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2017年03月06日(Mon)
個性豊かな作品が地下道を彩る
DIVERSITY in the ARTS
プレイベントとなる展示会開催


東ちづるさんと、平野信治さんの作品「志村けん」

東ちづるさんと、平野信治さんの作品「志村けん」



 障害のある作家たちの、個性豊かな作品に触れてみませんか。「日本財団DIVERSITY in the ARTS 〜MAZEKOZEプロローグ」展がこのほど東京の中心、日本橋と大手町で開かれて、道行く人たちの大きな関心を集めました。会場は、3月3日から5日までは日本橋「COREDO室町」の江戸桜通り地下歩道、3月6日から8日までは大手町の「大手町タワー」OOTEMORI B2プラザ。どちらもサラリーマンや買い物客、乗り換え客でにぎわう地下歩道です。行き交う人のじゃまにならないよう、黒、赤、黄、緑、青と6色の立方体の展示ボードが建てられ、そこに障害のある作家たちが描いたアート70点あまりが飾られました。

 岩手県・やさわの園所属の戸来貴規の作品「日記」は日付と気温以外は毎日同じ内容、「きょうはラジオたいそうをやりました みそしる うめぼし」。書き終わると文字の間を塗りつぶしていきます。独特の幾何学模様が諸外国で高い評価を得ています。福島県・Unico所属の伊藤峰尾さんの作品は、自分自身の名前をひらがなで繰り返し書いていきます。独自の法則がリズムのある作品に仕上がっていました。広島県・さわらび所属の平野信治さんは、大好きな志村けんさんのバカ殿を力強いタッチで描き、周囲を志村さんに関した単語などで囲ってあります。数々の賞を受けました。愛知県・福祉村 明日香所属の辻勇二さんは鳥の目になって、高い場所から俯瞰した町を描きました。自分の記憶と空想をミックスした「どこかに実在する架空の街」です。また、沖縄県・社会就労センターわかたけ所属の佐久田祐一さんの作品は、ハサミ、画用紙、いろ紙、のりを駆使し、記憶している文字やできごと、情景などを日記を記すように切り貼りして創られています。

 ちょうど開会初日、千葉在住の作家、田久保妙さんが会場を訪れていました。彼女の作品は「ふくろうの王国」と題された、ふくろうの飛翔が描かれています。大きなキャンバスいっぱいに羽根を鋭角にして飛ぶふくろうの身体には、小さなふくろうが埋まっています。細やかな繊細なタッチと大胆さ、力強さが共生した作品はニューヨークの国際コンクール「ふくろう展」で高い評価を得ました。妙さんの母、広美さんによると、「この絵のためにふくろうカフェに通い、実際に触れたりしてイメージしていった」そうです。平日は仕事をもっている妙さんは、休日を制作にあてますが、細やかな作品は「やはり多くの時間がかかる」といいます。小さい頃から妙さんを見守り続けた陶芸家の高橋みどりさんは、「小さい頃から独特の感性がありました。裕美さんには絵を習わせちゃだめよ、自分の感性を磨くことだけに集中したほうがいいと言ってきました」。3人でスケッチ旅行に出かけたり、好きな音楽を聴いたりしながら、妙さんは活動をしています。

田久保妙さんと東ちづるさん

田久保妙さんと東ちづるさん



 その妙さんと「大の仲良し」と話していたのが女優の東ちづるさんです。この展覧会にキュレーターとして参画する東さんは、2012年、生きづらさを感じている人たちによるアートや音楽などを通した活動を支援する一般社団法人Get in touchを設立し、代表を務めています。「今回は沖縄から岩手まで全国の障害者アート活動をしている施設を訪ね、作品を選び、出展してもらったんです。海外での評価も高い大御所から新進気鋭の若手アーティストまで、幅広く展示して、えっと思うような作品に触れ、関心を持っていただくきっかけになればと思って企画しました」東さんは25年前から障害者問題に携わり、20年ちかく障害者アートを支援する活動を続けています。今回は主催する日本財団などと協議を重ね、初の試みとして美術館ではなく公共の場で展示することにしたそうです。道行く人に気軽に接してもらい、関心をもってもらうためです。

 実現に向けて協力したのが、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会でした。そのメンバーで、三井不動産オリンピック・パラリンピック室統括の伊藤太二郎さんはこう話します。「通路ということで実施には難しさもありました。しかし、ここからの発信がムーブメントを動かすきっかけになればと思います。また、日本の文化支援、共生社会の実現にもつながればと期待しています」ふたりの言葉を引き継ぎ、日本財団ソーシャルイノベーション本部国内事業開発チームリーダー、竹村利通は「多様性を認め合うことの重要性」を強調しました。
 「作家たちにはいろんな障害の方がいらっしゃいます。精神障害だったり、発達障害や知的障害だったり…。でも彼らが生み出す作品は、障害があるからというだけで括れません。彼らの個性や特性の豊かさを知り、いいものはいいと多様性を認め合うことから共生社会、インクルーシブな社会が生まれてくるのだと思います」

 日本財団はこれまでも、「アール・ブリュット」「アウトサイダーアート」などの名称でさまざまな障害者アート支援を続けてきました。ただ、それらは美術館や展覧会場といった屋内に限られていました。今回、屋外(といっても地下空間ですが)に飛び出した背景には、「彼らのアートにえっと思い関心を持ってもらい、次は美術館へとつながればと思っています」
 いわば、次の企画へのキックオフ・イベントという位置づけでしょうか。それを東京の中心から始めたきっかけは、日本財団会長の笹川陽平です。全国各地で障害者アート支援の輪を広げてきましたが、「いいことを、なぜ東京でやらないの」というひと言で企画が動き始めたのでした。

 次は今年10月、東京・青山スパイラルでさらに進化した「多様化したアート」展を開催する予定です。また、東さんたちの活動を紹介する特別企画も練っています。

カテゴリ:アート・スポーツ・文化







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