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ラテン日系留学生

私たちは中南米で生まれ育った日系人です。
現在、日本財団から奨学金をいただき、それぞれの夢の実現のために日本で猛勉強中です。
「中南米日系人から見た日本」をテーマに、28人のラテン日系留学生が毎週記事を掲載します。乞うご期待!


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『ぼく・EU』絵本・卒業作品完成 [2008年02月22日(金)]
卒業の作品が完成しました

『ぼく・EU』というタイトルで絵本を作りました。主人公は日系ブラジル3世の男の子です。「自分とは何か?」と問うアイデンティティを考える年頃と”日系”ということの疑問を持ち出す時をスポットとした作品です。
 副論はneideのブログに載せましたので、こちらは簡単な冊子用の文章と絵本の表紙と一部のページを写真で公開します。


 
 日本に 住んでいる お父さんと お母さんはブラジル人で、
 ブラジルに 住んでいる おじいちゃんと
 おばあちゃんは 日本人だ。
 ぼくって 何人だろう?



ぼく EU

はじめに

ブラジルで生まれ育った日本人の子どもとしてのわたしと、日本で生まれ育った南米(ブラジル、ペルー、ボリビア等)の子どもたちを比較して、この自我に目覚める時期に日本で生まれながら日本の顔・形を持ちながらも日本人でない自分を見つめだした子どもの内面にスポットをあてた作品を作りたいと思いました。
私たちは様々な国で生まれ育ち、それぞれの国民性があっても、わたしたちは同じ世界に住んでいて、同じ地球で生きています。肌の色が違っても、人種が違っても言語が違っても、みんな人間であることには変わりないのです。同じ人間です。
又、別の観点から見てみると、わたしたち日系人は二つ、あるいはそれ以上の国の慣習、文化を見て触れて感じることができます。それは生まれ育った国々がそれぞれ持っている独自のものであり、国によって異なる考え方、社会性、道徳性、そこから生まれる価値観などです。我々、日系人として生まれ育った者としての特権だと思います。 
この絵本を日系の子どもが手にしたときに感じてほしいのは、自分が日系人であること、日本人の血が流れている自分を尊重し、誇りを持つことの大切さであり、そして、どちらの国の特徴もよりよく活用していけばいいのだと感じてくれることを願っています。
絵本を読みながら、人間として生きているから悩んだり、苦しんだり、いろいろなことを考えるのであることを知ってほしいです。その中で、二つ以上の文化の中で育った人なら誰もがいつかは経験する感情であり、大人になるための大事な経験でもあります。だから、その気持ちを抑え込まず、こわがらず、自然に受け入れ、そのおもいを、勇気をもって出し合えるよう成長してほしい事を強くねがいます。

出会った子どもたちと私

三年間愛知県でブラジル人語学相談員をした時に、主に小学校と中学校合わせて40校以上を訪問しました。入学式から卒業式まで参加しました。高校進学が決まった生徒とは合格を共に喜びました。中学校卒業後就職が見つからず、駅でウロウロしている生徒を見て、何もできない自分の無力さに悩んだ、毎日が新しい出来事とのぶつかりでした。
外国籍の子どもたちの相談に接していると、私自身の、子どものころの出来事が思い出されます。父が、「ブラジル人はすぐ嘘をつく。理由なしに仕事を休んでは、次の日にわかりきった嘘をつく。借金が多くあっても平気だ。一年かけてためたお金をカーニバルの一週間で全部使ってしまう。借金までして遊びに行くなんて、信じられん。」とか、「手が早いのには参ったよ。置いてある物は全てもらっていいものだとおもっている。懸命に植えたものを平気で盗んでいく。文句を言いに行ったら、『食べ物や果物は全て神の物であり、神の物は誰の物でもない、皆の物である』という。神だと、何を言っているのだ。俺が植えたんだ!」とカッカして帰ってきたのを今でも忘れられません。
このように、父がブラジルのことを悪く言うたびに、心の中で、その都度、
「ではなぜブラジルにいるの?何でブラジルに来たのよ?」
「私も日本人の顔や形をしているのだから、日本で生まれたかったよ。日本の小学校に通いたかったよ」
「『目を開けろよ、日本人!』なんて目の形のことで知らない人から歩道でからかわれたりしないですむのに・・・」
とずっと思っていましたが、一度もこの気持ちを打ち明けたことがありません。
又、学校でも「アクセントがおかしいよ。こう言うのよ。直しましょうね。と先生にいつも注意されるのいやだよ」「音読が一番きらいだよ」「学校で、年に一回の祭り、参加したいよ」とも一度も訴えたことはありませんでした。ブラジル学校の勉強で分からないことがあっても、ポルトガル語を知らない親に聞くこともできなかったし、学校でのいざこざも特に話したことがありません。PTAの連絡があっても渡しませんでした。
 もう一方では、ブラジルの文化や習慣などに触れることも多くありました。特に家族愛というような、愛情の表現のしかたが一番好きでした。それに、全てに臨機応変で、心で動き、感情豊かで、陽気さの中で育ちました。
私が30年近く前に悩んだことを、いま、日本にきた子どもたちも同じ気持ちで目の前の問題に立ち向かっているのだと思います。あるいは私以上に悩みを多く抱えているのだと思いました。
くじけないで力をあわせて進んでいこうという私自身への言葉と子どもたちへの思いを絵本の作品として選び、在日している思春期の子どもたちの気持ちを表現できるようなものを作りたくおもいました。


終わりに

作品がほぼ出来上がる時点で、同級生、留学生、先生から多くのアドバイス・コメントをいただきました。文章の表現の仕方から文字のバランスなど細かく指摘していただきました。
「絵を見ながら読んで、すっと読むことができました」
「絵に表現があるから、文字はシンプルな方がいい」
「教材として使えるね」
と心温まる嬉しい言葉もいただきました。
また、展示場で絵本を手にとって下さった方がたは1ページ1ページゆっくりとめくり、熱心に読んでくれたこと嬉しく感じました。近いうちに絵本として出版できることを強く願っています。

素直な気持ちで、
全く工作が苦手な私が多くの人のアドバイスと励ましのおかげで完成することが出来た作品です。とても誇りに思い大事にしたいと思います。
学生生活もあとわずかですが最後までより良い学生生活を迎えたいと思います。多くの人の支えがあっての私です。心から感謝しています。そして、今後ともよろしくお願いいたします。


ブラジル国 一期生
葛尾 あゆみ ネイデ