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2016年05月16日(Mon)
障がいのある人が危険な住宅に
被災地調査で判明、熊本地震
NPO法人が確認、日本財団提携


熊本地震は、最初に震度7を観測した地震から5月14日で1カ月を迎えました。熊本県ではまだ1万人を超える人たちが避難生活を続け、全国から駆け付けた多くのNPO法人やボランティアが、復旧・復興活動を支援しています。日本財団は震災被害に対する緊急支援策の一環として、原則100万円を上限としたNPO法人、ボランティア活動支援を表明しましたが、これとは別に、災害時の障がい者支援の在り方を調査・研究してもらうために事業費を助成しているNPO法人を、ここでは紹介します。大阪市住之江区に拠点を置く「み・らいず」(河内崇典代表理事)です。障害がある人が倒壊などの危険がある住宅の中で、ずっと生活をしているケースも、み・らいずの調査で確認できました。

訪問相談員(左側)から報告を受けるNPO法人み・らいずのスタッフ(日本財団のビブスをつけた右3人)

訪問相談員(左側)から報告を受けるNPO法人み・らいずのスタッフ(日本財団のビブスをつけた右3人)

 
2014(平成26)8月の豪雨により、広島市で大規模な土砂災害が起きた時、日本財団は被災した障がい者の調査業務を、み・らいずに委託しました。この時の経験から、さらにしっかりとした枠組みが必要だと判断し翌15(平成27)年度からは、業務委託ではなく事業費を助成する形で、災害時における障がい者支援の在り方を、み・らいずに調査・研究してもらうことにしました。間もなく起きたのが9月の関東・東北豪雨被害でした。鬼怒川の堤防が決壊した大水害です。日本財団は、み・らいずと連携して被災地に入り、情報収集や支援、調査・研究に当たりました。そして本年(平成28)度、災害が起きた時の調査・研究だけにとどまらず、現地での実際の活動もテーマに掲げて、助成事業2年目をスタートさせた直後に発生したのが熊本地震でした。

屋根にブルーシートをかけた家が目立つ御船町の遠景

屋根にブルーシートをかけた家が目立つ御船町の遠景(御船町立御船小学校南側の城山公園から撮影)

倒壊した御船町・城山公園登り口の石鳥居

倒壊した御船町・城山公園登り口の石鳥居


み・らいずは最初に大きな地震が起きた翌日の4月15日(金)には現地に職員を派遣。被災した人の中で、とりわけ福祉的なケアが必要な人の支援を以後、日本財団と協力して進めています。被害状況の確認や緊急的に支援が必要な障がい者福祉施設への物資提供を行い、熊本県庁や熊本県社会福祉協議会などを訪問して、支援が必要なところを確認し、行政、NPOなどの各機関と連携して支援に取り組むネットワークづくりに取り組みました。4月19日からは地域の福祉施設などを中心に聞き取りを続け、要望に応じた人的・物的支援のために支援団体の調整や取りまとめを続けています。

御船町の被害家庭を訪問し、生活状況の聞き取りに回っている様子

み・らいずが依頼した九州ネットワークフォーラム実行委員会の訪問相談員が、御船町の被害家庭を訪問し、生活状況の聞き取りに回っている様子(写真提供:み・らいず)

ブルーシートがかけられた被害家屋のわきを歩く訪問相談員

ブルーシートがかけられた被害家屋のわきを歩く訪問相談員(写真提供:み・らいず)


地震被害の大きかった熊本県上益城郡御船町では、同町社会福祉協議会の災害ボランティアセンターの設置に関わり、社会福祉協議会の本来業務である住民の生活支援を行いたいという職員の希望のもと、4月24日からボランティアセンターニーズ班の福祉チームとして、障がいのある人の世帯へ個別訪問を実施。家族全員の安否確認をするとともに、生活支援や継続見守りなどの必要性を調べて、行政への情報提供やサービスの調整などに当たっています。

対象地区の民生委員、福祉協力員など鍵となる人に連絡した上で2人1組になって、毎日2〜3組がローテーションで対象の自宅を訪問。可能であれば、地域の人の同行や立ち会いを依頼。聞き取った内容は所定の用紙に記録し、訪問記録を集約・整理して緊急支援が必要か判断。町の社会福祉課やソーシャルワーカー、在宅訪問チームなどと連絡・調整し、必要性に応じて継続的な安否確認やサービス提供を実施しています。御船町社会福祉協議会から初回の訪問対象として要請のあった、御船地区今城、高木地区下高野、小坂地区小坂の計75人については5月8日までに調査を終え、以後は地域を拡大して聞き取りを行っています。

白亜紀後期の恐竜化石、産出量日本一を誇る御船町。恐竜博物館もあります

白亜紀後期の恐竜化石、産出量日本一を誇る御船町。恐竜博物館もあります

「白亜紀後期の恐竜化石、産出量日本一」を誇る御船町。町のホームページによると、熊本地震の被害状況は5月15日午前7時現在、死者2人、重軽傷者14人、家屋の全壊229棟、半壊243棟、一部損壊560棟、避難所18カ所、避難者648人。そして、まだ62世帯が断水しています。

「われわれが調査したエリアの中で、まだ家の緊急危険度判定が行われていなかったり、誰も訪問していなかったりしたケースがありましました。障がいのある人が避難所に行けずに、ずっと危険な家の中で生活をしている例も確認できました。自分から情報を取りに行くこともできない人には、こちらから足を運んで話を聞きにいかないと、本人たちだけではSOSが出せません。災害の復興・復旧がいつになるのか見通しがつかないことから、少し精神的に影響を受けているのではないか、とみられる人もおられました。そういう人には別の精神科医やカウンセラーなどのチームにつないで訪問してもらっています」。緊急度が高い点について訪ねると、み・らいずのスタッフの一人は以上のように話してくれました。

み・らいずは2001年4月設立、スタッフは約50人。活動分野は、障がい者、子ども、青少年、高齢者、福祉、保健、医療、学習支援、地域・まちづくり、など多方面に及んでいます。み・らいずのホームページで河内代表は「地域には障がいのある人も、高齢者も、子どもたちも、家族も、いろいろな人が生活している。あらゆる人が、当たり前の生活を、住み慣れた地域で送っていく。それこそが安心で安全な『まち』だと考えている。ここで行っている事業は、すべて『まちづくり』を原点としている」と紹介しています。

御船町の「ふれあい広場」に新しく開設されたテントサイト

5月7日、御船町の「ふれあい広場」に新しく開設されたテントサイト

御船町の「ふれあい広場」(通称・恐竜公園)には5月7日、新たにテントサイトが開設されました。開設の中心となって活動している「アウトドア・コミューンみふね」の廣瀬哲也代表によると、小さな子どもやペットがいる家族は、ほかの人に迷惑をかけられないと避難生活や車中泊を余儀なくされています。そんな家族のために、子どもたちが安心して暮らせるよう、被災した人同士が集まり、御船町、消防、警察、社会福祉協議会、観光協会、ライオンズクラブ、ボランティアなど各方面の協力を得て、LEDランタン、アウトドアテーブルなどを備えたテント47張り(目標50張り)を、世界的に知られるアウトドア用品メーカーの支援で設置、開設初日には早くも7家族が入ったそうです。



● 熊本地震支援プロジェクトページ(日本財団 ウェブサイト)
● NPO 法人 み・らいず ウェブサイト






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