昨日は福島県いわき市久之浜という地区で、側溝に溜まった津波で流された泥を除去する作業を行いました。
地元の人によると、久之浜はいわき市内では小名浜に次ぐ第2の漁港で、タコやヒラメなどの近海魚が多く獲れる漁村だそうです。しかし、福島第一原子力発電所から近いということもあり(原発から32、3kmくらいに位置し、山を越えると立入禁止区域)、大きな被害を受けております。
どちらかというと、地震そのものよりも、すぐ目の前の海からの津波の被害がかなり大きかったようで、以下の写真でもその様子が伺えます。通りに住むおばあちゃんによると、地震発生から通りの向かいの地区は2日間火事が続いたそうです。また、原発事故の影響もあって、そのおばあちゃんが家に戻ってこられたのもつい数日前だったそうです。
全画面表示のスライド・ショー
https://picasaweb.google.com/108376353175767336994/57#slideshow/5604111613391716818
そんな久之浜地区での今回の作業は、通り50メートル程に面した道路の側溝に溜まった泥を除去する、という作業でした。重さ何十キロもある側溝のコンクリートの蓋をまずこじ開けなければならず、イーグル・クランプという特殊土木器具を使いながらの、かなりの力仕事でした(私も肩と腰の筋肉痛がひどいです・・・)。その後に側溝の中の泥と、周辺の掃除を行うものでした。側溝の蓋は取るのも、戻すのも、ものすごく大変で、かなり時間がかかりましたが、何とか一日で作業を完了することができました。ボランティア活動にご参加いただいたみなさん、本当にお疲れ様でした。
一人が時間をかけてできるようなものではなく、正にみんなで力を合わせて一気に行うような作業でした。おじいちゃん、おばあちゃんが多い高齢化率の高いこの地区で、誰も手がつけられなかったこの作業を行えたことは、とても意味があったのだと思います。せっかく水が出ても、下水がうまく流れなければ、結局お風呂は入れない、洗濯もできない、皿洗いもできないと、生活に大きな支障をきたしてしまいます。この地域のみなさんのお力になれたことはとてもうれしいことでした。
後で聞いた話ですが、私たちの活動を見ていた通りの向かいに住む人たちが、こんなにボランティアが大勢で側溝の泥を取ってくれるのであれば、ぜひ通りのこちら側でも作業を手伝ってほしいと思うようになり、区長さんにボランティアの協力を依頼するようお願いしたそうです。それを聞いた区長さんは、本日別のボランティアが活動できるように昨日の内に重機である程度下水処理したそうです。私たちの活動を見て、地域の人がボランティアをさらに受け入れる気になった、「授援力」(支援を受け入れる力)が増したことは、とても意味があるのではないかと思いました。
ところで、今回の参加者も非常に多彩でした。大型連休を生かして京都から泊まり込みで来た大学生、子どもに社会体験をさせたいと思った名古屋や東京からの親子連れ、また先日宮城でボランティア活動してきた経験者などもいらっしゃいました。多くの方が災害ボランティアどころかボランティア活動が初めてといった状況でしたが、帰りのバスの振り返りの様子を聞いていると、被災地の状況をリアルに感じて、とても多くを学ばれたようです。また、継続的な支援活動の必要性を肌で感じたようです。一人一人の力がもっともっと必要なんだと感じ、まだまだ震災が現在進行形の被災地の様子を目の当たりにしたようです。
著名な経営学者だったピーター・F・ドラッカー(最近では『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』で有名ですね)はNPOについても実は深く研究しており、NPOの役割について次のような名言を残しています。
=====
「政府は人に何かを命じ、服従を求める。企業は人に何かを供給し、支払いを得る。しかし、NPOは人そのものを変える。NPOの成果は、服従でも支払いでもない。たとえばそれは、全治して退院する患者である。何かを学びとった学生である。人生が変わった信者である。」
〜P.F.ドラッカー「歴史の哲学」
=====
今回ボランティアに参加された方も、きっと昨日の活動を契機に何かが「変わった」のだと思います。側溝の掃除をしてもらった久之浜の住民ももちろん生活が良い方向に変わったのは間違いないのですが、ボランティア活動をした側も、いろんなことを学び、気付くきっかけになったのだと思います。昨日のバスの中で参加者の感想を聞いていて、多くの人が変わったと感じ、私自身もNPOに関わって本当に良かったと思いました。
この活動は、本当に多くの方々にご協力をいただいて成り立っています。つくばの中心市街地でボランティアの駐車スペースをご提供いただいたデイズタウン様、ボランティア活動のコーディネートをしてくださったいわき市災害救援ボランティアセンター様(連休中は毎日900人が訪れているそうです!)および災害ボランティア活動支援プロジェクト会議から派遣された東京都北区社会福祉協議会の小原さんと大阪ボランティア協会の永井さん、バスのご手配をいただいた関鉄観光バス 株式会社様、活動後に温かい豚汁やおこわなどでボランティアを支えてくれた久之浜の商工会のみなさん、スコップやほうきも持って来てくれたボランティアの上(かみ)さん、本当に、本当にありがとうございました。
また、この活動は、多くの方のご寄付によって成り立っております。ボランティア活動に参加する人が参加しやすいよう参加費は低めに抑えておりますが、それが成り立っているのも多くの方のご寄付があったからです。これまで『ホープ茨城募金』に集められたご寄付は、バスレンタル代、ガソリン代、高速代などのバス経費などにもあてられております。本当にありがとうございます。そして、こういった活動を継続的に行うためにも、ぜひ引き続きホープ茨城募金にご協力下さい。
http://www.npocommons.org/jishin.html#hope
地震・津波・原発と三重苦に見舞われている福島県いわき市などの被災地は、本当にまだまだ人手が足りておりません。また、連休でボランティア活動が終わってしまうわけでは全くありません。もっともっと、お一人お一人のお力が必要です。ぜひ継続的に、私たちの活動を支えてください。