『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』
『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』(NHK ETV特集取材班著、講談社、2012年)
東日本大震災があった2011年3月11日。同時の起こった福島原子力発電所の事故。政府も東京電力も十分な情報を提供してくれていないし、他局も自主規制(?)のために行動を起こしていない事故発生4日目から現地に入って取材し、独自に放射能汚染地図を作り、その過程を報道番組に仕上げたNHKのETV特集取材班によるドキュメンタリー。
おススメです。
詳しい内容は、是非読んでもらいたいのですが、この本の肝は、副題にも書いてある「ネットワーク」。あとがきに3つのネットワークとして書かれています。
一つは、「科学者のネットワーク」。長年放射能被害に関する研究を行っていて、東海村JOCの臨界事故の時に行政手続きに1週間かかったために十分な調査ができなかった悔しさを抱えた科学者である木村さんが、所属していた労働安全衛生総合研究所の職員に宛てて送信された一斉メール「行動は本省ならびに研究所の指示に従うこと。勝手な行動は慎んでください」を見限って、辞表を出して現地に向かった行動力と、現地でサンプリングした土壌などが、速やかに京都大学、広島大学、長崎大学、金沢大学などに送られ、正確を期すためにクロスチェックされるなど、心ある科学者の協力があってこそできた番組であったこと。
二つ目は、「縦のネットワーク」。NHKのドキュメンタリー番組を作ってきたスタッフの伝統。
三つ目は、「視聴者のネットワーク」。局の報道規制を越えて行動していた取材班がなんとか番組制作にこぎつけて放映されるやいなや、視聴者から直接、そして視聴者同士が情報を共有することによって、番組制作を支援する声をあげたこと。
私は最近、NHKというのが、長引く不況で広告費がひっ迫する中で、結果として、大きなジャーナリズムの中では唯一の存在になってしまっているのではないか、という気がしています。
3000万人の電力を供給する世界最大の電力会社である東京電力は、大きな広告主ですから大きなマスコミのそれに対する矛先が、自主的であれ緩んでしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
一方、NHKは、受信料をほとんど強制的に視聴者から集めているという問題点が昔から指摘されながら、しかし、それが逆に、どこからも左右されることのない安定的な財源を持つことになっているわけで、自由に番組を作ることができる可能性を持っているということになっているのだと思います。
だからこそ、上にあげた、「視聴者のネットワーク」というものが大切になってくるのでしょう。私たちが、適切に声を上げて、よい番組作りを支援していく。私たちのお金で運営されている放送会社なのですから。
東日本大震災があった2011年3月11日。同時の起こった福島原子力発電所の事故。政府も東京電力も十分な情報を提供してくれていないし、他局も自主規制(?)のために行動を起こしていない事故発生4日目から現地に入って取材し、独自に放射能汚染地図を作り、その過程を報道番組に仕上げたNHKのETV特集取材班によるドキュメンタリー。
おススメです。
詳しい内容は、是非読んでもらいたいのですが、この本の肝は、副題にも書いてある「ネットワーク」。あとがきに3つのネットワークとして書かれています。
一つは、「科学者のネットワーク」。長年放射能被害に関する研究を行っていて、東海村JOCの臨界事故の時に行政手続きに1週間かかったために十分な調査ができなかった悔しさを抱えた科学者である木村さんが、所属していた労働安全衛生総合研究所の職員に宛てて送信された一斉メール「行動は本省ならびに研究所の指示に従うこと。勝手な行動は慎んでください」を見限って、辞表を出して現地に向かった行動力と、現地でサンプリングした土壌などが、速やかに京都大学、広島大学、長崎大学、金沢大学などに送られ、正確を期すためにクロスチェックされるなど、心ある科学者の協力があってこそできた番組であったこと。
二つ目は、「縦のネットワーク」。NHKのドキュメンタリー番組を作ってきたスタッフの伝統。
三つ目は、「視聴者のネットワーク」。局の報道規制を越えて行動していた取材班がなんとか番組制作にこぎつけて放映されるやいなや、視聴者から直接、そして視聴者同士が情報を共有することによって、番組制作を支援する声をあげたこと。
私は最近、NHKというのが、長引く不況で広告費がひっ迫する中で、結果として、大きなジャーナリズムの中では唯一の存在になってしまっているのではないか、という気がしています。
3000万人の電力を供給する世界最大の電力会社である東京電力は、大きな広告主ですから大きなマスコミのそれに対する矛先が、自主的であれ緩んでしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
一方、NHKは、受信料をほとんど強制的に視聴者から集めているという問題点が昔から指摘されながら、しかし、それが逆に、どこからも左右されることのない安定的な財源を持つことになっているわけで、自由に番組を作ることができる可能性を持っているということになっているのだと思います。
だからこそ、上にあげた、「視聴者のネットワーク」というものが大切になってくるのでしょう。私たちが、適切に声を上げて、よい番組作りを支援していく。私たちのお金で運営されている放送会社なのですから。