『新装版 図説 野菜の生育 ―本物の姿を知る』
『新装版 図説 野菜の生育 ―本物の姿を知る』(藤井平司著、農文協、1978年、新装版は2005年)
本に書いてあるプロフィールによると、藤井平司さんは、6年間、大阪府農事試験場に勤め、その後長年野菜農家の現地指導をしながら品種の育成と研究を続け、人間の自給生活を追及し、2002年に亡くなった人です。
決してうまくはないのですけれど、自らが、生きている野菜の生育の様を描いた野菜のイラストを駆使しながら、野菜の生育について、深く考察していて、教えられることが多い。
野菜の分類も独自なもので、編立てのタイトルからして面白い。
三編からなる各編のタイトルは次のとおり。
第一編 水にはぐくまれて
第二編 お日さんとともに
第三編 光と水を受けて
野菜の育ち方についての深い知見は、文章の随所に見られ、想像力を刺激してくれます。
2、3例抜粋すると、
「水辺で競り合い満ちて生育するセリの“なかま”たち―窪地で生活する人間、そして水を求めて寄りあう多くの“生きもの”たち―みな、水にはぐくまれて生息している。」
「ニンジンの本名は「セリニンジン」という。セリが水辺で競り合って育っているように、セリニンジンも、もとは水に近いところで群生したものである。(中略)
ニンジンの葉は、全体的にみて、葉片が細かいから、何枚重ねても小さい葉片の重なりが少ないものである。つまり、木の葉は、密植生である。しかも、小さい葉片の先がとがっている。それは密植しても葉上の水切れがよく、風の通りもよくて、“さわやかに育つ”ようになっている。
ところが、ニンジンの葉は繊弱である。しなやかな葉は、とても一葉では立っていられるものではない。(中略)ぽつんぽつんと発芽したのでは生育しないのだ。」
「水辺のアブラナ科植物の種子には、胚乳がなくて、脂分が多いから、水中や多湿な条件でも、種子は腐敗しない。そして、チャンスがくれば発芽する。この適応性は、まさに好機をとらえて発芽する、という野生的な本質である。」
などなど。見ても読んでも楽しい本です。
本に書いてあるプロフィールによると、藤井平司さんは、6年間、大阪府農事試験場に勤め、その後長年野菜農家の現地指導をしながら品種の育成と研究を続け、人間の自給生活を追及し、2002年に亡くなった人です。
決してうまくはないのですけれど、自らが、生きている野菜の生育の様を描いた野菜のイラストを駆使しながら、野菜の生育について、深く考察していて、教えられることが多い。
野菜の分類も独自なもので、編立てのタイトルからして面白い。
三編からなる各編のタイトルは次のとおり。
第一編 水にはぐくまれて
第二編 お日さんとともに
第三編 光と水を受けて
野菜の育ち方についての深い知見は、文章の随所に見られ、想像力を刺激してくれます。
2、3例抜粋すると、
「水辺で競り合い満ちて生育するセリの“なかま”たち―窪地で生活する人間、そして水を求めて寄りあう多くの“生きもの”たち―みな、水にはぐくまれて生息している。」
「ニンジンの本名は「セリニンジン」という。セリが水辺で競り合って育っているように、セリニンジンも、もとは水に近いところで群生したものである。(中略)
ニンジンの葉は、全体的にみて、葉片が細かいから、何枚重ねても小さい葉片の重なりが少ないものである。つまり、木の葉は、密植生である。しかも、小さい葉片の先がとがっている。それは密植しても葉上の水切れがよく、風の通りもよくて、“さわやかに育つ”ようになっている。
ところが、ニンジンの葉は繊弱である。しなやかな葉は、とても一葉では立っていられるものではない。(中略)ぽつんぽつんと発芽したのでは生育しないのだ。」
「水辺のアブラナ科植物の種子には、胚乳がなくて、脂分が多いから、水中や多湿な条件でも、種子は腐敗しない。そして、チャンスがくれば発芽する。この適応性は、まさに好機をとらえて発芽する、という野生的な本質である。」
などなど。見ても読んでも楽しい本です。