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もみの木園からモンゴルの子どもたちへ [2017年07月03日(Mon)]

草の根チームの梅村リーダーが、西東京市内で活動をしている「子どもの広場」というグループの通信に書いた原稿です。もみの木園の尾上園長さんを通じて、子どもたち全員から、原稿とインターネット上の写真掲載許可をいただいて掲載します。「子どもの広場」は元保育士さんが自宅を開放してつくってこられてきた、乳幼児から学童、家族が交流する場です。
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もみの木園からモンゴルの子どもたちへ
                    梅村浄

 モンゴルで障害をもっている子どもたちの家族に、セミナーを開く機会を与えられました。セミナーは3月末にあります。テーマは障害をもっている子どもの保育と決めました。日本での実践を伝えるには、話よりも映像がいい、と既製のDVDを探しましたが、見つかりません。
 「自分で作るしかない」と作成を思い立ったのは、2月始めでした。J君とご家族、もみの木園が頭に浮かびました。もみの木園は横浜市で20年前から青空保育を行っている無認可の幼稚園です。J君はこども診療所にことばの相談に来ていました。いつもご両親と園長先生、時にはお姉さんがついて来ました。
 もみの木園には特別な保育はありません。いろいろな子どもを(障害をもっている子どもも、そうでない子どもも)一緒に育てていこうという気持ちと工夫さえあれば、誰にでもできる保育の形だから、モンゴルでもお手本になれるのではないかと、考えました。長い冬には-30℃になるので、無理ですが。
 古くからの知人が撮影と編集を引受けてくれました。撮影日は2月15日の一日だけです。カメラと三脚を持ち、二人で電車に乗ってゴトゴトと横浜まで行きました。
 J君は、今年、近くの小学校の3年生です。もみの木園に通っていた幼児期は撮ることができません。園長さんと両親のインタビューで当時を振り返り、もみの木園を卒園した小学生が、週1回放課後集まる、もみの木クラブの活動を撮影しました。

unnamed.jpg

(もみの木園尾上陽子撮影 2017年6月)


<もみの木園の始まり>
 20年前に団地内にあった幼稚園が閉園することになりました。ほとんどの子どもたちは転園しましたが、障害をもっている3人の子どもは行く先が見つかりません。
 7人の子どもとお母さんが集まって、青空保育を始めました。園長は当時その幼稚園に務めていたO先生。今も皆に「ようちゃん」と呼ばれて頼りにされています。場所は横浜市の舞岡公園。
 ここは里山で、アップダウンのある山道を、晴れた日は帽子を被って、雨の日はカッパを着て、お弁当と水筒、着替えを入れたリュックを背負って、子どもたちは歩きました。カリキュラムはありません。道で出会うカラスや、ミミズ、蝉、象の形をした「ぞうのき」、丘に咲いているタンポポと触れ合いながら子どもたちは育ちます。
 目がよく見えない男の子もいました。二年間共に幼稚園で過ごした他の子どもたちは彼の動きをよくわかっていて、手をつないで山を登り下りしました。20年前の記念碑的写真に加えて、もみの木園の子どもたちが、舞岡公園にある田んぼを借りて、田植えをしている様子、木登りをしている沢山の写真を送ってもらいました。

DSCN2249.jpeg

(もみの木園尾上陽子撮影 2014年3月)


<運動会のバンブーダンス>
 1本だけ、4歳の運動会の映像がありました。J君のおじいちゃんが作ったものです。緑の草原を群れなして走る子どもたちの映像にリズム感のある音楽がそえられています。お母さん達と手を取り合ってダンスする姿の後、子どもたちは次々に、数人の小学生が手と脚で身体を支えて作ったトンネルを這いながら抜けて、今度はうつ伏せに寝ている数人の大人の背中を踏み越えて、地面に着地します。「ハイ、ポーズ!」J君は園長さんに手を握って、支えてもらいました。
 そしてこの運動会のハイライトであるバンブーダンス。園長の回想がダンスの映像にかぶります。
「バンブーダンスってありますね。子どもたちは二本の竹の棒を、右、左とまたいで踊ります。4歳の最初の運動会の時、J君は竹をまたぐことができず、ぴょんぴょん棒の間で飛び跳ねるだけでした。次の年は遅いスピードで動かせば、棒をまたげるようになりました。」
「運動会当日、J君の所だけゆっくりした調子でバンブーダンスが始まりました。そのうち、全部のグループがそのペースにあわせて、竹の棒を動かし始めたのです。ほんとうに私たちはビックリしました」
 スクリーンに写っているのは、4歳時の映像ですが、話を聞きながら、観ている者はその場面を、ありありと感じることができました。
 この他にもたくさんの写真がありました。リュックのチャックを開け閉めするのが苦手だったJ君のために、お母さんがチャックにつけた太い紐。手づかみで食べていた当時、食具を使うきっかけとなった皆で作った竹箸など。

<モンゴルでの上映会>
 3月30日にホテルのホールを借り切ってセミナーを行いました。50人余りの家族が集まりました。23分間の日本語の映像を、所々で止めながら、通訳がモンゴル語で内容を伝えました。
 終わってから、あるお祖母さんから発言がありました。
「こんなものを観ても何の役にも立たない」
「孫が少しでもよくなる方法が知りたかった。時間の無駄だ」
 この発言が、最初にあったので驚きましたが、家族の日本から来た専門家への期待を物語っているとも思いました。
 子どもが小さい時には、家族は治す方法を求めます。ウランバートルにある国立母子健康センターでは、脳性麻痺児に対して鍼灸を行う、脊髄腔に定期的に注射をするなどの方法で、治療しています。以前、南ゴビの障害児センターを訪問した時には、アメリカから寄贈された高圧酸素療法で麻痺の改善を目指している話を聞きました。「治らないと分かった時、どうするのですか?」と尋ねた時、親は子どもを「捨てるのです」という答えを聞いたことがあります。医師から「これ以上することはありません」と言われて、近隣の幼稚園も学校も、障害のある子どもたちを受け入れる体制がなければ、家族はなす術がありません。それが「捨てる」の意味だと解釈しました。
 回復が望めないと分かった時、2つの道があります。
 ヨーロッパで学んで来たある医師は個人クリニックを開業して、数年前からリハビリテーションを始めました。子ども自身の機能を伸ばし、車椅子や補装具を使って、日常生活に適応させる方法です。
 もう1つはもみの木園に答えがあります。もみの木園では、できないことがあったら、周りの子どもや大人が寄り添って歩く、リュックに紐をつけるなどの工夫をして、共に活動できる方法を編み出してきました。どの子も自然と関わりながら力を発揮して、半日を共に過ごします。

 J君の場合はどうだったでしょうか?
家庭の延長のようにのびのびと育って来たもみの木園を出て、J君は一年生から六年生まで多勢子どもたちが居る小学校に入学しました。
「これじゃあいけないぞ」
「しゃべらないとわかってもらえない」
と思ったらしいと、お父さん。
 J君は一年前から、横浜市にある療育センターで、土曜日の午後、言語聴覚士の先生とことばの勉強を始めました。これはリハビリテーションの道とも言えます。
 撮影日、学校から帰ってきたJ君は「こんにちは」と、私たちに挨拶し、給食の献立をポツポツとお母さんに答えました。この時期のタイミングよい指導が、J君がことばを話し始める助けになったようです。

もちろん、会場からは辛口のコメントだけでは、ありませんでした。参加者からのアンケートを翻訳したものを見ると、
●プロジェクトに関係ない人にも必要なセミナーでした。
●初めてセミナーに参加して、とても気に入りました。
●障がい児を持ってないお母さんに見せても、すごく反応が変わると思う。障がい児が怖いと思っている一般の人たちの意識も変わると思う。一般の子どもに見せても、障がい児と共に学び暮らすことを経験させることを理解させることができる。
●ビデオの下に訳してサブタイトルを付けて、母親たちに見せたい。
●子どもはそれぞれ特徴がある。私たちは、効果がでるようにすごく急いでいる。それが問題です。例えば、J君の幼稚園の先生がJ君に合わせて対応しているのが、とてもよい。
など、多くの家族は、前向きにとらえてみてくれたことがわかります。

FullSizeRender.jpeg

(ニンジン梅村浄撮影 2017年6月)

<ゲゲーレンとサインナイズへの手紙>
 6月に草の根チームが渡航する時に、もみの木園からの手紙を届けてもらうことにしました。小学生がモンゴル語で書いた挨拶のカードを作成し、他の子たちは絵や折り紙を作成して、園長の挨拶文と共にゲゲーレンとサインナイズに届けてもらいました。
 今、子どもたちはモンゴルからの手紙が返って来るのを心待ちにしています。(2017.6.23)
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