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2017年06月07日(Wed)
日本初「釘のない海の家」開設へ
危険物を海岸に放置しないよう願いを込めて
ワークショップ「天幕に絵を描こう」実施


「くぎを海岸からなくしたい。子どもたちが、はだしで走り回れる砂浜をつくりたい」

危険物を海岸に放置しないように、との願いを込めて、神奈川県・湘南の海岸でごみ拾いをつづけているNPO法人「海さくら」(東京都目黒区柿の木坂)と日本財団はこの夏、日本で初めて「釘のない海の家」を江の島の片瀬東浜海岸に開設します。かまぼこ型の外観で、天井を覆うシートの図柄は著名なデザイナー野老朝雄(ところ・あさお)さんの立案。一般から募集した小・中学生約30人が、野老さんがデザインした絵柄に色を塗り、大きな魚やタツノオトシゴなどを描き出すワークショップ「天幕に絵を描こう」を6月3日(土)、藤沢市立片瀬小学校体育館で実施しました。

絵を完成させた後、参加者全員で記念撮影

絵を完成させた後、参加者全員で記念撮影



「釘のない海の家」の完成イメージ図

「釘のない海の家」の完成イメージ図

「釘のない海の家」はアーチ型の屋根の中に、救護所やライフセーバーらの小屋型の事務所を設置します。10日(土)にアーチ型の屋根をハンマーで組み立て、同月24日(土)に小屋づくりをして全て完成。7月1日(土)〜8月31日(木)の期間限定で運用します。次世代にきれいな海を引き継ぐことを目的に日本財団が全国で推進している「海と日本PROJECT」の一環です。

砂浜から見つかるくぎは非常に多く、公益財団法人「かながわ海岸美化財団」の2010(平成22)年の調査結果は、湘南地方5海岸で大量のくぎが見つかったことを報告しています。海水浴シーズンが終わった後、海の家を解体する時に、砂浜にくぎを落とさないよう工夫を求める声は一段と強まっています。

「釘のない海の家」造りについて、説明を聞く青いサンタさん姿の子どもたち

「釘のない海の家」造りについて、説明を聞く青いサンタさん姿の子どもたち



海さくらは「目指せ!日本一楽しいゴミ拾い」を合言葉に、2006(平成18)年9月から毎月1回、ひと月も休むことなく、江の島でゴミ拾い活動を実施している民間非営利団体です。理事長の古澤純一郎さんは「海の家を建てたり、壊したりすると、海岸にくぎが結構出てくる。だから、くぎのない海の家ができたら浜から、くぎをなくすことができる。これが日本全国に広まっていったら、日本全国の海岸からくぎをなくせるじゃない」と参加した子どもたちに呼び掛け「海はみんなで力を合わせないと絶対にきれいにならない。湘南の海のごみの7割はまちからやってくる。海だけきれいにしていても駄目。まちの中、普段の生活の中から気を付けていくことが大切です。みんな力を合わせて海をきれいにしていこう」と訴えました。

色を塗る前の天幕(シート)

色を塗る前の天幕(シート)

班に分かれ色を塗る子どもたち

班に分かれ色を塗る子どもたち


タツノオトシゴの色塗り、だいぶ進みました

タツノオトシゴの色塗り、だいぶ進みました

魚の色塗り、ほぼ完成です

魚の色塗り、ほぼ完成です



この後、子どもたちは「釘のない海の家」を開発した建築・設計家小林博人・慶応大学大学院政策・メディア研究科教授から、この日の作業手順などを聞き、魚、タツノオトシゴ、アマモ(海草の一種)、クラゲの担当4班に分かれて早速、色を塗る作業に入りました。作業箇所以外を汚さないようにするために柄の周りに張ってあったマスキングテープを塗り終えた後に剥がすと、魚やタツノオトシゴの姿がくっきり浮かび上がりました。

色を塗り終えた後はこのように

色を塗り終えた後はこのように



小林先生によると、「釘のない海の家」は建築の部分と、上に張る幕の部分の二つで構成。建築部分は山の間伐材を利用したベニアの合板を使い、できるだけ簡単で、しかも、くぎを使わない工法でつくる。東日本大震災の被災地に合板の会社が多かったので、その合板を使い、できるだけ素人の人がプロの手を借りずに、自分たちで自分たちのまちを復興できる「セルフビルド」の仕組みを考案。くぎを使わない方がより簡単にできることが分かり、その取り組みを進めている時に知り合った古澤さんから「釘のない海の家をつくりたい」との話を聞き、目指していることが同じだったことから、くぎを一本も使わない「海の家」を設計しました。

子どもたちに作業内容を説明する小林博人・慶応大学大学院教授

子どもたちに作業内容を説明する小林博人・慶応大学大学院教授

「みんなで海のごみをなくそう」と訴える古澤純一郎・NPO法人海さくら理事長

「みんなで海のごみをなくそう」と訴える古澤純一郎・NPO法人海さくら理事長



真っ白なキャンバスになっている幕にいろいろなメッセージを載せよう、みんなが参加して絵ができたら素敵だ、子どもたちに魚などの図柄に色を塗ってもらうのがいい、という話になり、一緒に建築の仕事をしていて知り合いの野老さんにデザインをお願いしたところ、快く引き受けてくれました。野老さんは、2020年夏季オリンピック・パラリンピックのエンブレムに自身の作品が採用されたことでもよく知られています。野老さんが天幕にデザインしてくれた図柄は、四角と三角の二つのパターンを組み合わせていくと、どんどん絵がつながっていく。ただ色味は全く子どもたちの自由な発想に任せているので、小林先生らが考えていたものとは全く違うものになっていく。

「それはそれで全く素敵なことだと思っています。何万か、何億かのパターンになるかもしれない。それぐらい人間にもバリエーションがあるし、魚にもバリエーションがある。みんな一人一人違う、ということも一緒に表そうと思っています。みんなつながっているのだけど、一人一人みんな個性を持った、違う人たちが集まって、一つの形をつくっている。『つながる』ということはとても大切で、人間と人間も、こういう活動を通してつながっていく。海と山も実は全部つながっている。そういうことが体現できれば素晴らしいなと思っています」

「この活動はここ片瀬東浜海岸だけでなく日本中で広がっていってほしい。魚の柄はその土地、その土地で、また別の人が別の形で描いてくれればいい。一つにこだわる必要は全然ない。地元らしく考えてもらって、地元らしく描いてもらうと、それこそ何万とまた違うパターンの海の家ができる。このプロジェクトを通して、いろいろな人がつながって、海をきれいにしていく活動ができるといいと思っています」。小林先生は「釘のない海の家」にかける思いをそう話しました。



● 釘のない海の家 ウェブサイト
● 海と日本PROJECT ウェブサイト
タグ:海の日 海と日本PROJECT
カテゴリ:海洋







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