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2017年03月29日(Wed)
求む!アジアの女性社会起業家の「伴走者」
事業能力強化および事業拡大に向け
メンターシッププログラムを発足


2017年3月23日、東京・丸の内Starup Hub Tokyoで「Global Women Impactors〜アジア女性社会起業家ネットワークメンターシッププログラム発足イベント〜」が開催されました。ビジネス界を牽引する女性リーダーの基調対談、東南アジアから来日した女性社会起業家の事業紹介が行われ、経営者や企業職員などビジネス経験豊富で、アジアの女性社会起業家の事業能力強化支援に関心の高い103人が参加しました。

登壇者集合写真 (c) AWSEN 2017

登壇者集合写真 © AWSEN 2017


キャシー松井氏と奥田浩美氏の基調対談(c)AWSEN 2017

キャシー松井氏と奥田浩美氏の基調対談 © AWSEN 2017

第1部では、「これからの社会に求められる価値とビジネスの在り方」をテーマに、「ウーマノミクス」の提唱者であるキャシー松井さん(ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長)と、IT業界の女帝と呼ばれ、数多くのIT ベンチャー育成支援に携わってきた奥田浩美さん(株式会社ウィズグループ代表取締役)の基調対談が行われました。対談の中では、「働き方に対する姿勢や価値観の変化の中で、本業と個人の取り組みの境界線が曖昧になってきている」という実感が共通して挙げられました。

金融業界の最前線にいながら、個人としてバングラデシュにあるアジア女子大学の理事として尽力している松井さんは、「プライベートで社会的な活動をするのは、仕事とは別の『筋肉』を鍛えるエクササイズ。投入するエネルギー以上に、自分を成長できる『リターン』が大きい」とコメント。その上で、これからのビジネスパーソンの在り方として、「本業で忙しくても、個人として社会的活動に取り組むこと」を会場の参加者に推奨しました。
 
数々の役職や肩書き、役割を持っている奥田さんは、「個人的に社会課題について考えても1円も生まれないが、もしそこに本業の起業家を連れてくれば、たちまちビジネスになる」と本業と個人の活動のつながりを説明。「おばあちゃんのため息はイノベーションの種であるし、悩んでいる女性の悩みを解決するだけでビジネスチャンスが生まれる」と述べました。そして、「何歳であっても、将来あなたは何になるか? をずっと考えなければいけない時代になっている」というメッセージを送りました。

タイのパサウィーさん(c)AWSEN 2017

タイのパサウィーさん © AWSEN 2017

第2部は、東南アジアから来日した女性社会起業家の事業紹介が行われました。登壇者の1人、タイのパサウィー・タパサナン・コダカさんは、「FolkCharm Crafts」の創業者。タイ東北部イサーン地方で、8人の女性農家とオーガニック綿花を栽培し、自然染色した綿花を、11人の女性織物職人と共に衣服や小物雑貨として製作、販売しています。

日本財団は、2014年の「アジア女性社会起業家セミナー」、2015〜2016年に計4回開催された「アジア女性社会起業家ネットワーク会議」を通して、パサウィーさんのように社会課題にビジネスの手法を通じて取り組むアジアの女性起業家120人以上の事業能力強化とネットワーキングを支援してきました。

2017年度からは、より長期的な事業能力強化を支援すべく、メンターシッププログラム「Global Women Impactors」を発足することになりました。ビジネス経験の豊富な「メンター」が、プログラム受講者であるアジアの女性社会起業家に対して、マーケティングやデザイン、広報などの技術支援を提供します。

初年度のメンターシッププログラム受講者は、前述のパサウィーさんに加え、ヘリアンティ・ヒルマンさん(インドネシア)、パチャラポーン・パンスワンさん(タイ)の3人に決定。いずれも特に日本のマーケット進出を通して事業拡大を目指しているため、日本人メンターへの期待も高くなっています。

インドネシアのヘリアンティさん(c)AWSEN 2017

インドネシアのヘリアンティさん © AWSEN 2017

インドネシアのヘリアンティさんは、2008年「Javara」を起業。5万2,000以上の農家と契約し、米やココナッツシュガーなど700種以上の農作物をブランディングし、付加価値をつけて販売しています。ヘリアンティさんは、日本人メンターに対して、「日本基準の品質や商品販売の仕方を学びたい」と述べました。

タイのパチャラポーンさん(c)AWSEN 2017

タイのパチャラポーンさん © AWSEN 2017

また、ITを通じた社会課題解決を目指し、防災教育アプリや、鳥インフルエンザ対応アプリなどを国際機関などとも連携して開発している「Open dream」のパチャラポーン・パンスワンさんは、「開発したアプリやゲームには自信があるものの、マーケティングや販売は苦手なので、こうしたビジネススキルの弱い部分を鍛えて欲しい」と期待しています。

メンターの募集は、2017年4月1日から5月7日まで。選考で決定したメンターが事前研修を経て、6月から各女性社会起業家に対して、3〜5人のチームを結成し、主にオンラインでメンターシップを5カ月間行います。2017年末にプログラムの成果が発表される予定です。

メンターとしては、日本や世界のビジネスの第一線で活躍している女性経営者や企業で働く女性を想定しており、何よりも、アジアの女性社会起業家の事業成長を目指して、スキル・知見・ネットワークを提供しながら、起業家に寄り添い、真摯に向き合う「伴走者」を募集しています。

タグ:女性起業
カテゴリ:世界







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