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2017年06月05日(Mon)
海で遭難の聴覚障害者、「電話リレーサービス」で救助
愛知県三河湾でボート転覆
日本財団の委託業者に通報


愛知県西尾市一色町の三河湾で3日夜、プレジャーボートが転覆する事故があり、乗っていた聴覚障害の4人が海に投げ出されましたが、日本財団が実施している「電話リレーサービス」を通じて海上保安庁に通報、約4時間後に無事救助されました。海保側は「電話で通報できない人の救助は初めて」と語り、電話リレーサービスが救助に大きく貢献したことが浮き彫りになりました。

電話リレーサービスのしくみ

電話リレーサービスのしくみ


電話リレーサービスの学習会で。正面の拡大写真に映っているのは手話通訳者

電話リレーサービスの学習会で。正面の拡大写真に映っているのは手話通訳者

電話リレーサービスは、聴覚障害者が電話をかけたいときに、テレビ電話で送られてくる手話や文字による情報をオペレーターが「同時通訳」して相手に伝えるサービスです。手話の場合は聴覚障害者と聴者との間でコミュニケーションをとり、テレビ電話機能を通じて、手話通訳センターに常駐する手話通訳者が画面越しに手話で通訳し、伝える仕組みです。文字の場合は、スマホ(携帯)などの端末を通じて手話通訳者に伝え、それを相手に音声や文字で伝えます。日本財団は全国6カ所にある事業者に計20人の同時通訳者を配置して対応しています。

今回、利用者から連絡を受けたのは、沖縄県うるま市に電話センターがあるアイセック・ジャパン株式会社。同社の一瀬宗也社長によると、6月3日午後6時56分、サービス利用者から同時通訳者に「愛知県で船の故障のため海上で動けなくなった。119番(あるいは118番)通報して欲しい」との連絡が入りました。人命などがからむ緊急の場合は発信できないルールになっているため、通訳者は周りに電話できる人がいるかどうか聞いたところ、船に同乗の4人は全員が聴覚障害者と分かりました。そこで通訳者は午後7時すぎ、愛知県を管轄する第四管区海上保安本部に連絡すると、担当の衣浦海上保安署から問い合わせがあり、船の色や周りの景色などの位置情報を送りました。ところが、そのやり取りをしている間に利用者からの返事が来なくなりました。

文字で情報のやり取りをしている通訳者

文字で情報のやり取りをしている通訳者



海保側の説明では、ボートは午後5時半ごろ、何らかの不具合が起こり、エンジンが停止、海水が船内に入り、その後転覆しました。このため、4人はボートと水上オートバイに2人ずつつかまって救助を待っていたようです。

一瀬社長によると、午後9時ごろ、海保側から電話が入り、「なかなか(事故の)全貌がつかめないため、通訳者に営業時間後も待機してもらえないかと」の依頼がありました。船の転覆場所が見つからないためとみられ、一瀬社長は本人の了解を得て午後9時45分まで待機することにしました。時間切れ直前に海保側から「捜索の途中だが、全貌が見えてきた。明日朝に安否などわかれば連絡する」と伝えてきました。
その後、海保は午後11時ごろ、全員無事救助しました。全員けがなどもなかったそうです。アイセック・ジャパン社側にも4日午前9時40分ごろ、無事救助の連絡がありました。サービス利用者からも午前11時すぎ、同社にお礼の連絡がありました。

衣浦海上保安署の森口勝次長は「電話で通報できない聴覚障害者の救助は初めてです。通報を受け、詳細を問い合わせたが、なかなか返事がこないため、遭難位置をつかむのに苦労した。こういう場合はメールで受け付けるのが一番いいが、海保にはそういうシステムがない。今後の検討課題といえます」と話していました。
    
日本財団は2011年3月の東日本大震災をきっかけに宮城、岩手、福島の3県で被災聴覚障害者支援の1つとして電話リレーサービスの提供を始めました。その後、全国を対象としたモデル事業に拡大し、約5,000人の聴覚障害者に1カ月約12,000回の電話リレーサービスを提供しています。2017年度は3億1,000万円を拠出し、利用者を7,000人まで増やす予定です。聴覚障害者は全国で約33万人とされています。

日本財団は総務省に対し、聴覚障害者向けの電話リレーサービスを公的サービスとして制度化するよう求めています。なお、厚労省は新年度からこのサービスを行っている電話センター4ヵ所に1,150万円の補助金を予算化しています。


● 電話リレーサーサービス ウェブサイト







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