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2015年10月15日(Thu)
なぜ“アタッチメント(愛着)”が重要か
第一人者の来日シンポジウム開催
アタッチメント障害とその支援


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講演ではアタッチメント障害の実例を紹介。写真は、反応に乏しい少女の様子を示した動画。


“アタッチメント(愛着)障害”が子どもにもたらす影響とは――。それを考えるシンポジウムが9月30日、東京都・赤坂の日本財団ビルで開かれた。日本財団の主催で、約120人が参加。アタッチメントという言葉の意味や障害が起こる原因について、この研究分野の第一人者からの報告を聴き、理解を深めた。

登壇したのは、精神科医で米国チューレイン大学教授/乳幼児精神保健研究所所長を務めるチャールズ・H・ジーナさんと、同じく精神科医で目白大学教授/相州乳幼児家族心療センター長を務める青木豊さん。ジーナさんは、アタッチメント障害の国際的な分類の一つの提唱者で、チャウシェスク政権崩壊時に10万人を超える孤児があふれたルーマニアで、施設養育の影響を実証的に研究した「ブカレスト早期介入計画(Bucharest Early Intervention Project: BEIP)」などに携わった経歴を持つ。

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チャールズ・H・ジーナさん


ジーナさんは、「乳幼児の養育にはなぜアタッチメントが重要なのか:アタッチメント障害とその支援」と題して講演した。ジーナさんによると、アタッチメントとは「選択的に少なくとも一人の養育者に安らぎ、サポート、養育、保護を求める幼児の性向」。事情があって家庭で暮らせない子どもたちが入る施設では、子どもたちに接する職員が多数である場合、子どもたちがアタッチメントを形成する機会が限られるといった課題が指摘されている。

アタッチメントを十分に形成できない子どもたちが抱える障害の中に、反応性アタッチメント障害(RAD)と、脱抑制型対人交流障害がある。前者は、接する人への反応に乏しく、安らぎを求めたり、慰めに反応したりすることがない状態。後者は、逆に見知らぬ大人へも不適切な接近をするなど用心深さが欠如し、親密な身体的接触を積極的に求めるほか、過度に立ち入った質問もする傾向がみられる。

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アタッチメント障害への理解を深める参加者たち


ジーナさんはこれらを説明したうえで、この障害に関する研究結果を紹介。最後に、施設養育児はアタッチメントが不安定または無秩序であることが多いこと、里親養育に切り替えるといった「介入」の効果は大きいが、子どもはできるだけ早くから家庭で暮らすことが望ましいことを、講演のまとめとして報告した。

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青木豊さん


青木さんは、ジーナさんの講演を受け、アタッチメントに問題を持った乳幼児への支援が日本でどのように実践されているかを報告。アタッチメントやアタッチメント障害の重要性は共有されつつあるが、概念がまだ多義的に使用されていることが多いと指摘し、今後はこれらの理解の共有が必要などと訴えた。

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シンポジウムは日英同時通訳で行われた


アタッチメント障害は近年、メディアなどで取り上げられる機会が増えている。しかし、それは何なのか、どのような影響を子どもたちにもたらすのかについては十分に知られていない。そこで、日本財団は、すべての子どもが温かい家庭で育つ社会を目指して活動する「ハッピーゆりかごプロジェクト」の一環として、このシンポジウムを企画した。

(益田 美樹)


● ハッピーゆりかごプロジェクト ウェブサイト






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