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2016年10月25日(Tue)
気仙沼「みらい造船」起工式
中小事業者が合併・集団移転へ
津波対応型の最新鋭施設整備


東日本大震災の津波で被災した宮城県気仙沼市内の中小造船会社が合併・集団移転して新たな造船施設を建設することになり、その起工式が10月21日、気仙沼湾西岸に面した同市朝日町の建設予定地で執り行われました。存続会社の名前は「株式会社 みらい造船」。今回の共同事業は、漁業基地・気仙沼の要として、将来の津波発生時にも継続操業できる最新鋭の施設を整備し、地域の造船・舶用業界が協業体制を構築することで、水産都市気仙沼の継続的な発展に貢献することを目指しています。

神事「鍬入れの儀」の様子

神事「鍬入れの儀」の様子


建設地を守る高さ7.2メートルの防潮堤

建設地を守る高さ7.2メートルの防潮堤

完成イメージ図およびシップリフト説明図(両図提供:五洋建設)

完成イメージ図およびシップリフト説明図(両図提供:五洋建設)(クリックで拡大)

津波による被災状況(写真提供:みらい造船)

津波による被災状況(写真提供:みらい造船)

造船所位置図(図提供:みらい造船)

造船所位置図(図提供:みらい造船)(クリックで拡大)

みらい造船によると、気仙沼港は世界3大漁場の三陸沖に面し、周囲を陸地に囲まれた天然の良港であることに加え、水揚げ、補給、船舶修繕などの漁港機能がすべてそろっているため、日本全国から多くの漁船が寄港する拠点漁港になっています。東日本大震災の津波により、気仙沼の造船施設は損壊や地盤沈下による作業場縮小などで壊滅的な被害を受けました。気仙沼市によると10月24日現在、市の人的被害は1359人(内訳:直接死1031人、関連死108人、行方不明者220人)、住宅被災1万5815棟にも上りました。市は津波に強い街づくりを目指す復興計画を進めています。「みらい造船」の建設地は市が整備した工業用地の中の約4ヘクタール、高さ7.2メートルの防潮堤に守られています。

みらい造船は2015(平成27)年5月、震災前以上に漁船漁業と地域産業の発展に貢献するため、吉田造船鉄工所、木戸浦造船、小鯖造船鉄工所、澤田造船所の造船4社を含む7社の出資で設立されました。18(同30)年4月には、みらい造船を存続会社として造船4社が合併し、同年末までに工事を終え、19(同31)年初旬に移転開業する予定です。総事業費は105億円を超す(税抜き)大型事業です。日本財団が手掛けてきた数多くの復興支援事業の中でも最大・象徴的な事業であり、 財団の総力を挙げて取り組んでいます。

大型テント内で営まれた起工式の後、市内のホテルで祝賀会が開かれました。みらい造船設立の出資者でもある7人の役員がそろって壇上に上がり、うち木戸浦健歓社長がみらい造船を代表して発注者あいさつをしました。木戸浦社長は「平成30年4月に4社の造船所が合併することになります。4社それぞれ歴史があり、いろいろな経緯があって今まできておりますが、気仙沼に造船所を残すという決意のもと、みらい造船は今後とも息長く、気仙沼の産業に貢献できる企業でありたいと思っています」と感謝の気持ちを述べました。

次いで清水琢三・五洋建設社長が施工者あいさつをし「今回の施設の最大の特徴は、造船所ではわが国3例目となるシップリフト方式が採用されたことです。シップリフトとは、防潮堤外側の海のところに船をエレベーター方式で上下できる施設です。これにより防潮堤内側の陸上部に船台や工場を建設することができます。津波に対して安全であるばかりでなく、作業効率も高くなり、海域の環境といった面でも配慮した造船所をつくることができます」とシップリフト方式の作業環境に優れた点を説明。無事故・無災害で品質の高い造船所を仕上げたい、と決意を述べました。同社はシップリフトを国内に導入した最初の企業で、これまでに千葉、沖縄両県で施工実績があるそうです。

みらい造船設立の出資者でもある7人の役員。中央であいさつをする木戸浦健歓社長

みらい造船設立の出資者でもある7人の役員。中央であいさつをする木戸浦健歓社長



来賓あいさつをする海野光行・日本財団常務理事

来賓あいさつをする海野光行・日本財団常務理事

来賓あいさつで、海野光行・日本財団常務理事は次のように話しました。「いよいよ第1歩を踏み出す『みらい造船』は『連携、共同、一体感』のキーワードが頭の中に浮かぶ、極めてチャレンジングで新しいプロジェクトだと思います。最新鋭の造船所は、さまざまな新しい分野へのチャレンジを可能にする大きなポテンシャルを秘めています。震災前の事業をなぞるだけでは復旧にすぎません。真の復興に向けて、そのポテンシャルを最大限に生かすためにも、顧客を国内だけでなく、ぜひとも海外に向けて求めてください。舞台は世界です」

「皆さんがこれからつくられる船は、幅広い方々が携わり、多くの方々の想いが凝縮された船になり、まさに船そのものが復興の象徴になっていくと思っています。その復興のシンボルをこれから全国、そして世界にアピールしていけるよう、海外に打って出ていくための準備を本格稼働前の今から整えてください。まだまだ乗り越えるべきハードルはあると思いますが、みらい造船が描く未来の形を具現化するために、オール気仙沼の皆さんと、宮城県、国土交通省と連携を取りながら、日本財団も総力を挙げて、しっかりとサポートしていきたいと考えています」

現在の気仙沼港の様子

現在の気仙沼港の様子



来賓あいさつの最後に菅原茂・気仙沼市長が各方面に向けた感謝の意を述べ「この造船所の完成を東北、北海道だけでなく、全国の漁業者の皆さんが待っています、造船所の一番の華は進水式。一番船の進水式には、この日のように集いましょう」と呼び掛けました。

日本財団は5年前の大震災発生以降今日まで、被災直後のご遺族への見舞金現金配布、多数のボランティアを円滑に活動させるためのボランティアセンターの立ち上げとその運営、ほとんどの漁船が流されてしまった中で辛うじて残った小型漁船の応急修繕事業、各浜にあった番屋の再建、各地区の神社の祭り用具の再調達・寄贈、被災直後の造船所操業再開に必要な、自走クレーン、溶接機、フォークリフトなどの機材の提供、気仙沼港への船舶用陸上給電設備の設置‐など復興に向けた数多くの支援活動を被災各地で続けてきました。







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