所有楽器と音楽家 @パガニーニ・カルテット[2006年08月18日(Fri)]
日本音楽財団の所有楽器と、著名な作曲家・演奏家との関連をご紹介します。
第一回目は、当財団が初めて1994年に購入した楽器「パガニーニ・カルテット」です。
イタリアのヴァイオリン奏者ニコロ・パガニーニ(1782-1840)は、あまりにも演奏技術が卓越しているため「悪魔に魂を売った〓」などと噂された演奏家です。その生涯も波乱万丈、多くの女性を虜にした、根っからの博打好きでした。
この「ヴァイオリンの鬼神」の名前を冠したカルテットは、弦楽器の最高峰と言われるストラディヴァリウス1680年製ヴァイオリン、1727年製ヴァイオリン、1731年製ヴィオラ、1736年製チェロの4挺から成ります。パガニーニが、カルテット演奏(=四重奏)にふさわしい名器を収集し演奏していたところから名づけられました。4挺全部がストラディヴァリウスで構成されるカルテットは世界で6セットしかないと言われており、大変貴重なものです。
パガニーニは特にヴィオラの音質に感銘を受け、フランスの作曲家エクトル・ベルリオーズ(1803-1869)にヴィオラ協奏曲の作曲を依頼、生まれたのが「イタリアのハロルド」という作品です。
当初はヴィオラ協奏曲として作曲されていましたが、一楽章が出来上がったところでパガニーニが譜面を見て、これでは自分の妙技が充分に披露できないと文句を言った、とベルリオーズの回想録に書かれているそうです (この回想録、信憑性があまり高くないそうですが。。。) 結局ベルリオーズはパガニーニに献呈するのをやめ、ヴィオラ独奏を含む交響曲としてこの楽曲を完成させたとのこと。
こんなエピソードのあるパガニーニ・カルテット、現在は、東京クヮルテットに貸与されています。
photo by S. Yokoyama