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2015年11月18日(Wed)
パラリンピック競技特集(3)シッティングバレーボール
パラ競技.png
身長差をどうカバーするかが課題


「さあ、がんばっていこう」「オオーッ!」
久保佳大コーチ(26)の合図で、原則として座ったままでプレイするシッティングバレーボールの試合が始まりました。神戸市障害者スポーツ振興センターで10月下旬に行われた男子チームの強化合宿。脚部の切断者や、足の不自由な障害者に健常者が混じった練習試合です。スパイクを打つ時も、床からお尻を浮かしてはいけないルールですが、予想していたよりも速いボールが飛び交っていました。

障害者に健常者も数人加わって男子の練習試合
障害者に健常者も数人加わって男子の練習試合
シッティングバレーボールは、戦争で身体が不自由になった人々により1956年、オランダで考案された競技です。61年には考案した人たちにより障害者スポーツ協会が設立され、それ以来、試合を通じて成長してきました。日本では92年に初めてチームが結成され、障害者だけでなく、健常者でも足首やひざをけがした人たちによって広まってきました。一般のバレーボールと比べ、最大の違いはネットが低いことで、男子は一般の半分以下の1.15m、女子は1.05mです。

男子チームの強化合宿に参加したのは、来年のリオ・パラリンピックに向けた強化選手9人。年齢は20代から40代までと幅が広く、比較的高齢の選手も少なくありません。障害ができた理由では、交通事故や労災で下肢を切断した人が多いようです。選手たちは全国各地に散らばっているので、思うように練習できないのが悩みのタネだそうです。

守備位置を指示する久保コーチ
守備位置を指示する久保コーチ=左


一方、女子チームは11月上旬、東京都台東区の体育館で強化合宿を行っていました。参加した強化選手は10人で、新人の中学生からベテランの40代後半まで多彩なメンバーです。富田圭造コーチ(47)は「今年、中学2年生の選手が3人入ってきたのが明るい材料です。まだまだ成長段階ですが、東京パラリンピックの有望株です」と話していました。

健常者を加え、実践的練習をする女子チーム
健常者を加え、実践的練習をする女子チーム


日本は男女ともリオ・パラリンピックへの出場を目指していますが、昨年10月、韓国で行われたアジアパラ競技大会では男子は6位、女子は3位に終わり、出場権を逃しました。男女とも世界の8カ国が出場できますが、世界選手権大会で2位以内に入るか、アジア地区で1位になるか、あるいは世界最終予選で出場未決定国の最上位に入らなければ出場権が得られません(別に開催国枠が1カ国)。つまり、日本は男女とも来年3月の世界最終予選で最上位になる以外に出場する道は残っていません。

真野協会会長女子チームの監督も務めている真野嘉久・日本パラバレーボール協会長(50)は、リオ大会への出場権について「男女とも状況は厳しい。男子はまだ有力な中国が決まっておらず、日本の最大のライバルです。女子もランキング3位のウクライナや4位のオランダが未決定なので、厳しさは男子と同じです」と話す。では、勝つための対策は、と聞くと「外国の背の高い選手をどう抑えるかです。速攻で行くしかありませんが、それでもダメなら相手のボールをネットからできるだけ離すように仕向けることです。この競技は身長の差で決まるとも言えるので、少しでも背の高い選手がほしいというのが本音です」と語っていました。


男子チームはシドニー大会から3回連続、パラリンピックに出場しましたが、前回のロンドン大会ではアジア地区大会で5位となり、出場できませんでした。大学時代、バレーボール部主将だった久保コーチは「世界のレベルが高くなったので、攻撃方法を変えていかないとダメだ。速攻をうまく使って活路を見出したい」と話しました。

主将の皆川鉄雄選手(34)=茨城県水戸市在住=は16歳のとき、バイクを運転中、車と衝突、右足切断を余儀なくされました。最初は松葉ツエを使っていましたが、22歳の時、義足を付けました。中学時代、クラブ活動でバレーボールをやっていたので、それを機会にシッティングバレーボールを始めました。今は地元で喫茶店を経営しながらバレーボールチーム「ミトン」を結成、健常者と一緒に楽しんでいるそうです。「身体が小さい分、練習でカバーしなければいけない。チームのムードをうまくコントロールして、士気をあげていきたい」と意気込みを語りました。

女子チームはパラリンピックの種目に加えられてから北京、ロンドンと2大会連続出場しています。主将の西家道代選手(48)=兵庫県宍粟市在住=は学生、社会人と9人制バレーボールを続け、全国大会にも出場しました。ところが、ひざのけがから神経が損傷し、5年間入院生活を送りました。退院後、シッティングバレーボールと出会い、5年前から本格的に始めました。2012年のロンドン・パラリンピックに出場し、日本チームは7位に入りました。リオ大会の出場権について西家選手は「最終的に勝ちたい気持ちを持つところが勝つ。個々の力を上げてチーム力を高めていきたい」と話していました。

女子チーム全員で記念撮影
女子チーム全員で記念撮影


今春から女子チームに加わった新人のひとりは、中学2年生の波田みか選手(14)=埼玉県川越市在住。小学1年からバレーボールを始めましたが、6年生の時、骨肉腫を患い、1年間入院しました。退院後、父親の勧めでシッティングバレーボールを始めました。「最初はすばやく動けなかったが、だんだん慣れてきました。早くコートでチームの役に立つ選手になりたい」と話していました。今後の成長が楽しみな選手です。

この競技は世界的にレベルが上がっていて、パラリンピックに出場すること自体、難しくなっています。男女とも新人発掘を活発に行い、若い力を伸ばしていくことが求められています。



競技紹介.pngシッティングバレーボール
床にお尻の一部をつけたまま行うバレーボール。一般と同じ6人制で、ボールも同じ公認のボールを使う。しかし、コートは一般より狭く、サイドライン5m、エンドライン6m。試合は国際競技規則に準じてラリーポイント制・5セットマッチ(3セット先取で勝利)で行われる。サーブ、ブロック、スパイクなどの際は床からお尻を浮かしてはいけないが、レシーブの際だけ短時間、お尻が床から離れてもいいとされる。また、一般と違って前衛が相手チームのサービスをブロックすることが許されている。



● 日本パラバレーボール協会
● 日本財団パラリンピックサポートセンター







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