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2016年11月15日(Tue)
生活困窮者の自立を進めていこう
支援ネットワークが全国研究交流大会開催
広範な人たちで課題や今後の在り方議論


一般社団法人「生活困窮者自立支援全国ネットワーク」(東京・新宿)運営の実行委員会は11月12(土)13(日)の両日、神奈川県で第3回生活困窮者自立支援全国研究交流大会を副題「広範なプレーヤーと共に、制度の見直し充実に向けて!」の下に開催。生活困窮者の自立支援に携わる人、行政職員、学識経験者など多方面の人たち約1,400人が全国から集まり、今ある課題の解決や有効な支援の実践について話し合いました。日本財団は今回の大会開催に助成をしています。

全体会の様子(11月12日)

全体会の様子=11月12日



政府広報によると、働きたくても仕事がない、家族の介護のために仕事ができない、再就職に失敗して雇用保険が切れた、あるいは、社会に出るのが怖くなった−など、さまざまな困難な中で生活に困窮している人に包括的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」が2015(平成27)年4月から始まりました。

主催者あいさつをする岡崎誠也・生活困窮者自立支援全国ネットワーク代表理事

主催者あいさつをする岡崎誠也・生活困窮者自立支援全国ネットワーク代表理事=11月12日

制度の根拠になっているのが同年4月1日施行の「生活困窮者自立支援法」です。この法律は第1条で「生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする」とし、第2条で「『生活困窮者』とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義しています。

生活困窮者自立支援全国ネットワークは全国研究交流大会の第1回を大阪で、第2回を福岡でそれぞれ開催、今回は3回目です。大会初日の全体会は川崎市の市教育文化会館で、2日目の分科会は場所を移して横浜市港北区の慶応大学日吉キャンパスで開かれました。

生活困窮者制度の説明画面

生活困窮者制度の説明画面=11月12日

初日の全体会で同ネットワーク代表理事の一人、岡崎誠也・高知市長が「生活困窮者自立支援法が昨年4月に本格的に施行されましたが、全国の自治体はまだまだ手探りの状態のところが多く、試行錯誤といった状態です。課題は多く、それを解決していくにはネットワークが必要です。この大会を通じ有益な情報交換を行って、人と人とのつながりをさらに深めてください。生活支援の活動が全国に広がっていくことを願っています」と主催者あいさつをしました。併せて岡崎代表理事は、次の第4回大会を17(平成29)年11月11(土)12(日)両日、高知市で開くことを明らかにしました。

福田紀彦・川崎市長、厚生労働省社会・援護局の定塚由美子局長、清家篤・慶応大学塾長が来賓あいさつをし、定塚局長は、生活困窮者自立支援制度の在り方について、論点整理をするための検討会をこの10月からスタートさせたことを紹介しました。

続く基調鼎談「生活困窮者支援が切り拓くもの〜制度見直しに触れて〜」では、大森彌(わたる)・東京大学名誉教授、宮本太郎・中央大学法学部教授、厚生労働省社会・援護局の本後健生活困窮者自立支援室室長の3人が、生活困窮者自立支援法は今、何を明らかにしながらどこに向かおうとしているのか、話し合いをしました。
徹底討論「孤立させず、地域でつなぎささえるには」の様子

徹底討論「孤立させず、地域でつなぎささえるには」の様子=11月12日

厚労省の担当の中心である本後室長は、3年後の平成30年の制度見直しに向けた検討が始まったことについて「実際に制度改正ができるか、もちろん難しい部分もあるが、現場の人たちが感じている課題を可能な限り取り上げていきたい。SOSが出せない人の声なき声に、一番気付きやすいのが地域の人。地域の力と公的な支援体制が結びつくことによって生活困窮者本人、その世帯全体を支えることができる。地域の在り方を考える時にこの制度抜きには考えられない。その意味でも、多くの人の努力と希望を受けて歩み出したこの仕組みを、さらに成長させていきたい」と述べました。

宮本教授は、さまざまな人の尽力で制度が着実に定着しつつある一方で、まだまだ課題が多いことを指摘し「安定した雇用が崩れ、家族の形も変わってきている中で、既存の制度の狭間に落ち込んでしまう複合的な困難が地域にどんどん増えている。ここをしっかり支えると地域が元気になる。そんな仕組みがなかったところに、この制度が出来上がった。既存の縦割りの制度に横串を刺して、つないでいくような、まさに既存制度の狭間を埋めていく仕組みがこの制度です」と話し、今後の制度改革に期待を示しました。

葛西憲之・青森県弘前市長、松本昭夫・鳥取県北栄町長、亀井利克・三重県名張市長による「困窮者支援で今こそ自治体政策転換」の話し合いも行われ、まちづくりに生活困窮者自立支援法を生かす政策に取り組んでいる実例を、各首長が熱く語り紹介しました。

玄田有史・東京大学社会科学研究所教授が「希望学から考える困窮者支援」と題して特別講演し「大事なことは一人ひとりが、動いて、もがいて、ぶち当たって、希望をつくり、いろいろなことがあっても、みんなが緩やかなつながりの中で、希望を持って行動を起こすことが大切だ」と話し、「絶望の反対はユーモア、ユーモアを忘れないように」と呼び掛けました。

分科会「地域で共に生きる!子ども・若者支援」の様子

分科会「地域で共に生きる!子ども・若者支援」の様子=11月13日

初日の最後は「孤立させず、地域でつなぎささえるには」のテーマの下、池田昌弘・全国コミュニティライフサポートセンター理事長、湯浅誠・法政大学現代福祉学部教授、山崎博之・長野県社会福祉協議会相談事業部自立支援グループ主事、岡田百合子・ワーカーズ・コレクティブ協会専務理事の4人が、奥田知志・NPO法人抱僕理事長の司会で「社会的孤立は誰にでもどこにでも起こり得る。助けてと言える地域社会を生み出すには、手をつなぐには、どうすればいいか」討論をしました。

2日目は午前、午後合わせて11の分科会が開かれ、雇用・地方創生、就労・労働、子ども・若者、居住、高齢者、震災と地域、など広範なテーマで、熱心に話し合いが行われました。


● 生活困窮者自立支援全国ネットワーク ウェブサイト






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