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2017年06月06日(Tue)
子どもの家庭養育推進官民協議会が提言
特別養子縁組の上限を18歳未満に
乳幼児の一時保護を家庭養育環境に


子どもが家庭で暮らす社会の実現に向け、里親制度や養子縁組の普及・啓発に取り組んでいる「子どもの家庭養育推進官民協議会」の今年度総会が6月1日、東京・赤坂の日本財団ビルで開かれました。昨年6月に児童福祉法が改正され、現在、国の検討会において法改正の趣旨を踏まえた新たな社会的養育の在り方に関する議論が進んでいることを受け、同協議会は社会的養護体制を見直し、里親などの家庭養育環境を整備するとともに、在宅支援サービスの強化・充実等を行うよう、政府に提言しました。

総会終了後、出席者で記念撮影

総会終了後、出席者で記念撮影


協議会には、地方自治体から長野、三重、鳥取など11県と、千葉、静岡、福岡など9市に新規に加盟した伊勢市、明石市の計11市が参加。民間からは全国里親会、全国養子縁組団体協議会など13団体に新たに「SOS子どもの村JAPAN」が加わり、計14団体が参加しました。総会ではまず、鈴木英敬会長(三重県知事)が「協議会の活動も2年目に入りました。官と民が協働する組織のメリットを生かし、子どもたちのために力を合わせていきましょう」と挨拶。続いて鈴木会長を再選、副会長に河内美舟・全国里親会会長を選出しました。

総会で挨拶する鈴木会長(正面奥)

総会で挨拶する鈴木会長(正面奥)



講演する奥山座長

講演する奥山座長

この後、シンポジウムに移り、新たな社会的養育のあり方に関する検討会の奥山真紀子座長が基調講演を行いました。まず、改正児童福祉法について「第1条で児童の権利を明確に規定し、第3条で家庭重視を貫いているのが大きい。さらに、国や自治体に児童の保護者支援を明記している」と評価しました。そのうえで、社会的養護の求められる方向性に関して「一時保護時のケアの充実と、代替養育を担う家庭(里親、養親)と子どもへの支援を定めている点が特徴です」と述べました。

最後に、今後の課題として(1)子どもにとって喫緊の課題から早急に対応(2)社会の後押しと予算が必要(3)プロセスの提示と改革への支援を挙げました。

講演する慎理事長

講演する慎理事長

続いて、NPO法人「リビング イン ピース」の慎泰俊理事長が「一時保護の現状と提案について」と題して講演しました。最初に、子どもが社会的養護に入る理由のトップ3が30年前は(1)親の死亡・行方不明(2)親の離婚・不和(3)親の入院・拘束だったが、08年には(1)親の虐待(2)親の就労・経済的理由(3)親の入院・拘束に様変わりしたことが分かりました。また、日本の子ども貧困率はOECD加盟国中、5番目で、ひとり親家庭に限ってみると、ダントツの1位を占めているという結果が出ています。

一方、児童虐待の相談件数は児童虐待防止法の制定以降、毎年20%ずつ増加していて、とくに身体的・心理的虐待やネグレクトが目立っていると指摘しました。それとともに、一時保護件数も緩やかに増加しているのが実状です。

こうした状況から慎理事長は「問題の児童は、閉ざされた児童相談所内の一時保護所ではなく、施設または里親家庭の部屋に一時保護委託することを推進すべきだ」と述べていました。

発言する丸山院長(左)と上鹿渡教授

発言する丸山院長(左)と上鹿渡教授

この後、上鹿渡和宏・長野大学社会福祉学部教授と丸山充うえだみなみ乳児院長は、事業が継続する限り家庭で子どもが暮らせるよう取り組む方針を選択した事情を説明しました。上鹿渡教授は「変わることが大事で、そのためには官民が一緒になって推進すべきだ」と指摘しました。

関係団体に協力を求める笹川日本財団会長

関係団体に協力を求める笹川日本財団会長

シンポジウムの後、加盟団体の責任者が今後の取り組みなどについて抱負を述べました。この中で笹川陽平・日本財団会長は「子どもを育てることは、未来の日本をよりよくするための大切な仕事です。官と民がお互いに協力しながら、それぞれの特徴を活かしてやっていただきたい。今の子どもたちは同世代ばかりで遊んでいて、縦のつながりがない。そこで日本財団は『第三の居場所』を全国に百カ所に設置し、崩壊したコミュニティを作り直したいと考えています。子どもは日本の宝ですから、是非ご協力いただきたい」と述べました。

最後に、鈴木英敬会長が「里親制度、特別養子縁組に関する提言」の要点を読み上げ、塩崎恭久厚生労働大臣の代理で出席した山本麻里・内閣官房内閣審議官に提言書を手渡しました。提言の中で、改正児童福祉法の趣旨に沿うと、現在施設に入所している子どもなどを含め、大勢の子どもを受け入れる里親やファミリーホーム、養親が必要になると指摘。そのため(1)現在の社会的養護体制を見直し、里親・ファミリーホーム・養親などの家庭養育環境の整備(2)在宅支援サービスの強化・充実(3)地域分散型の小規模高機能施設ケアへの変換などのビジョンを定め、その具体化に向け、財源を伴った計画策定を要望しています。

提言書を山本内閣審議官(右)に手渡しする鈴木会長

提言書を山本内閣審議官(右)に手渡しする鈴木会長



具体的には(1)特別養子縁組の養子の上限年齢を現行の6歳未満から、児童の法的範囲と同じ18歳未満に引き上げる(2)民間の養子縁組あっせん団体について早急にガイドラインを整備し、民間養子あっせん法を施行する(3)乳幼児の一時保護が家庭養育環境で可能となるような制度を構築する(4)施設に入所している子どもたちの中で、家庭養育が適切な子どもを把握する調査を実施、などを挙げています。

この提言を受け取った山本審議官は「提言を真摯に検討したい」と述べました。


● 日本財団ハッピーゆりかご プロジェクト ウェブサイト
● 日本財団ハッピーゆりかごプロジェクト〜子どもたちにあたたかい家庭を〜(日本財団公式ウェブサイト)
タグ:特別養子縁組
カテゴリ:こども・教育







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