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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『リハビリの夜』

[2018年11月28日(Wed)]
『リハビリの夜』(熊谷晋一郎著、2009年、医学書院)

1811リハビリの夜.JPG

「科学性」「専門性」「主体性」といったことばだけでは語りきれない地点から《ケア》の世界を探る「シリーズ ケアをひらく」(このシリーズの本は30冊以上出ているようで、面白そう。以前読んだ『驚きの介護民俗学』もこのシリーズだったみたい))の中に位置づけられている一冊。大学時代からの友人に薦められて読んでみました。

脳性まひ当事者であり、かつ現役の小児科医である著者が、自分の体験を通じて、どうやって思い通りにならない身体が世界とのつながりを結んでいったのかについて書いてあってとても興味深い。

タイトルは、子どもの頃夏休みに参加させられていたリハビリ合宿での夜のことのようです(本書の中でも象徴的なシーンです)。

以前記事に書いたことがありますが、私は、大学生時代、たまたま近くに住んでいた脳性まひで24時間介護が必要なおじさんの介護に月1、2回ペースで入っていたので脳性まひのことはある程度わかります。

あまり親しみのない人のために一応書いておくと、脳性まひは、脳の損傷が原因で起きる移動や運動の障がいのことだそうですが、どの部分に損傷を受けているかによって障がいの状況は千差万別のようです。

著者は子どもの頃、毎夏休みに健常者の運動モデルにあわせるためのリハビリ合宿に参加させられ、そのときの経験をもとにトレイナーとの関係を次の3つに分類しています。

@互いの動きを《ほどきつつ拾い合う関係》
A運動目標をめぐって《まなざし/まなざされる関係》
B私の体が発する信号を拾わずに介入される《加害/被害関係》

脳性まひの人は、体が緊張しやすく体がこわばっていることが多く、最初にそれをほぐすために無理やり固まっている関節などを伸ばすことがあるそうです。そうすると、最初は筋肉の抵抗が起こるものの、そのうち緊張が緩んできて遂にはゆるゆるになりトレイナーと自分の身体がなじんで、境界がなくなったような官能を伴う瞬間が訪れるとのこと。

しかし、その後は、健常者の動きをモデルにして身体を動かす訓練に移るため、トレイナーとの関係は分離してしまい、《まなざし/まなざされる関係》や《加害/被害関係》に移行してしまうらしい。

著者は、一般的には不自由と思われている脳性まひ者の視点からの他者や他のモノとのつながりを語ってくれているのですが、それほど不自由さを感じさせず、例えば、電動車いすによって得られる、大地までが身体の一部になったかのような感覚などは、いわゆる健常者よりも鮮烈な体験なのかもしれないと感じられます。

私たちは、自分は自由に動くことができると思っていますが、よく考えると、それはそれまでの経験でできることとできないことがわかっているからで、脳性まひの人は、その程度が違うので、そのことについて思い至りやすいのかもしれません。そして、チームでうまく動けているときの一体感というものが、より大きく感じるのかもしれません。

人間は、他の多くの生き物と違って外界に対して不適応な状態で生れ落ちる。しかしこの不適応期間があるからこそ人間は、世界との関係の取り結び方や、動きのレパートリーを多様に分化させることができたのではないか、と言うところも面白い。

「他者とのつながりがほどけ、ていねいに結びなおし、またほどけ、という反復を積み重ねるごとに、関係はより細かく分節化され、深まっていく。それを私は発達と呼びたい。」
いい言葉だと思います。

以前にも書いたことがありますが、身体障がい者の場合、見た目でサポートする側される側というのがわかりやすく、区別してしまいがちなような気がします。けれども、実際には、人と人(や人とモノ)との関係というのは(障がいとかとはかかわらず)一方的なものではなくて、本来的に、相互的なかかわりなのだとあらためて思い至らせてくれる本です。


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コメント
いや、なかなか面白い本で本でした。
もっといろいろ紹介したい部分もあって、是非多くの人に読んでもらいたいですね。
このシリーズの他の本も読んでみたいです。
Posted by:村夏至  at 2018年12月01日(Sat) 08:56
「リハビリの夜」、書評くださりありがとうございます。(村夏至さんに、この本をお勧めし、書評をリクエストした者です。)
「人と人(や人とモノ)との関係というのは(障がいとかとはかかわらず)一方的なものではなくて、本来的に、相互的なかかわり」って、ほんとうに、そうですね。
最近、しみじみと実感します。
Posted by:いーぐる  at 2018年12月01日(Sat) 05:16
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