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2015年11月05日(Thu)
金歯リサイクルで、難病児に外出の喜びを
障害児通所支援施設「ボンボン」オープン
家族には休息の安らぎ運ぶ


笑顔メーン.JPG


難病の子供を一時的に預けられるレスパイト施設「障害児通所支援施設ボンボン」が熊本県合志(こうし)市にオープンしました。レスパイトとは「一時休息」という意味で、在宅でケアする家族の負担を軽減するために、ケアの代行を行うサービスを指します。熊本県では初、全国でも先駆的な取り組みです。日本財団は、歯科医師による社会貢献活動「トゥースフェアリープロジェクト」に寄せられた歯科撤去金属をリサイクルし、そこから得られた寄付金を活用して、この施設の建設整備を支援しました。11月1日に行われた開所式には、関係者のほか利用者やその家族が出席し、事業開始を祝いました。
@全景.JPG


JR熊本駅から北東に約20キロ。田畑が点在する丘陵に「ボンボン」はありました。花型のタイルを配した可愛らしい花壇が、訪れた人を迎えます。

A花壇.JPG


熊本と言えばこの人(?)、くまモンも玄関でお出迎え。

Bくまモン.JPG


靴箱の上にはハロウィンの季節に合わせた手作りの飾りもあり、子供が利用する施設独特の温かさが漂います。

C飾り.JPG


通所の受け入れ対象は、基本的に寝たきりの生活をしている0歳から18歳の子供たち。定員は一日5人です。車で15分ほどのところにある国立病院機構熊本再春荘病院と連携しながら、医療と福祉の両制度を活用し、難病の子供と家族のサポートを行います。休みなく介護を続ける家族の負担を減らし、子供にとっても同世代の友達と出会い、社会性を身につけられる施設を目指します。

運営を担うのは、認定NPO法人NEXTEP(ネクステップ)。障害や病気があることで、現状の社会環境では一生を病院で過ごさなければいけない子供たちが多くいます。そこで、そうした子供たちにとって、家で暮らせることが当たり前になるような環境をつくっていきたい――。そうした願いから、ネクステップでは、全国でも先駆的な取り組みとして、小児専門の訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、相談支援事業など、訪問系のサービスを中心に運営してきました。

今回のボンボン開所を機に、重度の障害を持った子供たちに必要な発育、発達を目指す通所によるサービスを開始することになりました。法人の事務所機能もこの地に移し、全国に向けて熊本発のこのモデル事業を発信する体制が整いました。

「ボンボン」という施設名は、フランス語の飴を指す言葉から取られています。イメージしたのは包装紙の左右をねじった飴。片方のねじりが家族、もう片方のねじりがスタッフで、中身の飴が子供たちです。家族とスタッフに包まれて、さまざまな個性を持った子供たちが育つ。そうした施設の理念を表しています。

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ネクステップの理事長、島津智之さんは連携先である熊本再春荘病院の小児科医。大学生だった2000年、世代や職種を越えた交流・学びの場をつくろうと、仲間と任意団体ネクステップを立ち上げました。ピエロの赤い鼻をつけて病気の子供たちに笑顔を届ける医師として知られ、ロビン・ウィリアムズの主演映画『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』のモデルにもなった米国人医師、ハンター・アダムスさんに共感し2004年、彼を熊本に招聘して講演会を開くなどしてきました。医学生時代から夢を語り、実現させてきたリーダーです。

E島津智之さん.JPG


ボンボンの構想は、日本財団が支援する、難病を抱えた子供たちのための「そらぷちキッズキャンプ」(北海道滝川市)を島津さんが訪れたのがきっかけとなり、実現に向けて動き出しました。「こんな施設を熊本にも作りたい」という思いを持ち続け、資金や土地取得などの課題を一つひとつ克服しながら、このたびの開所にたどり着きました。

開所式は午前10時からスタート。テープカットは真新しい施設を背に、駐車場で行われました。

Fテープカット.JPG


雨模様で肌寒い朝でもあったことから、続くあいさつは施設内で行われました。

G宮川俊弥会長.JPG来賓あいさつでは、まず菊池郡市歯科医師会の宮川俊弥会長がマイクを握りました。「歯科医師会として協力できることは誠に光栄です。これまでトゥースフェアリーの活動を通して、ミャンマーなどでの支援を行ってきましたが、今回は私たちの身近な合志での施設支援。喜んでいます」と話しました。


H尾形武寿理事長.JPG続いて、日本財団の尾形武寿理事長があいさつに立ちました。トゥースフェアリーの活動を紹介したうえで、「日本財団は少しでも社会に寄与できればと願って活動しており、その一つに小児難病の子供たちへの支援があります。施設が完成したことは始まりであって、大事なのは運営です。子供やその家族、地域の方々に安心を与えられるような施設になってほしいと思います」と話しました。


I荒木義行市長.JPGまた、地元・合志市の荒木義行市長もあいさつし、土地取得が大きな課題だったが、担当した市職員の粘りと島津さんの情熱が重なって道を開いたと紹介。「この地を賑わいと支え合いの場所に変えていきたい。スタッフの方と我々行政、地域の皆さんがつながる施設になることを願い、支援をしていきたいと思っています」と話しました。


これを受けて、島津理事長は活動を報告しながら、「地域の方たちとの交流を大切にしながら、子供たちが中心となる場をつくれたらなと思っています」とあいさつ。また、「多様性を大切にし、障害を持った子供だけでなく、学校にいけない子など、さまざまな特性を持った子供たちがその地域で輝けるような社会をつくっていきたいと考えています。子供たちを僕らが支えるといった考えでなく、僕ら自身がそういった子供たちや家族から日々のエネルギーややりがいをいただきながら成長する。お互いに支え合っている関係を常に意識しながら活動を続けていけたらなと思っています」と話しました。

開所式には利用者を代表し、隣の菊池市在住の益崎光矢くん(4)とその両親も出席しました。光矢くんは、ミトコンドリア病といって、体に必要なエネルギーをつくるミトコンドリアの機能が低下する病気を患っています。生後7か月ごろに異常が分かりました。何度か命の危機もあり体を自分で動かせない寝たきりの生活が続いていますが、現在は自宅で暮らしています。

J益崎光矢くん.JPG


父親の敏生さんによると、光矢くんは外出が大好き。外に出た日は脈が落ち着くなど体の状態がとてもよいそうで、「言葉を発することはありませんが、体の反応で喜んでいるのが分かります。ボンボンという通える場所ができてとても嬉しいだろうと思います」と話しました。現在は訪問サービスを利用していますが、24時間寄り添う家族にとっては通所できるボンボンの開所が大きな休息になる、と笑顔で教えてくれました。

開所式の室内会場となったプレイルームは、熊本ブランドの木材「小国杉」の床が心地よい広々とした空間。デッキからは、庭の向こうに自然豊かな風景も楽しめます。

K風景.JPG


お風呂は、体が不自由な子供たちが家族と入れるほどの広さ。内覧会で訪れた地域のお年寄りから、「風呂ば、ここに入りに来ようかぁ」と声が上がったとか。

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家族で使える宿泊用の部屋も三つ用意されています。難病の子とその家族がゆっくり宿泊できる施設を「そらぷちキッズキャンプ」で見て、取り入れることを決めたそうです。異なるパステルカラーが、それぞれの部屋のテーマ色になっていて、車椅子を乗り入れられる板の間スペースもついています。

Mブルーの部屋.JPG


廊下の照明も、施設というよりおしゃれな家のようで心が和みます。

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このたびの開所、おめでとうございました。



【施設情報】
営業日: 月曜から金曜日までの平日。国民の休日、年末年始はお休み。
ボンボン 電話番号:096-227-9003
ネクステップ 電話番号:096-227-9001









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