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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『やさしさをまとった殲滅の時代』

[2014年02月02日(Sun)]
『やさしさをまとった殲滅の時代』(堀井憲一郎著、講談社現代新書、2013年)

1401やさしさをまとった殲滅の時代.JPG


タイトルが、時代の雰囲気をとてもよく表しているように感じて手に取った本。

まえがきで著者は、東京ディスにーランドにありながら、特に待たなくても味わうことのできた、知る人ぞ知る的な特別なサービスが、2000年代に入って多くの人に知られるようになってしまい、「小さな楽しみ」でなくなってしまったエピソードを例に、大きな変革が起こったにも関わらず、暴力的でなく、世間(みんな)の要望に沿ったものだからゆえにやさしさをまとって、人知れず、いろんなものがなくなっていっている感じがする。その変転について眺めてみたい。とはじめます。

そして、著者が気にかけている2000年から2009年にかけ起こったさまざまなことを「やさしさをまとった殲滅」というテーマに沿って解きほぐしていて興味深い。

印象に残ったことを一つだけ書くと、流行について掲載するような情報誌が売れなくなって廃刊になったのは、インターネットに負けたからではないという部分。

情報誌の元編集者によると、大きな要因は広告収入が入らなくなったからだけど、別の背景として、以前は、「目に見えないけが確実に存在している先端的な社会の動き」があって、それを敏感にとらえて特集記事にできれば、販売部数も上がり、その流行がまた増幅されるという循環だったのが、そういう世の中の動きがなくなってしまったのだと。あまりに細分化され専門化されてしまって、それでもまだ女性にはあるけど、特に若い男性にそういう大づかみできる動きがなくなってしまったらしいのです。

私などは、流行というのは雑誌などが煽っているだけではないかなどと思っていたのですが、そう単純でもないのですね。

ついでに書くと、江戸の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催されているコミックマーケット(通称:コミケ)のことについても詳しく触れていて、2013年には3日間で約60万人が集まったのだそう(民間団体の行事としては最大らしい)。

そのコミケについての表現が興味深い。
曰く、「少年の妄想展開と、少女の性欲開示を、すべて受け入れるイベント」「個は個でいい、ということを、多くの人間が集まって認め合っている。だからこれだけの人数が集まっても、それが一つにまとまることはない」「60万人の人を集めながら、どこまでも閉じている」「個であることを強く要望された結果、いくら多く集まっても若者は個であることから脱することができなくなった。集団で動く熱狂の訓練を受けていないからだ。意味なく若者だけが集まる場所を、僕たちの社会はいつしか失っていたのだ」。・・・

著者は、大学時代から現在に至るまで漫画サークルに参加していて、傍観者的に言っているわけではないところに、説得力があるように思えます。

ちなみに、インターネットで「コミケ」で検索してみると、コミックマーケットの公式ホームページがあって、コミケの歴史や考え方など丁寧に説明してあります。例えば、「コミックマーケット年表」というのがあって、その中に参加数の推移が片対数グラフ(片方の軸が、1、10、100、1000…というふうに10倍ずつ増えていて、グラフの傾きで変化率がわかるようになったグラフ)で書かれていて、コミックマーケットが始まった1975年から急激に参加サークル数、一般参加者ともに増えていて、2000年代から落ち着いてきていることがわかります。

最後に、著者がこの細分化され恐るべく個々が分断されてしまった世の中に対して提言していることは、「他人に迷惑をかけること」。当たり前といえば当たり前のことで、[『新世紀エヴァンゲリオン』テレビ版の終わり方(この場合は、「自分はこのままの自分でもいいんだ」ってこと)のように]若干肩透かし気味ではあります。

ただ、以前このブログに書いたことがあったように思いますが、人間関係が希薄になっている昨今にあっては、一昔前のように人間関係が一般に濃いということを前提に子どもたちに注意していた「他人に迷惑をかけない」ように言うことを、今の子どもたちに言うと、ますます人間関係を希薄にしてしまう可能性が高まるのは確かなことだと感じるので、私もとても大切なことだと思っています。

私自身は、どちらかというと濃い人間関係は苦手なほうで、でも適当に迷惑をあったほうがいいんじゃないか、という程度なのですけど。

いずれにしても、私が今社会に感じている「いろんな選択肢や自由な雰囲気がある一方で、多数の意見をまとった無言の圧力で少数者が圧殺されているような息苦しい感じ。一方で、明るい事件も暗い事件も、注目を浴びるやいないやものすごい勢いで(みんなの望みにあわせて?)事細かなことまであらわになって、その膨大な情報を消費することに多くの時間が費やされ、本質的な議論がないわけではないが、その情報の洪水に流され、やがて忘れ去られていく」、ということについて考えるヒントになることがあって面白い。

ちょっと、まとまりのない話になってしまいました。


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