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2017年03月21日(Tue)
広がり見せる「聞き書き甲子園」
15周年の記念イベント開催
1,500人の高校生、自然と生きる知恵学ぶ


名人と高校生の交流がスライドで紹介された名人と高校生の交流がスライドで紹介された

名人と高校生の交流がスライドで紹介された

高校生が森や川、海の“名人”から自然と共に生きる知恵や技を学ぶ「聞き書き甲子園」が今年で15周年を迎え、3月18日から3日間、東京都文京区の東大弥生講堂で記念イベントが行われました。2002年の開始以来、参加者は毎年100人、計1,500人に上り、森づくりや地域づくりに取り組む卒業生や農山漁村にIターン、Uターンする若者も出るなど、名人と高校生の異色の交流プロジェクトは着実な広がりを見せています。

聞き書き甲子園は2002年に「「森の“聞き書き甲子園”」として始まり、2011年に対象を川、海にも広げ、現在の形となりました。農林水産省、文部科学省、環境省、NPO法人・共存の森ネットワークなど7団体で構成する実行委員会(渋澤寿一委員長)が主催、株式会社ファミリーマート、日本財団が資金協力、助成をしているほか、トヨタ自動車など大手企業も協賛・協力しています。

森や川、海の自然を守り育て、その恵みを得る中で、自然と共生してきた日本の伝統的な暮らしを見つめ直すのが狙いで、毎年、全国から100人の高校生が造林や炭焼き、漁師や海女など、様々な職種の「名人・名手」をインタビュー、聞き取った言葉をすべて書き起こし、最後に感想を付して作品を完成させています。

挨拶する渋澤実行委員会委員長=左=と講演する阿川さん

挨拶する渋澤実行委員会委員長=左=と講演する阿川さん



初日の18日には渋澤委員長や日本財団など関係者の挨拶に続き、アイヌの文化や様々な手仕事の技術を伝承している北海道・浦河町の遠山サキさん(88)と秋田県・羽後町の茅葺職人、村上賢助さん(90)を「森の名人」、長崎県・対馬で真珠養殖業を営む平井善正さん(72)を「海・川名人」に認定。さらに高校生8人の聞き書き作品を今年度の優秀作品賞、愛媛県の杣(そま)師・加藤哲信さんを撮影した愛媛県立上浮穴高校2年の青木健悟さんに優秀写真賞が贈られました。

8人が優秀作品賞の表彰を受けた

8人が優秀作品賞の表彰を受けた



この後、聞き書き甲子園を最初から支援してきたエッセイストの阿川佐和子さんが「聞き書き甲子園と私」と題し講演、「正直言って、最初は“5年くらい持つかな”という気もした。だから“よくぞ15年も続いた”というのが率直な感想」と述べるとともに、「(名人と会った)ひと夏の経験は貴重な財産として必ず皆さんの将来に役立つ」と参加高校生を激励しました。

次いで3名人と、それぞれに聞き書きした高校生3人が順次登壇、第1回から講師を務める作家の塩野米松さんらを聞き手に体験を語りました。この中で遠山サキさんはアイヌとして厳しい差別を受けた生い立ちや、オヒョウやシナノキの皮を使って着物やバッグを作る技術を語り、聞き書きをした神名川県・聖ヨゼフ学園高校2年の原田若奈さんは、感想文末尾に「些細なことにも感謝する名人の姿を見て、普段当たり前だと思っていること一つ一つに感謝していきたい、と思うようになりました」と記しています。

名人と高校生から聞き書きの感想などを聞く。右から2人目が遠山サキさん

名人と高校生から聞き書きの感想などを聞く。右から2人目が遠山サキさん



次いで村上賢助さん。羽後町には秋田県で最も多い50軒を超す茅葺き屋根があり、町も後継者の育成などに力を入れているとのことで、聞き書きでは、「出来栄えを立派と言われると飛び上がるほどうれしい」などと語っています。聞き書きをした東大教育学部附属中等教育学校5年の大井川聖心さんは、屋根に上ったり茅刈りも体験、その感動を「一回り成長した自分を実感しています」と書き留めています。

平井善正さんは真珠の発明王・御木本幸吉に憧れ「対馬の御木本になるんや」とこの仕事に。愛媛県・松山東高校1年の藤田櫻子さんがまとめた聞き書きには、アコヤ貝の体内にメスを入れる核入れ作業など真珠ができる工程、対馬を愛する平井さんの心情などが詳しく記され、藤田さんも「16歳のたくさんの出会いは、わたしの大切な宝物になりました」と述べています。

関係者によると、聞き書き甲子園は1960年代半ばに米ジョージア州で高校生が地域の知恵や技術を掘り起こし本にまとめたFoxfire活動をヒントに始まりました。こうした歴史を受け19日には、トークセッション「地域とつながる〜高校生発!イノベーションの萌芽〜」、最終日の20日には米ピエモント大学の教授による記念講演「アメリカFoxfireの活動とその意義」も行われました。

優秀作品賞に選ばれた残る5作品の名人と高校生は以下の通りです。

● 越後与板打刃物チョウナ職人・高木順一名人(新潟県長岡市)
  聞き手:山形県立米沢工業高校2年・寒河江亮太さん

● シイタケなどキノコ栽培・川上紀源名人(長野県大町市)
  聞き手:長野県木曽青峰高校2年・大蔵竜盛さん

● 親子3代、猟の技・村上義一名人(兵庫県篠山市)
  聞き手:兵庫県立柏原高校1年・荻野愛さん

● 紀州徳川家の御用鮎師を受け継いで300年:小西誓也名人(和歌山県・かつらぎ町)
  聞き手:奈良県 帝塚山高校2年・吉川岳志さん

● 以西底曳網の漁師として東シナ海で活躍・土内正人名人(長崎県長崎市)
  聞き手:兵庫県立尼崎小田高校2年・東坂波也翔さん


● 森・川・海の名人から生き方学ぶ 聞き書き甲子園フォーラム開催(2014.04.16)
● 聞き書き甲子園 foxfire in japan ウェブサイト
カテゴリ:地域・まちづくり







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