ここらでちょっと、有機無農薬ではたけをすることについて簡単にちゃんと書いておきます。
私は、二十年近く農薬と化学肥料を使わずにはたけをつくっています。それらの必要を感じたこともほとんどありません。
まず、有機というのと無農薬というのは、区別されていない場合があると思いますので、区別しておきます。
@有機(農法)
化学肥料を使わず、コンポスト(生ゴミを腐らせたもの)や油粕(大豆油を絞った残り)、牛糞や鶏糞を発酵させたものなど、生物に直接由来する肥料のみを使ったはたけづくり。(肥料を使わない無施肥のものも一応これに含まれる?)
A無農薬(農法)
除草剤や殺虫剤などの農薬を使わないはたけづくり。(木酢酸などを殺虫剤的に使うのはあり?その効果のほどはよくわかりません)
とりあえず、@の有機(農法)について。
これは、土づくりの話になります。私が肥料として使うのは、
(1)コンポスト
(2)油粕
(3)牛糞堆肥
この3種類になります。
(1)コンポスト
台所から出る生ゴミは、けものの骨(鳥の骨や豚の骨など)と貝殻以外は全て腐らせてはたけに還します。魚の骨は硬そうなものでも影も形もなくなってしまいます。より具体的には、勝手口にふたのできるバケツを2つ用意し、日常的には生ゴミをそこにためていき、1〜2週間に一度、はたけの端に設置した大き目の2つのコンポストのどちらかにどんどん入れていきます。一方がたまりきると、もう一方に入れていき、両方ともたまると、最初に入れていたほうのコンポストの中身がある程度熟成してかさも減っているので、それをスコップではたけの何箇所かに分けて埋めます。ただ、完全に熟成しているわけではないので、生めたところに間違って種や苗を植えないように目印(笹竹の古い切れ端など)をします。
こうして、生ゴミをすべてはたけに還すと、結果として家庭から出る可燃ごみは通常週に1度(私の住んでいるところでは可燃ごみの回収は週2度です)、しかも小さな袋で済みます。
(2)油粕
まあまあ日常的に使うのですが、苗の近く(近すぎると根に悪いと思われるので、十数センチくらいは離す)に少しくぼみをつけてそこにかるく一つまみ入れます。2〜3週間に一度やったりやらなかったり。じんわり腐っていって、肥料になっていくように思われます。
(3)牛糞堆肥
以前は、安い鶏糞堆肥も使っていたのですが、鶏に与える配合飼料には抗生物質などの薬も入っていて、それが糞にも含まれているのであまりよくないという話を聞いて使わなくなりました。一袋100円を切ったりすることもあって値段が魅力なのですけど。その点、牛は草食で、胃の中でよく発酵していてそれが糞としてでてくるので、理想的だとのことなので利用しています。抗生物質の問題などはある程度あるのでしょうが。
(4)その他
苗の周りにマルチとして庭の剪定残渣や草取りをした草などを置いたり、抜いた草をはたけの端に穴を掘って埋めたりします。それが腐って堆肥になったり、採り終わった野菜の枝や抜いた草をためて乾いたものを時々焼いて草木灰にして、種を植えるときなどに撒いたりします。冬に焚き火遊びしたときにできる草木灰も取っておいてはたけに還します。
というわけなのですが、なぜ、化学肥料を使わないかと言うと、化学肥料は、大雑把に言うと、私たちがわかっている範囲での有用成分を工場で作ったものだと言えます。それはいわゆる有機肥料にも含まれていて、その成分自体は問題ないと思われますが、私たちが知っているその成分のみであるというところが問題なのではないかと思うのです。通常は、いろんな成分が渾然一体となって、それらが絡み合っていろんな効果をもたらしていると思われるのですが、それのみにすると、濃度が高くなって、土の中にあるいろんな微生物やミミズが死んでしまう。いろんな微生物やミミズが、土の中や表面にある葉っぱやくずなどを分解したり、食べたりして、じんわりと野菜にとって有用な成分が土の中にできてくる自然のシステムが壊れてしまうのです。それを繰り返すうちに、化学肥料を使うしか方法がなくなってしまう。
というか、自然のシステムをちゃんと利用するほうが(若干手間はかかるものの)安上がりですから。
Aの無農薬については、また後で。