2012年06月29日
洗濯板とコインランドリー
朝、入所の「のびのび」に行くと、「ちょっと、あんた。こっちに来んさい!」と、入所者さんに呼ばれました。
あ〜、ご機嫌が悪い時のお顔だな〜
またお叱りを受けるのだろうか…
「敷物が、いつの間にか動いている。誰か勝手に部屋に入って私の物を盗りよるんじゃなかろうか?」
時々、被害的な訴えをする女性です。
自室のラグマットが動いていると不審顔。
でも、それはその方が生活している中で、自然に動いてしまったのだと思います。
どうしたもんかな〜と、悩んでいると…
あら?よく見ると、ラグマットには染みが出来ていて、ちょっと みすぼらしくなっている。
そういえば、入所されてから一度も洗っとらんな。
のびのびのある高森の商店街にコインランドリーがあります。
気分を変えるため、ラグマットの洗濯に誘いました。
「ふ〜ん、そんなのがあるんかね?行ってみよう。」と、了承された入所者さん。
96才の社会見学です。
コインランドリーの物々しい機械群を見渡して「へぇ〜、最近はこんなのがあるんかね?すごいねぇ」と、感心しておられます。
ぐるぐる回るラグマットを覗き込む。
30分もするとキレイになって、のびのびのベランダに干すことが出来ました。
入所者さんのご機嫌もよくなった
で、それからちょっとして、大家の娘さんがやって来られました。
「はい、今日は忘れんと持ってきたよ〜」
手にしているのは、以前お願いした洗濯板です。
今日は洗濯つながりだ。
先日、デイサービスのご利用者さんの、サービス担当者会議に出席した相談員。
帰って来るなり「どっかに洗濯板がないですかね〜」と、嬉しそうな でもちょっと困った顔をしていた。
私も本物の洗濯板なんて見たことがありません。
お気に入りの、いっちょうらのお洋服を 絶対に洗濯させないご利用者さん。
会議でご家族が悩んでいたそうだ。
デイサービスにも、そのお気に入りのお召し物で来られます。
確かに暑くなってきて、ちょっと臭うこともあるように思います。
会議での話し合いの結果、デイサービスでの入浴後、その方と一緒に洗濯をすることになったそうだ。
しかも、本人の気持ちへの働きかけを兼ねて洗濯板で。
目からウロコの作戦です。
へ〜おもしろい。
私もこんなことは大好きです。
ご利用者さんと一緒に洗濯板を使うだなんて、考えただけでワクワクする。
洗濯板を所蔵しているお家はないか、あちこちに聴いたところ 大家の娘さんがお持ちであることが判明したというわけです。(説明が長くなりました)
さっそくデイサービスのご利用者さん方にお見せすると、板のギザギザを指で なぞりながら「まあ、珍しい。昔はこんなので洗濯してたのよねぇ。」と、皆さんで懐かしそうにお話しされていました。
それにしても「お気に入りの服を洗濯板で洗濯作戦」は、うまくいくだろうか?
うまくいけばいいな〜
最新式のコインランドリーと、昔ながらの洗濯板。
のびのびでは、どっちも役に立つ。
不思議な場所だな〜と思います。
2012年06月26日
はらんきょう
今日もケアマネージャーのお仕事で、担当の方のご自宅に出かけます。
特にお変わりないご様子。
90を過ぎてもお元気な女性です。
「ちょっと、ええ物をあげよう。」と、ビニール袋を持って来られました。
中にはツヤツヤの赤い小さな果物が入っている。
美味しそうな すももです。もうそんな時期なのか。
「ええ塩梅の、はらんきょう じゃろ?」と、満面の笑みの女性です。
庭の木にたくさん実がついたそうです。
「やっと生ったんよ。」と、子供のように(ご無礼)嬉しそう。
そう、この地域のご高齢の方は、「すもも」のことを はらんきょうと言う。
最初は違和感があったのだけど、もう慣れました。
はらんきょう、はらんきょう…
ありがたく、のびのびで使わせていただきましょう。
袋に鼻を近づけると、ほんのり甘酸っぱい匂いがします。
担当女性にお話しすると「そうかいねぇ。私にはわからんねぇ。齢をとると鼻も悪うなるんだねぇ。」と、寂しそうに首を傾げておられました。
確かにお齢を取ってくると、いろいろ少しずつ衰えてくるものです。
でも庭の「はらんきょう」が実るのを ワクワクしながら待ちわびる気持ちがあれば、そんな衰えを気にすることもないのにな〜と思います。
2012年06月25日
胡瓜の苗
毎日、雨が降りますが、今日はちょっと休憩のようです。
おかげで順延になっていた近所の学校の運動会は、無事開催できたみたい。
にぎやかな太鼓の音や歓声が聴こえてきます。
ケアマネの訪問からデイサービスに戻ると、中庭の畑にご利用者さんとスタッフが集まっている。
わずかな晴れ間を利用して、野菜の苗を植えています。
みなさん、長年 畑や田の仕事に携わった精鋭だ。
お身体が不自由でも物忘れがあっても、ちゃんとスタッフに教えてくださいます。
「あ、これはトマトですね〜」と、しったかぶって苗を手に取る私。
でも、どうやら違ったらしく「いんや、これはキュウリよ。」と、女性ご利用者さんが教えてくださいました。
ちょっと、あきれ気味に…
どちらも好物で美味しくいただくのだけど、苗の見分けがつかない私です。
2012年06月18日
芭蕉の葉
今日一日、私は出ずっぱり。
ばたばた慌しい毎日です。
日も暮れてデイサービスに戻ると、玄関先の部屋に大きな葉っぱが飾ってある。
大きいなんてもんじゃない。
サーフボードみたいです。
ご利用者さんを 自宅にお送りした時に、裏の崖に茂っているのを見てビックリしたスタッフ。
何の葉か尋ねると「これはねぇ。芭蕉の葉っぱよ。」と、教えてくださったそうだ。
で、物忘れがあっても行動力抜群のご利用者さんは、スタッフを喜ばせたい一心だったのでしょう。
崖を上りバサッと一枚 鎌で切ってくれました。
ご利用者さんいわく、郷土料理の岩国寿司を漬ける時に、この大きな葉を使うそうです。
それにしても大きな〜
これだけ大きいと、落ち葉拾いも大変そうだ。
2012年06月13日
大切なもの
入所の「のびのび」は、老舗の陶器屋さんを使わせていただいている小さな老人ホームです。
狭いけどとても機能的、そして居心地がいい不思議な空間だと思います。
「のびのび」を始める時の改修の際、中にあった物を大工さんの倉庫に移動して、そのまんまになっている。
午後から、大家の娘さんと片付けをしました。
大家さんやご家族にとって大切な物ばかりだけど、全部は「のびのび」に入りません。
いくつか思い出の品を車に積んで帰りました。
入所者さんたちにお見せすると、皆さん目を丸くしている。
「まあ、珍しい物だねぇ。」って。
木箱に入ったたくさんの黒椀は、金のふち塗りがしてあってとても品がよい。
明治四十三年と墨で書いてあります。
「昔はこういうのがあったのよ〜」と、興奮気味に話す入所者さん。
洗った後は、絹のふきんを使って拭いたそうです。
これでお汁粉を食べようという私の提案は、あっさり皆さんから却下されました。
中庭に持ってきた ふたつの壷を見て、またまた女性入所者さんが感心しています。
「これを使っていた人は、賢い人よ。こんなに大事に扱うなんて。」とのこと。
96才の方がこれだけ褒めるのだもの。
本当にそうなのだと思います。
長い間、大切に使われて来た物には、たくさんの人の思いが宿っているような気がする。
私が生まれるずっと前、どんな場面でこのお椀が使われたのでしょう?
きっと、おめでたい席が多かったのだと思います。
すまし汁で鯛なんかが入っていたかもしれない、などなど想像してしまいます。
2012年06月08日
梅雨入り
今日は一日中雨が降っている。
山口も梅雨入りしたそうです。
中庭の池に雨粒の波紋が広がります。
入所者さんが、居間から外を眺め「まあ、よく降るわねぇ。」と、ため息をついている。
「うっとうしいわねぇ。」と、別の入所者さんも。
そして皆さん、それぞれ お話ししたり手芸をしたりするのだけど、また ふと外を見て「本当、よく降るわねぇ。」と、つぶやきます。
しとしと降る雨を嫌そうに言うのだけど、何度も繰り返して来た季節の移り変わりを 楽しんでいるようにも思えます。
雨の中に見える遠い昔の思い出も、よみがえっているのかもしれません。
2012年06月06日
流行語
デイサービスに遊びに来たスタッフの子供(中学生、男子)を見て、「まあ、ちょっと見ない間に、イケメンになったねぇ。」と、ご利用者さんが話していた。
80代の女性だけど、イケメンなんて今どきの言葉をよくご存知だ。
さらっと自然に出てきたのでビックリ、そして笑ってしまいました。
私は、のびのびの皆さんと過ごす時、できるだけ流行の言葉を使わないようにしているのだけど、あんまり気にせんでもいいんかも?
イケメン
誰か、私にも言ってくれんかな。
80代の女性だけど、イケメンなんて今どきの言葉をよくご存知だ。
さらっと自然に出てきたのでビックリ、そして笑ってしまいました。
私は、のびのびの皆さんと過ごす時、できるだけ流行の言葉を使わないようにしているのだけど、あんまり気にせんでもいいんかも?
イケメン
誰か、私にも言ってくれんかな。
2012年06月04日
学生さん
訪問看護ステーションの管理者さんが、デイサービスに看護学生さんを二人連れて来られました。
午前中「のびのび」で、好きに使って(失礼)いいんだと。
よ〜し そりゃあ、前途ある若者に「のびのび」の良さを分かってもらわんとイケン。
私の説明を頷きながら、一生懸命聴いてくれる看護師の卵たちです。
ご利用者さんも、若い二人が気に入ったご様子。
「あんた、どっから来たん?」と、興味津々です。
そのうち 女子学生さんに、らっきょうの漬け方なんかを教えている。
男子学生さんは、麦わら帽をかぶらされ、ご利用者さんの車椅子を押しながら、のびのび農園に出かけます。
若い男の子とお出かけのご利用者さんは、とっても嬉しそうだ。
目標を持って生きている若者は、見ているだけで気持ちがいいと思います。
ご利用者さんも、そう感じたのでしょう。
お別れの時、ちょっと名残惜しそうでした。
2012年06月03日
ごろ寝
只今、夜の10時過ぎ。
入所の「のびのび」の皆さんは、よく休まれています。
そりゃあ、今晩はぐっすり眠れるはず。
昼間、あんなに動いて、笑って、食べたのだから。
今日のお昼ご飯は、中庭で炭火を使ったバーベキューでした。
お肉はもちろん、焼き鳥にホイル焼き。
焼きうどんもあります。
もちろん、たっぷりの野菜も。
それを焼きながら皆で食べていく。
女性入所者さんが、美味しそうにビールを飲んでいる。
あれ?飲めないんじゃなかったっけ。
こんな時は、なにをしても楽しい。
パタパタ、炭火を うちわで扇いだだけでも笑ってしまいます。
煙がこっちに来ただけで「煙い、煙い」と、大笑い。
「のびのび」の(元?)娘たちは、よく笑うな〜
たっぷり食べた後、私は入所者さんたちがいるにもかかわらず、そのままゴロ寝しました。
池の水音が心地よい。
満腹でそのまま、ごろんとすると、なんて幸せな気分なんだろう。
2012年06月02日
新人さん
今年も中庭の鉢に睡蓮が咲いている。
小さくて薄い黄色の花。
大家さんも喜んでいるはずです。
6月から入所の「のびのび」に、新しいスタッフが入りました。
県の緊急雇用推進プログラムで、今からヘルパーの資格を取得する予定の男性です。
若いしなかなかハンサムだ。
初めての介護の仕事だけど、言葉はやわらかいし、表情も優しい。
むいてるかもしれないな〜と、ちょっと安心しました。とりあえず合格点です。
それにしても、女性入所者さんたちが、いつもよりちょっと嬉しそうに見えるのは気のせいでしょうか?
のびのびデイサービスを始めたのは、私が33才の時です。
今はどこに出しても恥ずかしくない立派な中年男ですが、あの頃は私も若かった。
けっこう、ばあちゃんたちに モテモテだったような気がするんだけど。
私が隣に座るとご機嫌になったり、手を握って離してくださらなかったり…
それが、いつからだろう、扱いが変わってきたような気がするぞ。
存在感がないように思う。
この仕事もやっぱり見た目は大事だと実感する私です。
お酒を控えてジョギングをがんばろうかな。