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草の根グループ活動報告 (2016年10月から2017年2月) [2017年03月16日(Thu)]

〇プロジェクトマネジャー 梅村浄
 
 ニンジン草の根チームのプロジェクトでは、モンゴルのサインナイズ、ゲゲーレンという2つの療育グループを支援しています。草の根チームは9月の渡航後、月に1回、2グループとスカイプ会議をして来ました。11月12日、12月17日、1月28日です。お母さん達と2グループのリーダーに加えて、子ども達も参加しています。元気な顔をみて、お互いの声を聞くことができるので、皆、喜んでいます。

 この冬、夜は−40度にも冷え込み、大気汚染が苛酷な中、2人の子どもと1人の大人が入院したそうですが、昨年の「冬期暖房が無い」という問題は解決したようです。
 サインナイズは今冬、教会からお金が出てブレーカーのアンペア数を上げたため、普段活動していた建物の全体に暖房ができるようになりました。ただし、それでも建物内は寒かったようで、スカイプ会議ではいつも大きなストーブの入った、より暖かいゲルに集まっている親子と会います。ゲゲーレンはチンゲルティ区から石炭費用と石炭夫の費用が出るようになり、月曜日から金曜日まで活動しています。昨年冬はどちらも冬期活動停止していたことから考えると、お父さんお母さん、おばあさん達の交渉力は凄いなと思います。

9月から現在までに以下のような出来事がありました。

・療育に参加している脳性麻痺の親子は家庭でのホームプログラムに加えて、定期的に集まってグループ体操をしています。2月からゲゲーレンには、毎週1回家庭病院からPTが来て指導をするようになりました。

・教育担当者は、算数の問題プリントを、日本からモンゴルに行く人に持って行ってもらったり航空便で送ったりしていたのですが、渡したプリントは「もうやっちゃったよ」ということでした。

・9月からの新学期に担任が代わり、学校に行けなくなった中学生の相談がありました。学校に手紙を書いて欲しいと言う依頼でした。祖母さんとグループのリーダーが学校と話し合い、週に3日間は学校へ、2日間はゲゲーレンで学ぶことになり、解決しました。

・ニンジンから50冊の絵本を寄付しました。現地駐在員のチメゲーさんが定期的に行って読みきかせをしていましたが、新年のプレゼントに更に15冊を持って行ってもらいました。子ども達が喜ぶ姿を見て、お母さん達は読みきかせの力に気づき、定期的に集まって読みきかせを始めました。本を持ち帰って家庭でも読み出したそうです。

さて、今後の予定としては、まず次回の渡航準備です。

 2回目渡航をゴールデンウィークから3月20日から4月5日へと前倒ししました。3つのセミナーを今後7回の渡航時に実施するために、現地と調整を始めました。
 家族が我が子の療育に取り組み始めたところで、療育関係者育成セミナーと家庭医セミナーを行ない、専門家に知識と技術を届けます。また、親たちに向けた保健•教育セミナーは、医師、作業療法士、教師とともに子育てについて話しあう企画です。

〇療育担当より 諸石真理子

 去年9月第一回め渡航において、2箇所の療育グループで、「個別ホームプログラム」と、「グループ体操&運動遊び」が療育活動として始められるよう、取り組みました。 療育グループ10組の親子です。それぞれ、3日間の中で、お子さんの課題をお母さんに説明し、ホームプログラムのやり方を伝えました。
 又、グループ活動内容を実演指導し、定期的に集まって継続実行するよう、グループリーダーに託しました。
 家庭でお母さんが取り組む「ホームプログラム」もグループとして集まって取り組む「グループ体操」もお母さんたちは初めてでした。
 しかし、そのやり方を伝える時間は一人20分と、少なく、グループ体操の実演も一回しか時間が取れなかったため、渡航後、お母さんが家庭で独りで実行できるか、又グループ活動が順調に遂行されるか、案じていました。
しかし、毎月の「療育活動報告」で、「ホームプログラム」の実行率が平均7割ということで、これにはとても驚いています。お母さんの「一生懸命取り組もうとする気持ちと姿勢」がスカイプで伝わってくるようです。
 療育グループの10名の子ども達の運動障害のレベルは様々なため、レベルを二つのチームに分けて、11月からチームの内容やテーマを一緒に楽しむことで、「体の取り組み」が行われるようにしています
 第2回目の渡航が間近になってきました。1回目の反省を踏まえ、グループリーダーや保護者との意見交換の時間を必ず作って、チーム主体のグループ活動に成長するよう、又、モンゴルの生活に寄り添う「ホームプログラム」の取り組み、になるよう準備しています。
  
〇経理担当より 鈴木茂

 ふりかえれば、諸石PT、梅村Drの「モンゴルの障害児に日本の療育の提供を」との思いからスタートした事業でした。
 日本の療育を根付かせたいのに支援のお金は助成金を頂いてもかなりの部分が自分持ち、これがこれまでのニンジンのスタイルでした。そこに、足立ニンジン前理事長の知恵が重なって、JICAへの申請に繋がりました。
 しかし、採択されれば3年間で3千万円の委託費が来るはずでしたが、手続きの過程で1千万円が限度ということに変わってしまいました。こんな額で本当にできるのか心配でしたが、どうせボランティアでやってきて、委託費が出なければこれまでと同じく個人の持ち出しで進めるのだから、いくらでも出るだけありがたいと頭を切り替えて申請したところ、採択されたのでした。
 幸運だったのは、ヒシゲーさんから紹介していただいたチメゲーさんとオユンゲレルさんの二人の通訳、そして現地在住者としてかかわってくれることとなった堤OTが、いずれも専門性の高い人だったことです。
 3千万円が出ていれば、必要な人材は募集して送り込むことができたでしょう。しかし1千万円では、メンバーの渡航費用にも事欠くありさまで、事実、サービス提供には直接かかわらない私の今後の渡航旅費までは捻出できません。梅村リーダーも全8回の渡航のうち、半分の4回しか行くことができません。
 この状況で、編集者、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士という専門性を持った方々を採用できたことは、この上ない幸運でした。
野口特別支援教育教員の教育支援と相まって、全人的支援として展開できることとなりました。
 また、ニンジンとして関係を作ってきた障がい者保護者の会のセレンゲ会長や国立リハビリテーションセンター、第十治療保育幼稚園などともスムーズに連携できたことは、JICAの信用を得るうえでも計画を作る上でも、お金に代えがたい財産でした。
 こうして、ラッキーなスタートが切れたものの、堤さんの帰国、スカイプ会議の開始などの予定変更のほか、チメゲーさんの離脱の危機などもありました。
 いよいよ2回目の渡航であり、各種セミナーを順調に立ち上げられるのか、大きな山場となります。これからも事情の変更は重なるでしょうが、みんなの団結で乗り切っていきましょう。