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2016年12月01日(Thu)
隣国との対立に益なし 民間交流で相手知る努力を
(リベラルタイム 2017年1月号掲載)
日本財団 理事長 尾形 武寿


Liberal.png中国の学生の日本理解促進などを目的にした日本知識クイズ大会が10月22、23の両日、中国湖北省の省都・武漢市で開催された。

大会は日本財団の姉妹財団である日本科学協会(大島恵美子会長)が進める中国の大学への日本語図書寄贈事業に関連して2004年に始まり今回で12回目。日本語に関するハイレベルの催しと位置付けられ、8校で始まった参加大学は今回百六校と初めて100校の大台に乗った。

開催地となった武漢市は人口1,060万人。国、公、私立大、短大を含め82校、学生数は96万人に上り、ともに中国一。うち日本科学協会とともに大会を主催した武漢大学は日中国交正常化が実現した1972年に日本語学科が設けられ、大会では団体戦、個人戦とも優勝した。

日本語図書寄贈事業では、武漢大学を含め計61校に360万冊の日本語図書が寄贈されており、閉会式では「今度は図書寄贈事業で百校を突破したい」と一層の推進を約束した。

現在の日中関係は国交正常化当時の熱気が嘘のように冷え込んでいる。しかし、そうした中でも日本語学科を持つ中国の大学は全体の約4分の1の508校まで増え、10年前の1.7倍、約68万人の中国人学生が日本語を学ぶ。

10月末に2,000万人を突破した訪日外人観光客の4人に1人も中国人。一時の暴買いは減りつつあるが、清潔、安全で何でも言える日本の自由な雰囲気に好感を持つようで、リピーターも増えている。やはり「百聞は一見に如かず」である。

大会の後、北京に住む友人が武漢在住の多くの人物を紹介してくれた。事業に成功した富豪は「中国の改革開放政策が成功したのは天安門事件(1989年)の直後に日本がいち早く経済制裁を解除し、第三次円借款を再開してくれた点が大きく、中国の識者は皆、感謝している」、「背景には笹川良一先生の努力があった」と話してくれ、久し振りに「井戸を掘ってくれた人の恩を忘れず」の中国のことわざに触れた気がした。

習近平政権は“一切の雑音”を排除する中国流管理社会の確立に向け言論対策を強化していると言われ、サイトを閉鎖したソーシャルメディアも出ていると伝えられている。

来年秋の党大会に向けた政権中枢の権力闘争も激しさを増しているといわれ、毛沢東主席以上の権力を握ったといわれる習近平主席の政権基盤がどこまで盤石なのか、専門家の意見も分かれている。

米大統領選では、大方の予想に反して不動産王のドナルド・トランプ氏が新大統領に当選、世界の覇権国として外交、内政にどのような政策を打ち出してくるのか、こちらも不透明だ。

国境を接する二国間の関係は難しい。国内の不満を外交に転化することで隣国関係が緊張することもある。しかし本質的な解決にはならず、対立によって得られる利益は双方ともにない。

日中双方の安定的発展こそ両国にとって最良の国益であり、国際社会に対する責任でもある。そのためにも民間交流を促進し、互いが相手を知る努力が欠かせない。

相互理解の促進は一朝一夕には実現しない。時代や世代を超えて少しでも交流を密にするしかない。そうした努力が「知日派」、「知中派」を増やし、関係改善の力となる。ささやかでも、そんな考えで引き続き図書寄贈やクイズ大会事業に取り組んで行きたく思う。
タグ:中国
カテゴリ:世界







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