CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2015年11月19日(Thu)
首都直下地震想定の「被災者支援拠点」
新宿区で初の避難所運営訓練実施


東京湾北部でM7.3の首都直下地震が発生し、新宿区で高層ビルの倒壊が起き、死傷者が出ている―。こんな想定で日本財団による、新宿区では初めての「被災者支援拠点」の運営訓練が11月16、17日の両日、新宿区立障害者福祉センターで行われました。訓練には、身体障害者2人をはじめ、区職員、NPO法人職員、韓国人ら15人が参加、避難所を再現したシミュレーションを行いました。

身体障害者2人が参加して行われた避難所運営訓練
身体障害者2人が参加して行われた避難所運営訓練

同財団は南海トラフ地震をはじめとする大規模地震を想定した避難所の運営訓練を各地で行い、震災で助かった被災者が避難所生活で「震災関連死」するのを防ぐための取り組みを進めています。東京都では、これまでに港区で2回、この種の訓練を実施していますが、新宿区で行うのは初めてです。首都直下地震では多数の帰宅困難者が予想されるため、障害者や外国人も訓練に参加しました。

首都地域では、2、300年間隔で関東大震災(1923年)クラス(M8)の地震が起きています。最近ではそれほど大きな地震はありませんが、東日本大震災(2011年)で多数の帰宅困難者が出たため、東京都は約517万人の帰宅困難者を想定して一時滞在施設の開設などを進めています。

3グループに分かれて訓練について話し合う参加者
3グループに分かれて訓練について話し合う参加者


今回の訓練では
1. 東京湾北部でM7.3の首都直下地震が発生、死傷者が出ている
2. 地域全体が停電、水道・ガスは停止している
3. 下水管が破損、水洗トイレの使用が制限されている
4. 緊急車両以外の車両の通行はできない
5. 一般電話は通信不可。携帯電話やEメールもつながらない
6. 帰宅困難者約517万人
7. 避難者は約339万人
を想定、参加者が避難所で役割を演じる「ロールプレイ方式」で問題点を探りました。

訓練は障害者福祉センターの会議室で行われ、参加者が車いすの障害者、韓国人の留学生、赤ちゃん連れの母親、認知症の高齢者、町長会や民生委員に扮して避難所暮らしを始めました。開始時間は午後4時でしたが、室内の設備などが整わないうちに暗くなり、被災者のニーズに運営者側の対応が追いつかない事態が増えていきました。

なかでも、被災者の不満が高まったのは「自宅に帰りたいけれど帰る手段が分からない」、「家族がどこにいるか確認する方法が分からない」などで、運営者側も情報がなく、イライラする場面が多かったようです。午後6時にいったん終了し、3グループに分かれて気付いたことを模造紙に書き出し、発表し合いました。運営者側から「役割分担がきちんと決まっていないため、解決できないことが多かった」、重度の障害者からは「役割分担をしてもらわなかったので、何をしたら良いか分からなかった」などの不満が出されました。この後、夕食を食べ、午後11時に就寝しました。

訓練で気付いたことを話し合う参加者
訓練で気付いたことを話し合う参加者


2日目は、地震発生から3日後という想定で、物品係、ゴミ係などの役割分担をしっかり決め、ロールプレイを再開しました。さらに、黒板に何が起きているか、苦情をどう解決したか、などを書き込み、状況を共有するようにしました。約一時間半後、再び3つのグループに分かれ、昨日と変わった点を模造紙に書き出しました。「役割分担がきちんとできたので、みんなが協力してくれるようになった」という意見が出た半面、プライベートの空間が少ない、外部との連絡ができていない、などの問題点も指摘されました。

この後、訓練を指導している一般財団法人ダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事が避難所運営の課題をまとめて発表しました。大規模災害の初期には大量の避難者が同時多発的にやってくるので、全体像を把握し、支援ニーズのとりまとめを急ぎ、外部に発信できる状態をつくるべきだと指摘。元気な人たちが退去した後は、地域全体のニーズの総量を把握し、危機的な状態の人を安全な場所に移動させるのが大事だと述べました。

最後に、参加者全員で円陣を組み、今回の訓練で学んだことを発表しあいました。重度の身障者の男性は「身障者だから分かることがあるので、それを積極的に周囲に伝えていくことが大事だと思った」と話しました。また、韓国人の女性は「相手に伝えたいことがあるのに伝わらないという、コミュニケーションの大変さを実感した。今、国際交流センターで仕事をしているが、日本語の分からない人にどう伝えていくかを考えながらやっていきたい」と、抱負を語りました。町内会長役の男性は「被災者の役割の人に迫真の演技で迫られ、びびった。人心を掌握することがいかに大変か分かった」としみじみ話していました。

2日間の訓練で学んだことを1人ずつ発表
2日間の訓練で学んだことを1人ずつ発表

横尾俊成・港区議この訓練を見守っていたNPO法人スタンバイ代表の横尾俊成・港区議(34)は「首都圏で550万人の帰宅困難者が出るとき、障害者などのニーズにどう対応するかが重要だ。また、他の被災地との連携も必要なので、どうやって関係をつくっていくかを考えていきたい」と語っていました。



日本財団では、参加者を対象にした災害エリアマネジャー養成訓練を来年1月13、14日、同じ障害者福祉センターで行い、地域全体の運営支援を担う人材育成を目指します。











 パラリンピック競技特集(3)シッティングバレーボール  « トップページ  »  地方創生にどう取り組むか!