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2015年10月28日(Wed)
エジソンは創造的、それとも革新的?
「社会的投資」のセミナー共催
現状や課題、今後について話し合う


「発明家エジソンは、クリエーティブ(創造的)だったのか、イノベーティブ(革新的)だったのか」―。社会が抱えるさまざまな課題を事業の手法を用いて解決を目指す「ソーシャルビジネス」が、日本でも拡大しつつある中、学校法人グロービス経営大学院(堀義人学長)と日本財団は10月26日午後、同大学院東京校(東京都千代田区二番町)で、セミナー(共同研究)「社会的投資の新潮流 〜社会を変える『温かいお金』の活(い)かし方とは」を共催した。日本の社会的投資をリードする各団体の中心となる人や、社会的課題への取り組みを継続的な事業活動として進めている社会起業家らを集めて、エジソンを例にした質問なども交えながら社会的投資の現状や課題、今後について話し合った。

セミナーの全景
セミナーの全景

夜の講習会にもかかわらず約120人の聴講希望者が会場を埋め尽くした。3部構成で進められた2時間のプログラム中、積極的に質問する聴講者も多く、関心の高さをうかがわせた。

プログラムの第1部は、社会課題を解決しようとする非営利団体の活動資金調達を目的に日本ファンドレイジング協会を発足させた代表理事の鵜尾雅隆さんが「社会起業家の資金調達の新潮流」と題して基調講演。鵜尾さんは、社会に役立ちたいと思っている人は多くても、実際に「やれている」と実感している人との差が大きい国内の現状を指摘して「ここを埋めるのは何なのか」と問い掛けた。その上で「社会的投資を考えるとても大事な言葉」として「クリエーティビティ(創造性)」と「イノベーション(革新性)」の2つの単語を例示して「発明家エジソンは、クリエーティブだったのか、イノベーティブだったのか」と意表をつく問いを投げ掛けた。

鵜尾さんの用意していた答えは革新的。「電気という仕組みを地下室の実験レベルで実現した人は既にいた。けれども電球という形にして、量産できるモデルにまでにして、世界中に広げる素地をつくったのがエジソンだ」として「一つの解決策をクリエーティブに発見することができる人たちはいる。それが本当にビジネスモデルになって、どんどん広がったり、まねされたりして、社会全体の問題を解決して、イノベーションにもっていく」ことの意義と重要性を説明。「クリエーティブに解決策を見つけているかもしれない存在を発掘して、その人たちに本当のイノベーションを見出すための資金や技術やアドバイスを投入していくのが社会的投資の重要な役割だと思う」と鵜尾さんは話し、革新性の流れを加速化させるためには投資家の存在や伴走が大事だと強調した。

基調講演風景1(右はスライドを使って説明する鵜尾雅隆さん)
基調講演風景(右はスライドを使って説明する鵜尾雅隆さん)

基調講演風景
基調講演風景


第2部はスピーチ。「KIBOW 社会投資〜新たな資金の流れを作る」と題して行われた。一般社団法人KIBOW インパクト・インベストメント・チーム ディレクターの山中礼二さんは社会的投資家の立場から、KIBOWで5億円の基金をつくり、社会を変える企業家に投資を始めた経緯を説明した。「基金がほかの方々の希望を増幅するような、希望と信念が社会全体に広まっていくような、そういう基金をつくろうということで始めた。社会を変える起業家の力を信じる。起業家の経済的リターンを生み出す力を信じる。みんなが希望を持つことによって、世の中が少しずつ、どんどんいい方向に変わっていく。その希望の力を信じる、ということで今後やっていきたい」と述べた。

続いて社会起業家の立場から、愛さんさん宅食株式会社代表取締役の小尾勝吉さんが説明に立った。小尾さんは2013年4月から宮城県塩釜市を拠点に、高齢者向けの食事宅配事業「愛さんさん宅食」を創業、障がい者を積極的に雇用し、糖尿病や腎臓病、飲み込みが困難な方などに対応した食事の製造・配達を行っている。小尾さんは「一つの理念として持っているのは家族愛。スタッフも増えて50人体制になっている。うち30人は障がいをお持ちの方が働いてくれている。ここに入社して本当によかった、と言ってもらえるような会社にしたい。困っている仲間がいたときに、そっと手を差し伸べてあげられるような、そんな人間にこの事業を通じて成長していきたい」と話した。

対談する、山中礼二さんと小尾勝吉さん.JPG
スピーチのあと会場からの質問に答える山中礼二さん(向かって左)と小尾勝吉さん


最後の第3部は「日本の社会的投資の手法と課題」をテーマに掲げたパネルディスカッション。株式会社AsMama 代表取締役CEOの甲田恵子さん、公益財団法人京都地域創造基金理事長の深尾昌峰さん、公益財団法人三菱商事復興支援財団事業推進チームリーダーの中川剛之さんの3人と鵜尾さんが公開討議を行った。

公開討議の様子
公開討議の様子(向かって右から討論者の、鵜尾雅隆さん、甲田恵子さん、深尾昌峰さん、中川剛之さん。左は司会者の日本財団上席チームリーダー青柳光昌)


「子育てシェア」を全国で広げる活動に取り組む甲田さんは社会起業家の立場から、深尾さんと中川さんは、地域や企業で社会的投資に携わる立場から、それぞれ組織を設立した経緯や実績、現状、課題などを紹介。鵜尾さんをはじめ今回登壇した先達各氏のさまざまな話にじっと耳を傾け、メモを取る聴講者の姿の中に、今後の発想や活動の糸口を探ろうとする熱い思いを垣間見た。

(竹内博道)







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