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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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「1日 Akindo in 西岩国」を見てきた180609

[2018年06月14日(Thu)]
私は同じ日に地元の小学生たちと芋づる植えを行っていたため、最後のほうにようやく現地に到着。

西岩国の事業所に協力してもらって、いくつかのお仕事体験を子どもたちにしてもらおうという企画。コースはコースターや漬物、竹細工づくりやメイクやネイルアートの体験。

コースターは、「引っこしした人のために、贈り物として作る」という発注コンセプトのもと、子どもたち自身でデザインを考えて実際に作るというもので、発注表と完成品を写真に撮らせてもらったのですが、その完成度の高さといったら。発想は止まらずに、ハートマークやイニシャルまで入っています。

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お仕事体験を終えたら、近所の8ヶ所のパンやさんや駄菓子屋さんで使える地域通貨のようなものがお給料として支給され、周辺地図と共に渡されるという趣向も素敵なものでした。歩いて回れる範囲に、いろんなお店がある西岩国ならではの取組み。

180609Akindo in 西岩国04ブログ用.JPG

メイクとネイルアートはちょうど終わったところでしたが、女の子ばかりの中、一人だけいた男の子も、薄くメイクした顔で満足そうにネイルを見せてくれたのがほほえましかった。

子どもであっても、ある程度委ねる部分があると、思わない力を発揮するんですよね。楽しい。


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55『万引き家族』2018 109シネマズ広島にて45

[2018年06月13日(Wed)]
『万引き家族』
(監督・脚本・編集:是枝裕和、出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、120分、2018年、日本映画)

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2018年、映画鑑賞55作品目にして、劇場での鑑賞45作品目。

フランスのカンヌ映画祭で最高賞 パルムドールを受賞したことで話題になっている作品。

タイトルといい、告知PVといい「万引き」を強調しているのは、センセーショナルな印象を出すためのプロモーションの都合かもしれません。実際に映画全体で見たとき、「万引き」のウエイトはそれほど大きくありません。おばあさんの年金を当てにしているとは言っても、大人は、労働環境はよくないものの、働いてるし。

全体の雰囲気を大切にして、せりふなども自然に生まれて来るようにしているという監督の演出が、とてもうまくいっていて、登場人物の立ち振る舞いや会話がとても自然で、何だか泣ける。

都会の片隅に忘れられているようにひっそりと佇む小汚い古い家の中で、ほとんど血のつながりのない6人が家族として暮らす様は、家庭における全ての責任を、血縁のあるメンバーによる小さな世界に押しつけて、自分も他人も息苦しくしている面がある現在の家族幻想のおかしさを、どちらが人間らしい暮らしなのかと、逆に照らし出す。

ある事件を元に、家族が一人ひとり真面目そうな刑事に尋問を受けることになるのですが、悪気のない正義の質問が、根本的にピントはずれなものとなっていて、会話として成り立たないやりきれなさと言ったら。

家庭内における虐待などの事件が、自分とは関係ない特定の事例として強調され、自分たちのストレス発散のための消費物として報道される傾向にある昨今において、少しでもこういった問題の本質を社会全体の問題として考えるきっかけとなってほしい、と感じる作品でした。


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「バルト3国の手仕事展〜エストニアとリトアニアとラトビアと〜」

[2018年06月12日(Tue)]
2018年6月16日〜24日 12時〜17時
Freespace haco ライブデポ1Fにて

バルト3国の手仕事展180616〜24 01.JPG

バルト3国の手仕事展180616〜24 02.JPG

去年は、グアテマラとベトナムに行っていて、今年は、この5月下旬から6月最初にかけて、バルト3国(エストニア、リトアニア、ラトビア)の織物の旅に行ってきた、STUDIO WWWOOLの佐古さん。これまで、30カ国くらいは訪れているようです。

バルト3国は、織物などの手仕事の宝庫らしく、以前から行ってみたかったそうですが、今回は、織物のお師匠さんと一緒に数人のグループで、事前に調べたり『地球の歩き方』を使って、織物工房や手作り市などを探し歩いたんだそう。

お師匠さんは、研究熱心で、面白い工房では、その場の道端でみんなで織り技を習ったり、後日数日間の研修を受け入れてもらえるかなど直接交渉したり。

今回の展示では、旅先で入手した手仕事作品の展示・販売や、ワークショップを行うようです。

バルト3国というのは、名前は知っているものの、遠すぎてあまりイメージができないのですが、旅先からのインスタグラムを見てもなかなかかわいいものがいろいろ楽しめそうです。

遠い異国の話を聴きに行ってみようと思っています。

追記:旅の様子などは、フェイスブックの「バルト3国の手仕事展」や「STUDIO WWWOOL」のページで見ることができます。


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564_夏野菜などの植え付けなど その2 180610

[2018年06月11日(Mon)]
「その1」を5月25日、書いてから日数が過ぎてしまいましたが、まだまだ、夏野菜などの植え付けは終わっていません。

そういう徐々に植えている様子などを書きとめておきます(1記事の写真制限が10枚なので、その範囲内で)。

じかにタネを蒔いた玉蜀黍(トウモロコシ)。だいぶ大きくなってきました。

180608コーン ブログ用.JPG

コンパニオンプランツ(相性のいい野菜)として、ミニトマトの合間にバジルを植えてやりました。

180602バジル ブログ用.JPG

単体でも植えてます。

180608バジル ブログ用.JPG

モロヘイヤは、普通はじかにタネを蒔くのですが、今年は苗を育てて、定植してやりました。

180607モロヘイヤ ブログ用.JPG

はたけに置いたまま冬を越した里芋(サトイモ)を掘りだして種芋として植えたら、だいぶ大きくなってきました。

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野菜の残差などを捨てたりするはたけの隅っこに、毎回勝手に生えてくるジャガイモはもうそろそろ、掘り時でしょうか。

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昨年数年ぶりに苗を買って育てた食用ホオズキ(食用ホオズキ)を、今年はタネから育ててようやく大きくなったので定植しました。去年は何もしなかったら、やたら実が成りすぎて、食べられる状態まで成熟したのが少なかったので、今年はちゃんと芽欠きをしたり、摘果してみようと思っています。


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『世界がわかる地理学入門』

[2018年06月11日(Mon)]
『世界がわかる地理学入門』
(水野一晴著、2018年、ちくま新書)

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こういう本、私は大好物です。

京都大学大学院文学研究か地理学専修教授である著者は、調査・研究で世界50カ国以上を訪れており、その経験や自分で撮影した写真を交えて実体験に基づいて、地球規模で世界各地の地理的な条件とそこに暮らす動物や人間の暮らしについて概観できるようになっています。

世界にはいろんな場所、いろんな暮らしがあることは当然と言えば当然なのですが、それが地理的条件に影響されているのがよくわかります。そういった体験をしてみたいと強く思う一方で、実際に暮らしている山口県岩国市という田舎での暮らしだけでも十分変化に富んでいて楽しいので、遠くに行くことはそれほど優先順位が高くないのです。そして、こういう本で結構楽しませてもらっていますし、異国の地に行った知り合いの話を聞くだけでも十分面白い。(ちなみに、私の場合、海外と言うと、インドネシアにしか行ったことがありません)。

印象に残ったことを2つだけ書き出しておくと、
一つは、氷河期による寒暖の差によって、多くの地域ではいろんな植物がじっくりと南下してまた北上して生きながらえるのですが、ヨーロッパの場合、ヨーロッパアルプスとピレネー山脈を越えることができなかったため、樹種が激減してしまったと言う話。なので、小さな島国の日本では高等植物が約5000種存在するのに、ヨーロッパでは約2000種しかないとのこと。

もう一つは、世界の植物区系が大きく6つに分けられるなか、南アフリカのケープ植物界は、日本の約五分の一である7万4千平方キロメートルという特別に狭い地域に約8600種の維管束植物(高等植物?)が分布していて、そのうち70%以上が固有種だという。安定した降水量など気候条件が影響しているらしいけど、とても興味深い。

余談ですが、地理的条件と人々の暮らしと言う意味で、私は「ブラタモリ」も好きです。


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理想的な天気に恵まれた今年の芋づる植え180609

[2018年06月10日(Sun)]
先週、玉葱(タマネギ)の収穫を終え、はたけを作り終えていたので予定通り子どもたちと芋づるを植えることができました。

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180609芋づる植え09 ブログ用.JPG

今年は、玉葱の収穫直前は晴れて適度に土が乾いていたのではたけが作りよく、その後雨が降ったので、適度な湿り気があり、芋づるを植えた翌日に雨が降ってくれたので、もう水をやる必要は全くありません。

梅雨入りの時期に芋づるを植えるのは、こういう状況を狙ってではあるのですが、これほどうまく天気が味方してくれたのは珍しい。


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「鳥と花」を観てきた180609

[2018年06月10日(Sun)]
2018年6月9日から17日にかけて、喫茶ヒマールで開催されている、門田栄子さん(切り絵/岩国)とKAWAKAMIさん(花屋/広島)の二人展。

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フォルムが可愛らしい鳥の切り絵とドライフラワーの花束などのコラボ。二人はなかなか会えなかったらしいのですが、微妙にコラボしていて面白い。

私の一番のお気に入りは、目白(メジロ)と梅の切り絵、目白のぷっくりした形が何とも言えません。天井から吊り下げられた、本物の鳥の羽と、蝋引きした和紙でつくった切り絵の鳥の羽も楽しい。

接写は不可なので、展示風景を撮影させてもらいました。

是非、間近に観に行ってください(10時〜19時。最終日は17時まで。14日のお昼からはKAWAKAMIさん在店。11日はお休みです)。


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『宏二郎 展 ―気―』180623〜0701

[2018年06月09日(Sat)]
2018年6月23日(土)〜7月1日(日)10時〜17時
Opening Party 6/23(土)17時〜
宏樹庵/幸明館にて

180623宏二郎展.JPG

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今年も、米本宏二郎さんの個展が開催されます。

宏樹庵は百年以上前の古民家を改修された建物。幸明館は、書家の米本一幸さんと宏二郎さんの作品を展示するために、主に木と土と竹を使って2017年に建てられた建物。ともに、素晴らしい。

そこを展示空間として、開催される宏二郎展を見逃すなんてもったいない。

案内はがきに使われているのは、霧に煙る杉か檜の林のようです。右手前の1本だけ質感豊かに描かれているのではないかと思われます。その他どんな作品を観ることができるか楽しみです。

実は、宏二郎さん一家は、この春関東から、幸明館の裏にあるお宅に引っ越してきました。これからは、岩国を活動拠点にするようです。

ちなみに、最近、幸明館のインスタグラムができています。建設の様子などがアップされてくるのではないかと思いますので、興味がある人は是非(最新の写真は、幸明館で今回の展示を試みているところ)。

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第三回岩国市民歴史講座『マリア観音―岩国のキリシタン、藩の宗教改革、明治の廃仏毀釈―』180526

[2018年06月08日(Fri)]
元岩国徴古館長宮田さんによる岩国市の歴史についてテーマに沿って、2ヶ月に一回のペースで開催している講座(報告がちょっとおくれてしまいました)。

今回のテーマは『マリア観音』。

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しかし、岩国市の有形文化財に指定されている『子安マリア観音立像』については、来歴もはっきりわかっておらず、普通の子安観音のようです。全国的にも、キリシタン燈籠など、実はキリシタンとは関係ないものが多くあるようで、キリシタンが珍しかったが故に、それらしいものがキリシタンと関連付けられているみたいです。

なので、本題は、岩国でのキリシタンや宗教政策の話となりました。

岩国でも古文書でキリシタンは散見されるも、個人レベルにとどまっていたようです。また、お寺に関しては、岩国では宗派ごとに5ヶ寺と呼ばれた5つのお寺を本寺として、その元に末寺がいくつもあり、それぞれに檀家が所属する形となり、旅行するときや商売をするときに証明を出しており、現在の戸籍の原型となるものも作られていたようです。

神道については、岩国では二十八社と呼ばれる28の神社があり、明治になって全国的に行われた廃仏毀釈についてはもともと神仏混淆(これは全国的なもの)なこともあり岩国ではあまり行われなかったようですが、国家神道形成の活動の中、仏教から神道へ改宗した例はあるようです。

宗教全般について、全国的な流れと岩国の個別事例を知ることができました。

次回は、7月28日(土)14時〜16時、岩国市中央公民館4階集会場にて。
テーマは、『五輪塔〜墓標の時代的変化、五輪塔の見方など〜』
参加費は200円(資料代)です。


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岩国子ども劇場例会『人形劇団クラルテ おひさま劇場』180623

[2018年06月08日(Fri)]
2018年6月23日(土)14時〜(開場13時45分)
演目:「かさじぞう」(25分)、「ポリチーノのけっこうんしき」(25分)
会場:岩国市中央公民館4階集会場
チケット:親子ペア券3000円(家族が増える毎に500円プラス)、シングル券2000円
岩国子ども劇場の会員は無料です。

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創立70年を迎えた人形劇団クラルテを迎えての例会公演です。

岩国子ども劇場では、プロの劇団の公演鑑賞のほか、いろんな遊びの会を開催しています。チラシを大きめのデータにしていますので、参考にご覧ください。


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ママレードでとろける春いちごのサンセットミルフィーユ

[2018年06月07日(Thu)]
周防大島にあるジャムズ ガーデンに併設されているジャムズ カフェ。

たまに寄りたくなります。もうそろそろ終わりかと思いますが、先日行ったとき、「春いちごフェア」をやってて、タイトルに書いたミルフィーユをたのんでみました。

確か、ジャムズ ガーデンのフェイスブックにも以前映像がアップされていたように思います。上にチョコレートの蓋があって、添えられているあったかいママレードをかけると、チョコがとろけるという趣向。

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そのビジュアルの楽しさだけでなく、味のコンビネーションが絶妙。

もう終わっていたら、また来年をお楽しみに。


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『教養としてのテクノロジー AI、仮装通貨、ブロックチェーン』

[2018年06月07日(Thu)]
『教養としてのテクノロジー AI、仮装通貨、ブロックチェーン』
(伊藤穣一著、2018年、NHK出版新書)

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「テクノロジー」が基礎的で大きな役割を果たすようになってきた現代社会において、もはや「一部のひとたちのもの」ではなくなってきているので、「多くの人々が技術的な仕組みを理解すべきだ」ということではなく、その背景にある考え方、「フィロソフィ(哲学)」を「教養」として理解しておくべきだ、との考えのもと、マサチューセッツ工科大学メディアラボの所長を務める伊藤穣一さんが同研究員のアンドレー・ウールさんと共著で書いた本。

著者は、若い頃からインターネット事業への投資に携わったり、Twitterなどのネットベンチャー企業の事業展開、事業育成を支援するなど、新しいテクノロジーの現場にかかわっているので、それなりに説得力があるように感じました。

以下、印象に残ったことや思ったことなどを各章ごとに書き留めておきます。結果として、取り留めのない長文になってしまっています。


1「AI」は「労働」をどう変えるのか?
 IT企業が集中しているシリコンバレーでは、「AIなどのテクノロジーが全てを解決してくれる」と言い換えることもできる「シンギュラリティ」(技術的特異点)を信じている人が多く、コンピュータをよくすることに集中しさえすればいいので、自分の目の前にいまある政治や教育など社会の課題に対して、真剣に向き合う機会が少ないように思える、というのは興味深い、いい指摘だと思います。
 いずれにしても、コンピュータによって、肩代わりされる仕事が増えてくることは想定されるわけですが、そのとき本当に考えなければいけないのは、そうなると働く場所がなるのではないかとかいった心配をするのではなく、生み出される富をどうやって公平に分配していくかの仕組み(例えば、誰でもに一定の所得を保障するベーシック・インカム)や、お金を生み出すことにとらわれない新しい働き方や働き甲斐を考えていくことなのでしょう。

2「仮想通貨」は「国家」をどう変えるのか?
 「仮想通貨」自体は、(20年以上前の)インターネット黎明期に「国家統制に対抗しよう」とインターネットの匿名化のために暗号化を推進した人々が、サイバースペースに理想的な社会を創ろうとして、その社会のための新しい通貨として発想されたものだったのですが、現在もてはやされている「仮想通貨」はそういった理念が抜け落ちて、ただの投機対象になっていることを著者は憂えています。国家とは違う利害関係のない組織が新しいルールで統制することによって、テクノロジーの恩恵を社会に還元するために「仮想通貨」を活用するべきであると。

3「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?
 「ブロックチェーン」は仮想通貨を支える技術として、データを分散的に暗号化して、匿名性を維持しながら、正確に記録、管理する技術で、例えばマグロなどの自然資本を管理することにも活用できるようですが、ちょっと今一私には理解できない部分がありました(つい最近、非常に堅牢なつくりのはずの「ブロックチェーン」で不正が行われたというニュースを耳にしました)。

4「人間」はどう変わるか?
 テクノロジーが発展していく中で、今までにないテクノロジーによる人間拡張が可能になってきて、どこまでが人間なのかという問いが生まれてきている。例えば、なくなってしまった足の補助として存在していた義足が、本来の足より能力の高くなり、人間の足で走るスピードを上回ることができるようになってきており、著者は、パラリンピックが「障がい者」の競技から、「拡張者」の競技に変わる可能性を語ります。そして、「拡張することの倫理的な是非」が問われてくるとも。面白い視点だとは思うのですが、しかし、そうなるともうそれは、競技ではなくて、ショーにすればいいのではないか、と私には思えます。実は、以前、オリンピックについて、肉体を駆使したショーだと書いたことがあります。肉体を追い詰めてパフォーマンスを高めることは、たとえ薬物を使わなくても、健康を害しているのは事実だろうと考えられる(多くのスポーツ競技者が短命であることからもわかる)ので、かけた努力やお金で成果が現せるのなら、そのコストを適正に回収できるシステムを作ればいいのではないかと、私などは思ってしまう。
 それとは別に、著者のちょっとした誤解もあるように思えて気になる点も。「クローンとして生まれた人の権利はどうなるのでしょうか?」という問いを立てていますが、クローン人間を創ることの是非とは別にして、生まれたとして考えるとそれは、元の人とは別の人だから、普通に権利はあると考えてよいはずだからです。それは、一卵性双生児は、同じ遺伝子を持っていますが、別の人であるというのと同じだからです。クローン人間の相続問題なども書いてありましたが、それは、その人を兄弟とみなすか、子どもとみなすかといったテクニック上の問題です。クローン人間を、遺伝子が一緒だから同一人物とみなしてしまうよくある誤解です。
 脱線してしまいましたが、人間拡張の流れのなかで、自動運転について、アルゴリズムを公平にするためのルール作りが必要であると語る点は面白い。確かに、事故が起こりそうな場面で、右に行けば2人に被害が及び、左に行けば3人に被害が及ぶことが想定される場面で、被害を最小限に抑えるためにその構成員の年齢や性別など、どこまで考慮に入れてアルゴリズムを創りこむのか、といった問題は簡単ではありません。
 いずれにしても、進むテクノロジーが人間の「身体拡張」や「感性拡張」をもたらすとき、かならず人間と「自然との共生」や「都市との共生」といった「そもそも論」が生じるので、そこをきちんと論議する必要があるという考え方には賛成です。

5「教育」はどう変わるか?
 アメリカでは、学校に子どもに学校に行かせない「アンスクーリング」という活動があるらしい。大人は、子どもたちの自発的な学習を支援するだけで決して教育をしないというという共通の価値観に基づいて運営されてとのこと。それは、AIが仕事のあらゆるところに導入され、人間が機会に置き換えられていく中で、これまでの産業や軍事のために入れ替え可能なお利口さんを育てるという目的がゆらぎつつあることから生まれているようです。そこでは、子どもが経済を支える人間になるよりも、自分のなかに幸せを見つけることが基本的なアイデアになっています。
 私は、その基本的なアイデアに賛同しますが、それこそ、今の学校で取り組むべきだと思いますし(それを変えることが簡単でなくて、自分の子どものことにならないので「アンスクーリング」に走る気持ちはわからないではないが)、それは、私が会員にもなっている仮説実験授業研究会で研究していることなんだけどなあ、と思ったりします。

6「日本人」はどう変わるべきか?
 20代の頃、日本をベースに起業家、投資家として活躍していた著者が日本を飛び出したのは、日本の官僚機構や大企業とやり取りする過程で、意思決定が遅くプロセスに時間をとられること、空気に支配されること、そしてダブルスタンダードの存在に悩まされたことがあったという。
 経済至上主義のアメリカに比べると、日本ではお金持ちだけが価値が高いのではないという考え方もあり、こだわりを持った職人がいるので、東京には世界一ミシュランの星付きレストランが多いという面もある。そういったこだわりがもっと日常生活のなかで生かされる必要があることなど、長年アメリカから日本を見て感じることが書いてあります。

7「日本」はムーブメントを起こせるのか?
 著者が日本に来ていろいろな人と話してみると、思った以上に2020年の東京オリンピック・パラリンピックを大きな節目として感じている人が多いよう。
 私は、オリンピックの歴史について一時期調べたことがあったり、今回のオリンピック・パラリンピックの誘致に関わる賄賂の問題や、お題目となった東日本の震災復興につながっているのか、などいろいろな疑問があり、オリンピックについては懐疑的ではあるのですが、世界から注目を浴びるのは確かでしょう。
 そこに向けて、新しい価値観を生み出す、日本らしい文化的なムーブメントを発信していく一助になりたいという著者の思いには共感します。

私は、個人的には、江戸時代以来、都市人口と言う面ではほぼ一貫して世界最大の都市であり続けているんじゃないかと思われる東京の、終わりを宣言できるようなムーブメントになると素敵だと思っています。

あっ、思いつきで書いてしまいましたが、「東京オリンピック・パラリンピックで東京の終わりを宣言する」って、何かいいフレーズかも(ただの自己満足?)。

もちろん、東京はこれからも、中心的な存在であることにはとりあえずは変わりないでしょうし、東京をぶっ壊そうとかそういう否定的な意味ではなくて、裏テーマ的な感じで、これまでの一極集中を考え直す的な意味で。

いずれにしても、刺激を受けた一冊です。


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『降臨する身体 踊り場・叩き場』〔第十五回 川の町でミーティング―音楽と言葉―〕を観てきた180528

[2018年06月06日(Wed)]
事前にこのブログでも紹介していた、田中泯さんの踊りと、中村達也さんのドラムスのコラボ。

ホテルのボールルームでの開催で、小さめの舞台が端にあり、舞台から数メートル離れたところに舞台に向かってドラムセットが配置してあり、ドラムセットと舞台との間を囲むようなぐるりに客席が配置されるという形式。

最初は、舞台で踊っていた田中さんが、次第に舞台から降りてドラムのあるところに来たり。次第に激しく、熱を帯びた、不安定なような、しっかりしたような田中さんの動きと、鼓動のようなドラムのリズム。

生の田中泯さんのダンスを間近に観ることができて、大満足です。


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「鳥と花」門田栄子(切り絵/岩国)・KAWAKAMI(花屋/広島)二人展180609〜17

[2018年06月06日(Wed)]
2018年6月9日(土)〜17日(日)10時〜19時
〔11日(月)休み。最終日は17時まで〕
作家在店日(午後のみ):門田9日(土)、KAWAKAMI 14日(木)
himaar(ヒマール)にて

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KAWAKAMIさんについては私は知らないのですが、紹介文に書いてあるように、門田さんは「センス」があるなあと本当に思います。

ヒマールさんがセンスを見込んだ2人のコラボ。

楽しみです。

ちなみに、門田さんは、1年前から販売されている岩国徴古館オリジナルの錦帯橋とシロヘビのマスキングテープのデザインをしています。


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6月の読むロバの会(読書会)、課題図書は『ゴールデンボーイ』180620

[2018年06月05日(Tue)]
5月の読むロバの会の課題図書は、『まるまるの毬』(西條奈加著)。落語の人情噺といった感じで、とても楽しい作品でした。和菓子の話も楽しいし、何よりお話が丁寧に作りこまれいて読ませます。

6月の読むロバの会の課題図書は、『ゴールデンボーイ』(スティーブン・キング著、
浅倉久志訳、新潮文庫)。二作品が収められているので、表題作のほうが優先とのこと。ちなみにもう一つの作品は、映画『ショーシャンクの空に』の原作だそうです。

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2018年6月20日(水)18時〜(1時間程度)
ヒマールにて
課題図書を読んで、喫茶1ドリンクの注文で、誰でも参加できます。


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54『大英博物館プレゼンツ 北斎』2018横川シネマにて44

[2018年06月04日(Mon)]
『大英博物館プレゼンツ 北斎』
(監督:パトリシア・ウィートレイ、出演:デイヴィッド・ホックニー、ティム・クラーク、87分、2017年、イギリス映画)

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2018年、映画鑑賞54作品目にして、劇場での鑑賞44作品目。

2017年に大英博物館で開催された葛飾北斎さんに関する展覧会“Hokkusai: Beyond the Great Wave”の紹介ドキュメンタリー映画。

北斎さんについては、断片的に知る機会はこれまでもあったので何となく知っている気になっていますが、イギリスの北斎研究家や北斎さんを好きな芸術家たちの情熱的な解説によって様々な面からその魅力を説き起こしてくれて、なかなか興味深い(ちょっと情熱的すぎるのでは、という場面もしばしばあるのですが、展覧会の宣伝も兼ねている感じなので仕方ないか。ちなみに、日本人も何人か出てきます)。

イギリス人の視点で撮った、現代の日本の風景が何か所かでてくるのも面白い。

有名な版画作品は、一般に販売されていたて何千枚も刷られていて、版木が壊れてしまうまで刷るので、残っている多くの作品が劣化している状態のもので、初期の作品を探さないといけない話や、有名な「赤富士」が、最初はあんなに赤くなくて、もっと渋いグラデーションの色合いだったことも。

最晩年の軸物の肉筆画は、あまり見たことがなかったのですが、なかなか迫力があります。

NHKの8K映像によって細部を分析する場面あって、私は勝手に予告編を見て、もっと駆使されているのかと思っていたので少し期待外れというか、実は予想通りというか(それなりの新たな発見はあったようです)。4Kとか8Kとかいうのは、まず技術ありきで、活用についてはやはりまだこれからなのでしょう。

6月8日(金)まで、横川シネマにて(1週間限定上映)。


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今年度も、焚き火遊びにつながるはたけづくりをはじめました180602

[2018年06月03日(Sun)]
10年以上続けている、地元の小学校に参加を呼び掛けて行っているはたけ。

まずは、昨年11月から12月にかけて植え付けた玉葱(タマネギ)の収穫。

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今年も出来は良くなかったのですが、あまり手をかけていないのでまあいいでしょう。

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葉っぱや根っこと取り除くのも、手伝ってくれる子どもたちもいて、いつもより早く済みました。

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あとは、肥料を管理機ですき込んで、みんなではたけを仕上げました。来週はいよいよ、薩摩芋(サツマイモ)のツルを植えます。

毎年、この時期は雨が降ると土が重くなってはたけを作るのが難しくなるので、気をもむのですが、今年は、ちょうどいいコンディション。来週の半ばに雨が降ってる予定で、適度にはたけが湿り、芋づるを植えたあとに本格的に梅雨入りしてくれれば、水やりの心配がなくなってベストです。

芋づるは、結構早くから売り出していますが、この時期に植えるのが一番合理的だと思います。


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手仕事の継承について(木村兄弟洋服店の店主のお話)

[2018年06月02日(Sat)]
少し前の記事で書いた、岩国在住の島木さんのミニチュアハウスの展示をしている広島中区の木村兄弟雑貨店のお店にいた隣の隣にある木村兄弟洋服展のご主人と、思わずいろいろと話をしてしまって、楽しい時間を過ごすことができました。

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特に印象深かった話を書き留めておきたいと思います。

長年、背広などの洋服づくりの職人をしていたご主人。もうそろそろ仕事を閉じようと思っていたそうですが、せっかくそれまで培ってきた手仕事の技を何とか残したいと思い、最近二分の一サイズの背広を作るのを教えているそうです。

専門学校で2年間習っても、最近では型紙から一から洋服を作ることはないようで、実際に作ることでしかわからないちょっとしたノウハウが消えてしまうのがあまりに惜しいとのこと。サイズが半分なだけで、やることは本物と全く同じで、場所もとらないので比較的やりやすいのだそう。

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すべて手縫いで作るブレザーやパンツなども見せてもらったのですが、なかなかかっこいい。

東京などでは、そういった一から作ることを覚えて、職人としてやっていくこともある程度できるものの、広島くらいの規模の都市では、もう需要がないので仕事としてはやっていけないのだそう(値段的には、もちろんそれなりなのですが、長く使うことを考えると、それほど割に合わないものでもないとも)。

東日本大震災で原子力発電など電力の問題を身近に感じ、動力の必要ない昔からの手業というものの大切さ(人が身体で覚えるものはなくしてしまうと、また復活させるのは大変なこと)をあらためて思い起こしたこともあるそうです。

3、40代の人で習いたいという人もいないわけではないので、細々とでも技術の伝承をやっていきたいとのこと。

いろいろ多趣味で、ボトルシップなども作っていて、そのための道具も手作りしていたりしているのを見せてもらいました。これもなかなか面白い。

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私は、たまたまそのときアスパラガスの「人肌発芽」をしていたので、話したら、興味を持って聞いてくれたりしました。


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53『さよなら、僕のマンハッタン』2018サロンシネマにて43

[2018年06月01日(Fri)]
『さよなら、僕のマンハッタン』
(原題:The Only Livig Boy in New York、ナン、シンシア・ニクソン、カーシー・クレモンズ、ジェフ・ブリッジス、88分、2017年、アメリカ映画)

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2018年、映画鑑賞53作品目にして、劇場での鑑賞43作品目。

ざっくりとした導入については、2つ折りのチラシの裏面に書いてあるマンガが一番手っ取り早いのでその画像を以下に添付するとして、

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この映画の切なさは、とても好きです。

上記のマンガで、何となく話としては想像できてしまうのですが、実際に観てみると、その想像をかなり超える人間と人間のやり取り、ドラマ、謎解きがあり、これだけの内容を88分におさめたことに感心する。「映画は90分におさめるもの」という言説をどこかで読んだことがありますが、こういう映画に出会うと、そうなのかも、と思わせる。

背景に使われている音楽は、ほぼ、既成の有名な曲と思われます(というのは、私の知らない曲もあるので)。こういう場合、音楽の方が立って、少しわざとらしくなってしまう場合があるように思いますが、最初、若干の違和感を感じたものの、そのうち自然に感じられ、最終的にうまいな、と感じた。

6月8日まで、サロンシネマにて。


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