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草の根チーム第一回目渡航顛末記(2016.9.11~25) [2016年10月12日(Wed)]

JICA草の根技術協力支援事業
モンゴル障害児療育・教育支援及び療育関係者育成事業

が始まりました。


 昨年秋から準備して来たJICA草の根技術協力支援事業「モンゴル障害児療育・教育支援及び療育関係者育成事業」は、9月1日にJICAとの契約が成立し、草の根チームは11日から25日までウランバートルに行ってきました。梅村浄(プロジェクトマネジャー)、諸石真理子(療育担当)、野口陽子(教育担当)、鈴木茂(経理担当)、堤由貴子(療育担当)に加えて、梅村涼(障害当事者)石崎由紀江(介護者)の7人です。

first_visit_kusanone_team.jpg


キックオフミーティング 
 13日には、障害児親の会と共催でキックオフミーティングを開きました。モンゴル日本文化センターのホールに、親たちが立ち上げた2つの療育グループ、ゲゲーレンとサインナイズの親子を中心に、100人余りの関係者が集まり、オルティンドー(長唄)と馬頭琴の演奏を聴きながらの開会でした。

kickoff_meeting.jpg


 草の根チームからは今後3年間にわたって、療育グループの子どもと保護者に療育と教育のやり方を修得してもらい、療育関係者をセミナーと実習を通じて育てていく事業のあらましを伝えました。カウンターパートのひとつである障害児親の会のセレンゲさんは、「魚をくれるのではなく、どうやって魚をとるかを教えてくれる支援」を歓迎するという話をされました。私たちの事業が目指すところをしっかり受けとめてもらったと、力強く感じました。
 JICAモンゴル事務所長を始め、カウンターパートである労働・社会保障省の担当局長からも挨拶を頂きました。また、JICAモンゴルが実施中のモンゴル障害児教育推進事業(START)とウランバートル市における障害者社会参加促進事業のスタッフも参加して、今後の協力を確認しあいました。子ども劇場のメンバーが歌とダンスで会場を盛り上げてくれた後、ゲゲーレンとサインナイズの代表から「共に事業を進めて行こう」との挨拶があり、グループの子供たちから歌が披露されました。

ゲゲーレンとサインナイズでの活動
 14日から21日まで、休みをはさんで3日間ずつ、チンゲルティ区にあるゲゲーレンと、バヤンゾルフ区にあるサインナイズに行きました。30人余りの子どもの診察、療育評価、教育評価を行い、それぞれの子どもについて、医療的アドバイスと療育、教育の方針を保護者につたえました。3日目にはグループ療育、食事指導を行いました。熱心なお母さん達の質問があり、家で行うだけではなく、定期的に集まって一緒に療育活動を行うことになりました。教育は一人一人に違う課題を準備し、モンゴル語に翻訳したテキストを10月中に届けて、家庭と2つの療育グループに来た時に、取り組むことになりました。算数の問題が解けて、先生から花マルをもらうと、にっこり笑顔がこぼれる子ども達でした。
 ウランバートルの本屋に行って、50冊余りの絵本を買いました。草の根の現地補助員をしている通訳のチメゲーさんにこの絵本を託して、2グループの間を巡回させ、定期的に読みきかせをしてもらうようにお願いしました。子ども達によい絵本を紹介する機会にしたいと、快く引受けてくれました。

 夜間の気温が-30℃に下がる冬の間、子ども達が集まる場所を維持するには、暖房の問題があります。10月5日にゲゲーレンは、チンゲルティ区の家庭病院の古い建物を改修して、新たにオープンしました。役所から暖房費用が出されることになりました。他のNGOから看板や、備品の寄付を受けています。
 サインナイズは発足当初から、教会の建物を借りています。教会が暖房にかかる費用を工面できなければ、敷地内の広い庭にゲルを建てて石炭ストーブを焚き、冬場の療育・教育を続けることにしています。様々な人々からの様々な援助があり、子どもと保護者達は冬の活動が続けて行けそうだと、私たちも一安心しました。

関係機関との連携
 9月12日と23日には、関係部署を訪問しました。国立リハビリテーションセンター、第10幼稚園・治療保育園では、次回渡航時から始める療育セミナー、家庭医セミナーの打ち合わせを行いました。
 労働社会保障省、保健省訪問では、ニンジン草の根の事業内容を、これからモンゴルが、中国とアジア開発銀行の援助で、全国に建てようとしている療育センターの療育・教育指導のモデルとして、参考にしたいという考え方を示されました。
 JICAモンゴル事務所、JICA障害児教育促進事業(START)事務所、JICA障害者の社会参加促進事業事務所の訪問では、各団体が協力しながらモンゴルの障害児・者の療育、教育、社会参加を進めて行こうと意志確認をしました。
 24日には親の会本部事務所で、セレンゲさん、両グループのリーダー達と今後の活動について打ち合わせを行いました。療育・教育活動をしていくと、ここはどうやったら良いのか、疑問に思うことがたくさん出て来ると予想されるので、2グループで定期的に親の集いを開いてもらい、その時に日本とSkype会議をしようという提案をしました。
 便利なツールができたものです。すでに7月に第1回目を実施して、顔をみながらの会話を経験ずみでした。11月には時間をずらせて2グループの保護者達と、次の機会には親の会本部に集まってもらったリーダー達と、Skype会議を開く約束が出来ました。

 盛りだくさんの2週間。チームの誰もが、大きく体調をこわすこともなく、和気あいあいと活動できたのは、親の会のセレンゲさん、2グループのリーダーと子ども・保護者達、2人の通訳さんの助けがあってこそ、でした。また、JICAとの契約にあたっていただいた事務局の槇さん、理事長の城先生のバックアップに感謝します。(2016.10.8)