちは。NPOのための弁護士ネットワーク代表の樽本です。
日本財団Canpanセンターと共催している「NPOのための志的勉強会」で、10月、12月と連続してNPOの人事評価制度に関する論点を取り上げました。
本日は10月開催の勉強会の概要をご報告します。

○10月17日(月)第21回志的勉強会
「NPOスタッフの業務評価〜その是非と導入する際の留意点」
発表者 家村啓三氏(特定社会保険労務士、行政書士)
米田恵梨乃(弁護士、当ネットワークメンバー)

1.家村氏の発表
 この回は、そもそも営利追求を目的としないNPOにおいて人事評価は必要なのか、仮に導入したとして実際に役立つのかということを検証するため、上場企業における勤務経験もある社労士の家村さんに、人事評価の目的、手法などの基礎をお話いただきました。
人事評価は「今の自分」を知るための道具であり、人と比べて格差を付けることが目的でないこと、評価には社会科学の側面があり、自然科学のようにひとつの解を求めることはできないという前置きのあと、典型的な評価要素とそれに対する評価の関係についての説明がありました。
・潜在能力→能力評価 ・労働意欲→情意評価 ・職務行動→コンピテンシー評価
・仕事→職務 ・評価成果→成果評価

 続いて、評価制度構築を検討する際の留意点として、一般企業とNPOの違いについて、@組織の目的、Aステークホルダー、B成果の捉え方、C評価要素、D評価方法(誰がいつどのように)、E評価結果の活用の方法という観点からの発表者の意見が述べられました。
Eの評価結果の活用方法については、企業では能力開発、配置、処遇の決定に用いられるが、NPOの場合は評価を配置転換や処遇に結びつける余地が小さいことが多いため、活用場面は限定的とならざるを得ず、そうだとすると、特に小規模のNPOの場合は、別の手段で能力開発が可能ならば無理に評価制度を導入しなくてもよいのではないかとの指摘もありました。

2.米田弁護士の発表
次に、米田弁護士から、志的勉強会のメールグループで実施したアンケート結果の報告がなされました。
アンケートでは回答のあった9団体中、スタッフの業務評価を制度として実施している団体は3、していない団体は6という結果になりました。
家村さんの指摘にもあったとおり、職員数が少ないと取り入れていない傾向がみられました(業務評価制度のある一番小規模の団体は正職員18名の認定NPO)。職員5名程度の団体では取り入れているところは0でしたが、一方で、正職員60名、非正規職員13名の団体でも、業務評価を取り入れていないところもありました。

業務評価を制度として取り入れてはいない団体にその理由を聞いたところ、次のような回答がありました。
・評価の業務負担(評価基準の作成を含めて)
・評価のしくみがない(そして仕組みをつくるのが大変)
・管理職が少なく、評価が恣意的だと指摘されないかが不安である等、評価の負の傾向が気になる(一方で、業務評価がないことで職員のモチベーションが下がっているのではないかと感じる。)
また、全回答者に業務評価、人事評価に関する悩みを質問したところ、次のような回答がありました。
・少人数であるため、評価制度を導入するのが難しい一方で、評価制度の必要性も感じる
・昇進のロールモデルがなく、評価をとりいれても人事処遇と結びつかない
・評価者の調整会議や360度評価を取り入れている
・プロボノでコンサルファームの分析をしてもらったところ、人事制度の不備を指摘された

続いて、米田弁護士から、すでに人事評価制度を導入している比較的規模の大きいNPO3団体のインタビュー結果の報告がありました。団体内部の情報も少なからず含まれていますので詳細は割愛しますが、いずれの団体も評価制度の導入がゴールではなく、運用面でどのように改善・工夫をしていくかの検討を続けているとのことです。
最後に、同弁護士から、評価制度導入に際して想定すべき法的リスクに関して、@評価制度に基づく査定が違法になる場合、A評価制度の導入や変更により賃金減少等の不利益が生じるときに必要な対応について、レジュメに基づき解説がなされました。

3.参加者からの意見
以上の発表に対して、参加者からは、日々感じていることが整理できた、評価制度の設計、導入、運用をどのように進めたら良いかわからない、売上や利益を伸ばすというわかりやすい目標のないNPOにとって何を評価の物差しにすればよいのか悩ましい、評価することによって逆に職員のモチベーションを下げてしまうのではないかと考えると踏み切れない、小規模のNPOには不向きだと感じた、評価のイメージがつかめないので、実際に人事評価制度を導入しているNPOの担当者から事例解説をしてほしい、というような意見がありました。

以上の意見を受けて、12月の志的勉強会は、NPOにあるべき人事評価制度をさらに深掘りすることを目的として、人事評価制度を導入しているNPOの事例共有を行うことにしました。12月の志的勉強会の様子は改めてブログでご報告します。

(樽本)
posted by 樽本 at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント情報
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