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外国語になった日本語、英国の辞書に載った日本語、言葉のレッド・リスト、ローカリティとグローバライゼーション(その2)――休題の本 [2013年04月16日(Tue)]

前回「方言」に引き続き「言葉」に関する本を引き続き紹介したい。

言葉はまさにローカルとグローバルというものの意味そのものを体現するものだ。

かつて、「豊かさ」という言葉の広がり自体が、豊かさや貧しさ、貧富をもたらしたといわれたが、それが言葉の本質だろう。

そういう風に考えると、言葉・グローバル・ローカルという三つの「言葉」はさらに原初的な、メタ・レベルで繋がっているものだといえる。

今回、最初に紹介したいのは、「フジヤマ」「ゲイシャ」だけでない、外国語の中で日本語由来の言葉を紹介する本だ。

「外国語になった日本語の事典」英、仏、伊、西、独、露、の6ヶ国語の辞書で掲載されている日本語由来の50語について紹介している。

巻末に6ヶ国語の16辞典にこれらの50語での掲載状況を確認した表がある。50語のうち、7語が6ヶ国語全ての辞書に掲載されている。

生花、着物、芸者、侍、柔道、畳、腹切り、

だ。13語が5ヶ国語の辞書に。(括弧内は掲載していない外国語)

歌舞伎(露)、酒(露)、指圧(独)、将軍(露)、相撲(露)、禅(露)、大名(露)、津波(西)、俳句(露)、坊主(伊)、盆栽(露)、みかど(西)、やくざ(西)。

この本は1999年の発行だ。今、調べれば、恐らく、殆んどの言葉が各国語の辞書に載っているだろう。

それよりもさらに進んで、今だとオタクといったカタカナ語、カタカナ語の中でもコスプレ、アニメといっ和製英語が外国語化したものも載っているだろう。


この本の5年後に発行されたのが
「OEDの日本語378」
だ。

英語辞書の中の辞書ともいえる、「Oxford English Dictionary 、OEDオクスフォード英語辞典」の第2版から東京成徳英語研究会が採集した日本語について、1995年〜1998年にかけて全7集でまとめた「西洋の日本発見――OEDに見られる日本語」を再編したもの。

本書の「はしがき」によると、同辞典は「世界最大規模の辞典、、、、言葉の歴史的変遷を例文によって具体的に示すという編集方針によって知られ、、、、1928年の初版(OED1)以来、1933年(SUP1)、1972年(SUP2)と2度にわたって補遺版が出され、それらをまとめて1989年に、総収録語数29万、小見出しその他も含めると61万5千語の第2版(OED2)全20巻が刊行、、、、」

OED2は「舟を編む」の玄武社の「大渡海」より2割ほど多い収録語数でありながら、20巻、単純計算で、例文を中心に20倍の紙数を割いている。因みに、俗に、日本語を英語化すると、5割増しの紙数になるともいわれるので、それを補正すると、約11倍といえるが、いずれにしても多い。

因みに、2000年〜2002年にかけて刊行された小学館の「日本国語大辞典」第2版は、全14巻、50万項目だ。

とまれ、OEDの英語世界の中の0.13%が日本語由来だということだ。

Amazonを見る限り、この本は現在古本でしか入手できないようだ。驚いたことに、元の定価も高いが、古本はその2倍以上するようだ。



言語はかように浸食しあう。

さて、世界で確認されている言語は7,000。このうち英語、アラビア語、中国語の3言語とその方言しか残らないのか、、、、、6,997言語が消滅し、深い智恵の体系も失われ、、(どこまで、各言語)が押し返す動き、、、があるだろうか、、、、として見守る著者の本が、「亡びゆく言語を話す最後の人々」だ。



2012年のIUCN、The International Union for Conservation of Nature 国際自然保護連合Red List レッド・リストによる、3,947種が "CR=critically endangered絶滅危惧IA類"5,766種が "EN=endangered絶滅危惧IB類"、合わせて9,713種

つまり、IUCNが総力をあげようやく調べあげ、救おうとしている生物の数より少ない数の「言語」しか「有識者」は確認していない。その大半が絶滅危惧種なのかもしれない。

人間にとって生物の多様性と言語の多様性はともに大事な筈だ。

本著の著者だけでなく、言語のレッドリストに対する運動、各国の言語政策、世界の言語政策に対して様々な動きが始まっている。
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