2017年06月29日(Thu)
地域住民の健康をサポートする「まちの保健室」
鳥取看護大学は2015年4月、周辺地域住民の強い要請を受け、同県中部では初の看護専門大学として倉吉市福庭に開校された。4年制の大学で、1学年の定員は約80人。現在、1年生から3年生まで約250人が学んでいる。キャンパスには、約600人が学ぶ鳥取短期大学もあり、学生同士の交流もひんぱんに行われている。
「まちの保健室」は開校当時から行われ、今年3年目を迎えた。6月21日昼過ぎ、1階の交流ホールには地域住民37人が集まった。学生は3年生6人、1年生5人の計11人が参加、それに健康づくりリーダー「まめんなかえ師範」(方言で「元気かえ」の意)6人と教員5人が加わった。住民たちは、まず学生から体脂肪測定や血圧測定を受け、その後、教員や学生から「心のトリアージ」というテーマでミニ講習を受けた。トリアージとは、患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定して選別することだ。 「まちの保健室」を始めたのは、開校と同時に就任した近田学長の発案。1995年の阪神淡路大震災後、復興住宅に長期間住んでいた高齢者の健康維持のため兵庫県がスタートさせたもので、学長は当時兵庫県で勤務していたことから、同大学でも行うよう提案した。近田学長は「新しい大学に来て、社会貢献をどうするかを考えてこの事業を始めました。丸々2年続けてみて、意味ある事業との実感を得ています」と語った。 同大学では、「まちの保健室」を月1回学内で実施するほか、近隣の市町村に出かけ、年50回ほど同様な事業を行ってきた。今年度は、日本財団の助成を受け、こうした健康づくりセミナーを県内で15回開くと共に、ボランティア・リーダー「まめんなかえ師範」の養成講座を計3回開き、リーダーを60人養成する計画だ。近田学長は「これからは倉吉市周辺だけでなく、全県的に広めていかないといけない。そこで鳥取大学(米子市)と協力しながら事業を進めていきたい」と話した。 鳥取県は同大学などと協力し、地域での健康習慣の定着を図り、健康寿命を延伸させる一方、ボランティア・リーダーを4年間で200人を育成し、ネットワーク化を進める計画。また、セミナー参加者を対象に得た血圧や骨密度などのデータを元に、地域ごとの健康課題の分析や対策を検討する方針だ。
● 鳥取県 x 日本財団 共同プロジェクト ウェブサイト |