『ハート・ロッカー』 事実を、淡々と描くことの功罪
『ハート・ロッカー』(アメリカ映画、監督:キャスリン・ビグロー、2009年)
第82回アカデミー賞で6部門を受賞した話題作。しかし、まだ私の住んでいるところでは公開されていなくて、観てもいないのに予想をするのはフェアでないのを勘弁いただいて、少しだけコメントを。
前評判では、現在進行形の戦争について、政治的なメッセージなしに克明に描かれた映画。と評価が高いようですが、ハードな現場をそのままに描くということ自体が、どういう影響を及ぼすかということに無関心でいいのかという疑問が、私にはあります。
それでなくても、現代には、「過剰である」という問題があります。日々、テレビからは世界各国から、悲惨な事件や戦争が手に取るように流れてきます。そんな映像を、安楽なお茶の間から見て、何もすることができないという現状は、特に子どもたちに、(過剰な負担から身を守るために)思考停止せざるを得ない状況を生み出していると考えられます。
コミュニティが薄れ、人と人との関係が取りにくくなっている現代において、マイナスイメージを伴った過剰な映像は、ますます、個人を閉じ込めさせる傾向を助長させるのではないかと心配です。
最前線という現場では、懸命に頑張っている人がいて、さまざまなドラマが展開されているに違いないと思いますが、それをただ、淡々と描き、マスメディアに載せて大量に流すことの影響の大きさは、その作者の思いを超えていて、配慮されるべきだと思います。
それが、私の考え過ぎであることを祈りつつ。
多分私は、この映画をとりあえずは観ないと思います。しんどくなるだけのような気がして。
第82回アカデミー賞で6部門を受賞した話題作。しかし、まだ私の住んでいるところでは公開されていなくて、観てもいないのに予想をするのはフェアでないのを勘弁いただいて、少しだけコメントを。
前評判では、現在進行形の戦争について、政治的なメッセージなしに克明に描かれた映画。と評価が高いようですが、ハードな現場をそのままに描くということ自体が、どういう影響を及ぼすかということに無関心でいいのかという疑問が、私にはあります。
それでなくても、現代には、「過剰である」という問題があります。日々、テレビからは世界各国から、悲惨な事件や戦争が手に取るように流れてきます。そんな映像を、安楽なお茶の間から見て、何もすることができないという現状は、特に子どもたちに、(過剰な負担から身を守るために)思考停止せざるを得ない状況を生み出していると考えられます。
コミュニティが薄れ、人と人との関係が取りにくくなっている現代において、マイナスイメージを伴った過剰な映像は、ますます、個人を閉じ込めさせる傾向を助長させるのではないかと心配です。
最前線という現場では、懸命に頑張っている人がいて、さまざまなドラマが展開されているに違いないと思いますが、それをただ、淡々と描き、マスメディアに載せて大量に流すことの影響の大きさは、その作者の思いを超えていて、配慮されるべきだと思います。
それが、私の考え過ぎであることを祈りつつ。
多分私は、この映画をとりあえずは観ないと思います。しんどくなるだけのような気がして。