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2016年06月17日(Fri)
文字を読むことが苦手な子どもたちへ
教員向けのオンラインコース普及
NPO法人「エッジ」が啓発活動


ディスレクシアという言葉を聞いたことがありますか? 「読字障害」「難読症」などと訳される学習障害の一つで、脳の識別機能に障害があり、文字を読むことが苦手なことを指します。読み書きの教育が中心の学校教育では学ぶことが困難であり、日本では人口の5〜6%、40人のクラスに2人は存在するといわれています。日本は海外と比較すると、ディスレクシアに対応する取り組みが遅れており、適切な指導を受けられない児童や生徒が多く存在します。

フェスティバルにはマレーシア、シンガポール、インドネシアなどからも参加

フェスティバルにはマレーシア、シンガポール、インドネシアなどからも参加



東京都に拠点を置くNPO法人「エッジ」では、ディスレクシアを持つ児童・生徒への理解を広めることを目的とし、支援や啓発などを行っています。活動の一環として「アジア太平洋ディスレクシア・フェスティバル&シンポジウム2016」が6月11日と12日の2日間、横浜市で開かれました。フェスティバルには国内外から約500人が参加し、活発な交流と議論が繰り広げられました。

講演するジェニー・トンプソン博士

講演するジェニー・トンプソン博士

NPO法人エッジの藤堂栄子代表が今取り組んでいるのは、ディスレクシアに対する教員向けの指導法を国内で広めることです。このフェスティバルでは、日本財団の助成を受けて英国シェフィールド大学からジェニー・トンプソン博士を招聘し、「先生、ディスレクシアの指導法を覚えて」というタイトルで講演しました。

この中でトンプソン博士は、英国で実践されている「MOOC(Massive Open Online Courses)」と呼ばれる教員向けオンラインコースを紹介。「ディスレクシアの指導法は特別難しいことではない。授業のペースを調整したり、時に戻ったりして理解のギャップを埋めること、視覚だけでなく聴覚など多感的なアプローチを取ること、子どもに成功体験を積ませることが重要。オンラインコースの目的は、受講を通して教員にディスレクシアの指導への自信をもってもらうことだ」と説明しました。

アジア太平洋地域の若者たちによるトークセッション「僕たちの理想の学校」

アジア太平洋地域の若者たちによるトークセッション「僕たちの理想の学校」

 全世界で既に1,000人が全コースの受講を完了、約10,000人が能動的に学んでいるそうです。受講者の95%が受講内容に満足し、ディスレクシアを持つ児童・生徒が直面する困難について理解を深めることができたと話していました。コースを受講した人が内容や実践方法などについて質問したい場合には、オンラインで質疑応答が可能なフォーラムも設置されており、ディスレクシアの指導法を広めるネットワーク構築にも一役買っています。

トンプソン博士の話を聞いた、ディスレクシアと診断された子どもを持つ親からは、「ディスレクシアを持つ子どもにどのタイミングでどのように説明するのが良いか」という質問が出されました。それに対し、トンプソン博士は「学習面で困難に直面しているかもしれないが、ただ学ぶスタイルが人と異なるだけ。どう伝えるかは個々によるのでセンシティブだが、できるだけ早い段階で本人がそのことを理解できる方が良い」と語っていました。
ディスレクシアの英国人画家マッケンジー・ソープ氏の絵画展も開催

ディスレクシアの英国人画家マッケンジー・ソープ氏の絵画展も開催


国内外から参加した児童・生徒は、学校が好きだったかどうか聞かれ、「理解のある先生と出会ってから、学校が楽しくなった」、「学校の先生たちは僕が勉強できないと諦めていたが、学習障害があるのではと気づいた先生がいてくれたおかげで、ディスレクシアの診断を受け、その後成績が上がった」などと経験談を語っていました。

フェスティバルの翌13日には、東京・赤坂の日本財団ビルで関係者による会議が開かれ、教員向けオンラインコースをいかに日本で普及するかについて議論されました。今後、フェスティバルでの議論を基にさらに検討を重ね、英語でのオンラインコースに字幕を付けた日本語版を制作する予定です。



● NPO法人エッジ ウェブサイト
● 教員向けディスレクシア指導オンラインコース(英語版)







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